そして……?
その頃。
「よかった。二人共仲良く幸せにね」
あやが井戸に映る二人を見ながら言うと、
「ありがとうございました。全てあなたのおかげです」
いつの間にかあやの後ろにいたのは、歳は二十代後半くらいだろうかという痩せた女性だった。
「いいって。しかしあんたも辛かったね。無理やりされてみよちゃんを身籠って、死ぬまでほっとかれてさ」
「ええ。それでもみよを引き取り、大事にしてくれるならまだよかったのですが」
「あの下衆、みよちゃんを変態代官に売ろうとしてたもんね。だから代官も一緒に地獄へ送ってあげたよ」
「はい。これでもう私としては思い残す事はありません」
「うん。じゃあ最初に約束したとおり、あたしと一緒にね」
あやが女性の手を取った。
「ええ。私や娘みたいな人がもう、いなくなるように」
女性がそう言うと、あやに吸い込まれるように消えた。
「ぬふふふ……そうだ、小袖ありがとうね。大事にするよ」
あやは胸に手をやって言った後、どこかに歩いていった。
ささくれ治してもらった 仁志隆生 @ryuseienbu
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