お泊り 2
彼女を連れて家の玄関に上がったときにはもう深夜だった。
驚いたことに、おばあちゃんはこんな時間までリビングの机に座って緑茶を飲みながら待っていてくれた。申し訳なく思ってお礼を言うと「何となく起きてただけよ」と返された。
「こんばんは」
「あら、こんばんは。ここの畳の部屋使ってね。布団もここにあるから」とおばあちゃんが押し入れの障子を指さす。結愛は「お邪魔します。ありがとうございます」と笑顔で返答していて、彼女に緊張している様子は全くない。
「じゃあ私はもう寝るからね。おやすみなさい」とおばあちゃんはニコニコしながら二階の寝室に向った。
「おばあちゃん良い人だね」と言う結愛は小学生のお泊りみたいに嬉しそうにしていた。
「うん、良い人だよ」と返答しながら、おばあちゃんを夜中まで起こさせてしまったことにまだ罪悪感をおぼえていた。
お泊りで明日が休日とはいえ、私は疲れ切っていて、おばあちゃんが二階に行った後、私はすぐ自分と結愛のカバンを和室の隅に置いて二人分の布団を敷いた。
パジャマを二着持っているので、そのうちの一着を自分が着ている間「着る?」と結愛に聞いたけれど、彼女は「ううん、いい」と言ってそのままの服で布団にもぐってしまった。
「でも臭くない?」
「なんか嫌だ」
彼女は断固として着替えるつもりがないらしい。
彼女に警戒されているのだろうかと少し不安と不満を感じた。とはいえ問い詰めるようなことではないので私も布団にもぐる。
好きな人と二人きり、同じ部屋で寝る状況は、本来ならドキドキさせられるものだと思う。けれど、学校に遅くまで残って勉強したことと、既に深夜であるせいで、私は疲れ切っていた。
私は、彼女が隣に寝ているという緊張感などまるで感じず、それよりも、しっかり休んで明日も早起きしなければというストレスの方が勝っていた。
寝ようと布団に包まってうとうとしていたとき、結愛が私の布団に潜り込んできた。
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