インターネットカフェ 2

 二部屋借りたうちの一部屋の鍵を美和子から受け取って階段を登る。

 どちらの部屋も二階だったけれど場所は離れているようで、美和子とまさ二人とは、分かれ道の通路で別れることになった。

 利用時間は同じでも、同じタイミングで出ないかもしれないし、また待ち合わせをしても後は帰るだけなので、意味がない。

「また明日」

 初めてのネカフェに結愛と二人で興奮して部屋を開けると、二畳ほどしかない小さな部屋が目の前にあった。

 部屋の床は全て茶色いクッションマットのようなもので隅々まで覆われていて、床なのに寝そべっていいところがまるで健康温泉の休憩室のようだ。

 扉の向かいの壁からはテーブルが突き出し、その上にパソコンのモニターが置かれている。キーボードが机の下にスライド収納されているのが見えた。まるでトイレを無理やり部屋に改造したほど狭い。

 床一面に置かれたクッションだが、部屋と廊下の境目、クッションの下に溝があるのを見つけて、そこに靴を置き、二人で部屋の中に入った。

「うわ、結構狭いね」

「まあ、こんなものなんじゃない?」と結愛はカバンを隅に置く。

 パソコンの電源を入れてみると、家や学校にある普通のパソコンと同じように使えるようだった。が、特に検索したいこともないのでまた電源を消した。パソコンモニターの横にメニュー表が立てかけられていたけれど、一時間しか借りないので、メニュー表を見る気にもならなかった。

「何するの?」

「折角だから漫画借りてくる」

 そう立ち上がると結愛も立ち上がった。

 二人で扉の鍵が閉められたのを確認してから、地下一階にエレベーターで移動する。

 扉が開いたとき、急に熱気を感じた。疑問に思いながらエレベーターを降りると、すぐにその理由がわかった。

 エレベーターの出入り口の向かい側右手に男と女別々の暖簾がかかっている。どうやらシャワー室もあるらしい。

 エスカレーターの出入り口左側には部屋が広がっていて、漫画が壁一面に並んでいる。その部屋の中央にはマッサージチェアが三つ置かれていた。

 私たちは部屋に入って漫画の背表紙を眺めはじめる。

 漫画を読もうとはいえ一時間しかないので、連載物より読み切りがいい。一話一話で話が独立している奴が理想的だ。

 私がこれから読む漫画を探している間、結愛は少女漫画のコーナーの前に立って、漫画をペラペラと捲っていた。

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