告白 6
結愛と私が行ったところと比べて、部屋の設備は全く異なっていた。
ダブルベッドが缶詰みたいに部屋の中に納まっている。右側の壁には透明のガラス扉があり、トイレと洋風の湯船が見えた。ベッドから丸見えなお風呂場と枕元に置かれた二つのコンドームだけはラブホらしい。
結愛はまた「面倒くさいから二人で入ってきていいよ」と入浴を断った。なので、睡眠時間が惜しい私と美和子は二人で一緒に入浴することにした。美和子曰く「今更お互いに恥ずかしがるような仲じゃないでしょ」ということだった。
狭い湯船の中に二人で立ってシャワーを共有した。入浴が終わって浴室から出ると、結愛は洋服も脱がずにベッドの上に仰向けに寝っ転がっていた。
ヘアドライヤーが一台しかなかったので、先に美和子に譲る。美和子がヘアドライヤーを使っている間、私は居酒屋で話した時からずっと気になっていたことを堪らず結愛に聞いた。
「結愛、私と付き合ってくれる?」
「ん? 燈佳のことは好きだよ?」
「それって付き合ってくれるってこと?」
「んー、うーん」
「どっち? 付き合ってくれるの?」
「んー、眠い。付き合いたいならもうそれでいいよ」
「本当? 私と結愛は彼女同士?」
「んー」
はっきりとした意識があるのかどうかも分からなかったけれど、ちゃんとした会話は出来なさそうだと思い、返事を貰うのは諦めた。そうしてそのまま三人で川の字になって寝た。
次の日の朝、私は「昨日のこと覚えてる?」と結愛に聞いてみた。
「付き合うかどうかってこと? いいよ、好きにすれば」それに対して美和子が「好きにすればじゃなくて、嫌ならはっきり言わなきゃだめだよ?」と助け船を出してくれた。
「別に嫌じゃないから、付き合うってことにすればいいんじゃないの?」と歯切れの悪い返答だった。
嫌々付き合ってくれているように感じられたけれど、このことについて更に問い詰めるのは彼女にとって、ただうざったいだけだと思って控えた。
付き合ってもらえるだけ良いのかもしれない。この返答の仕方も悪気があってのことではないだろう。彼女にとっては、付き合っているからといって何かが明確に変化するわけではないと捉えているのだと思う。
なので私はただ「よろしく」と結愛に伝えた。
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