告白 4
「そういえばこの前ラブホ行ったんでしょ? どうだった?」と美和子が話題を変えた。
実はラブホテルに行った後、結愛が私に渡し忘れていた宿泊代半分を授業終わりに現金で返してくれた。その様子を見ていた美和子が「何かあったけ?」と質問してきた時、ラブホテルに行ったことを結愛が躊躇なく説明したのだ。
「すごいね! ラブホ初めて行った。もっと色々内装可愛かったりするのかと思ったけど、私たちがいったとこは意外と普通のホテルと変わらないなと思った。あ、でも、電気とか風呂とかはさすがだね」と私が嬉々として言う。
「そうなの、ベッドサイドにボタンがあってこう徐々に変えられて」と結愛が楽しそうに付け加えた。
「あー、そうそう。ベッドサイドの上に大抵あるのよ、こう大きいやつが」と言う美和子に結愛が「ラブホテルのプロみたい」と笑うから私も可笑しいと思って笑った。それで場が和み、どんどんラブホテルの話が進んだ。
「お風呂が広いし大きくて、光るジャグジー付きですごかった」
「時々光るところあるよね」
扉が開かなくて焦ったという話では「初めてだと分からないよね」と美和子の笑いを誘った。
「二人でラブホで何もしなかったの?」
言葉に一瞬詰まった。そして、結愛はその一瞬を見逃してはくれなかった。いや、彼女にとっては何ともない話だから、普通に返答しただけだというのは分かるのだけれど。
「アダルトビデオ見て、燈佳がちょっとね」
「え? 何々? 気になるんだけど」
「いや、ちょっとね。ちょっと」と私が意味深に言う。まぁ相手が美和子なら問題ないかと思い直し、盛り上がっているこの場と私の気持ちに逆らうのをやめた。
「ちょっと、一人でした」
美和子が「あー、なるほど」と何ともなさそうに納得するので、話のテンポはどんどんエスカレートしていった。
「何だぁ。そんなのなんでもないよ」
「なんでもないよって、流石美和子」
「ねぇ、ムラムラするってどんな感じなの?」と結愛が私にしたのと同じ質問を美和子にした。けれど、私と同じように美和子も「えぇ」と言い淀んでから考え込んでしまった。
「なんだろう?」
「我慢できない感じなんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、痒いのが我慢できない感じ?」
「いや、絶対違う」
「ね、だよね」と同意すると、全然違うよねと二人で同意しあった。
「そうなのかぁ」
私は美和子が説明に苦労しているのを見ながら、結愛はずっとこういうことを理解するのに苦労してきたんだなということに気づいた。
「え、ラブホ二人で出たあと、なんかなかったの?」と美和子が思いついたように聞いてきた。
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