初めてのラブホテル 9

 暫くはこうして、私が見たいアダルトビデオを探し出すまで、いくつも早送りし、挿入シーンで再生ボタンを押した。そうしてどのアダルトビデオを見るか決めた。

 私が良さそうだと思ったビデオを見つけて、そのまま流し続けていた時だった。

「挿れてる所ならエッチな気持ちになるの?」

「うん? たぶん?」

「へー、私ムラムラとかわからないから。ムラムラするってどんな感じなの?」

「んー、エッチなことがしたくて我慢できなくなる。下半身に熱が籠るような感じかな。何か、イかなきゃ治まらないみたいな」

「ふーん。痒いのと同じような感じ?」

「いや、それとは全然違う」

「そっか。イくってどんな感じなの?」

「え? イく? 難しいな」逡巡したけれど何と例えればいいのか、よくわからなかった。

「神経が集まるのが分かる感じかな。電気じゃないけど、なんか一気に感覚が収縮するような。すごく気持ちいいってなる」

「んー、でもマッサージとかの気持ちいいとは違うんでしょ?」

「違うね」

 結愛は「そうなんだ」と言ってまた困ったように思いに耽る。私は、説明しろと言われて上手くできないことに気づき、改めて性的快楽の不思議さを実感していた。

 そして結愛の感覚に驚愕もしていた。

 痒みと悶々とすることが同じなのではないかという発想。私にとって、それらは全く違うものだったけれど、確かに共通点はあるな、なるほどと一人納得していた。

 私の釈然としない返答に、それでも彼女は満足してくれたみたいだった。

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