初めてのラブホテル 7
「え、すごい! 見せて、見せて!」
初めてコンドームを見た。私は結愛に手渡されたコンドームを触る。パッケージの中にゴムが入っていて、まるで個梱包の中にヘアゴムが入っているようだと思った。
「開けてみていい?」
「開けちゃうの?」
「だって気になるじゃん」
「そうじゃなくて、開けちゃっていいの? 勿体なくない?」
「勿体ないって?」
「財布とか鞄の中に入れといたら?」そう言って結愛は私のリュックを指さす。
「いやいや、使う時なんてないでしょ。私彼氏いないし、そもそもこの年齢でエッチするつもりないし」結愛は「そう?」と疑問そうに首を傾げながらも私が「開けるよ?」と聞くと「良いよ」と調子を取り戻した。
パッケージの端を捻って開封すると、もちろん中にコンドームが入っていて、私たちは「へぇー、すごーい」と言いながら指でただ突っついて感触を確かめていた。
イラストやアニメ、インターネットでコンドームの梱包がどのようなものか知っていたが、袋の中やコンドーム自体にもローションがついているということは知らなった。
「うわ、ぬるぬるしてる」
「本当?」
結愛が恐る恐る人差し指と親指でコンドームを摘まんだ。
「本当だ」
そう言って手を離した後、結愛は面白がって「見てみて」と言いながらローションでぺたぺたと引っ付く指の腹を見せてきた。
「何してるの? やだぁ、何かエロイね」
そう笑うと結愛は、私の反応にもコンドームにも満足したようで、手を洗いに洗面所に向った。その間、私は開封したコンドームをゴミ箱の中に捨てた。
結愛が戻って来た後、私は「先にお風呂入る? 私長風呂したいからさ」と聞いた。けれど、結愛は「面倒くさいから先に入っていいよ」と言いながら長袖のシャツの上に羽織っていたワンピースを脱ぎ、それを丁寧に畳んでテレビの横に置いた。
それを見届けた私は「わかった」と言って風呂場に向かう。
脱衣所スペースはなく、洗面所の右側に風呂の曇りガラス扉がついている状態で、洗面所の後ろにはトイレのドアがある。そこで服を脱いでから風呂に入った。
風呂場のタイルは全て薄茶色で統一されていて、目の前に鏡やシャワーヘッド、風呂椅子やシャンプーボトルが置いてある。左側に大きな白い湯船があり、湯船の中に銀色の部分があったのですぐにジャグジー付きだと気づいた。
足を延ばせるほど大きな湯船に入れることが嬉しくて、広い洗い場で髪と体を洗っている間に熱めのお湯を張る。
オレンジ色をした粒状の入浴剤がシャンプーボトルの横に置かれており、それを入れて湯船に入った。壁にお風呂用のテレビらしき液晶が付属していたけれど、どのボタンを押しても反応しなかった。
一週間ずっと課題とつきっきりだった疲労をここで全て洗い流そうと、湯船の淵にあるボタンを押してみる。
てっきりジャグジーのボタンかと思っていたところ、ジャグジーと共に湯船の水がミラーボールのように七色に光出した。
それを可笑しく思ったのと同時にこの状態で電気を消したら素敵だろうなと思い湯船を出て扉を開ける。
壁にあった風呂場のスイッチを消したのと同時に「結愛来て! 湯船が光ってる!」と声をかけた。
私が暗闇の中、光る湯船に浸かり直していると結愛が躊躇なく扉を開けた。
てっきり扉を開ける前にノックをするのか、開けても隙間から覗くものだと思っていたので、すごい勢いだなと驚いた。けれど、結愛はそのままずかずかと風呂場に入ってきて、湯船の中を覗き込むようにして隣にしゃがみ込んだ。
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