昼ドラ 2

「まさに話すか、そのまま別れようか考えてる。」

 私は美和子が浮気相手にされたどころか、ただのセフレにされたのではないかと思い別れたほうがいいと強く言った。

「そうかな?」それでも決断できないようだったので私は「でも私だったらだからね。美和子が思う方でいいんじゃない?」と彼女の背中を押す。

「じゃあ、先に本人に話そうと思う」

「じゃあそうしなよ」

 別に他人のことだから、と適当に扱っている訳ではない。自分の考えを話しても彼女に説得された様子がないのだから、彼女も彼女なりに思い悩んでいるのだろう。こういう重要な場面では個人個人が悩んだ末に決断して動くべきだと思っているので、美和子に決断を委ねた。

 そのまま何も買わずにスーパーを出るのも、お店に対して冷やかしになってしまうので私たちはそれぞれデザートを買って店を出た。

 学校の自習スペースに戻って、買ったコーヒーゼリーを食べていると丁度そこにまさとわたるが現れた。

 まさは今何が起きているのか、何も知らないようで、私たちを見つけると二人とも私たちと同じテーブルに鞄を乗せて勉強の準備を始めた。

 美和子が「どうしよう」と結愛にむかって言いはじめたけれど結愛はすかさず「行かなきゃ」と美和子の背中を軽く押す。

「まさ、ちょっと外行こうか」

「え? なになに?」

「いいから、いいから」そう言って美和子が立ち上がると、わたるが「何? 俺も行く」と言い始め、それを私と結愛が「だめだよ」と引き留める。

 何が起きているのか、唯一何も知らないわたるに、そもそも美和子とまさが付き合っているのを知っているのかどうかも分からなかった私たちは、ひたすら「何でもないから」を繰り返し言って説得した。

 十分ほど経った後、二人が帰ってくると、まさは何もなかったように鞄の中から教科書を取り出し始めたが、美和子は席に着くなり「来て」と言って私と結愛をまたスーパーに誘った。

「それで? 二人で何話してたの?」と結愛が興味津々という様子で聞く。

「まさが言うには、その女の子とは前に付き合ってたけど、今はもう縁を切ったんだって。メッセージのことも知らないし、相手がただ追いかけてきてるだけらしい」

 私にとっては胡散臭く、信じ難い話だったが、まさは彼女とはもう関係ないと証明するために美和子の目の前でその女の子のインスタグラムをブロックした上でラインの連絡先も消してくれたらしい。なので、美和子的にはまさのことを信じたいそうだ。

 私は美和子が自分なりに納得しているようなら何も言わないのが吉だと見て、そうなんだと返答した。

「びっくりしたけど、正直ごめんね? こんなこと言うのもあれだけど、めっちゃ楽しんでた。なんかドラマみたい」

「あー、美和子だからねー」と結愛が笑う。

 呆れるというよりも美和子はそういう人だからと私たちも美和子と一緒に笑った。

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