昼ドラ 1

 私たち三人はいつものように自習スペースで宿題に取り組んでいた。

 少しの間課題に取り組んだ後、美和子が結愛に相談があると言って彼女を自習スペースから連れ出した。

 元々美和子と結愛は親友同士の二人組で、そこに私が加わった形だったので、こういうことは時々あった。だから、この行動は別段私の気に障らなかった。気にせず勉強を続けていると暫くした後に二人が帰ってくる。

 そのまま宿題に戻るのかと思えば美和子はまだ結愛に小声で何かを相談している。何かの結論を決めかねているようで何往復か二人が小声で話した合ったあと、結愛が「燈佳にも聞いてみたら?」と言った。そこで始めて私は「何?」と二人に声をかけてみた。

「ちょっとスーパー行こうか、燈佳」と美和子がまるで、テレビ芸人のコントみたいに言うので、その不器用な誘いに私は微笑ましい思いと好奇心を共に、財布を持って二人で建物から出た。

 徒歩五分圏内に小さなスーパーがあり、その中に入った後「実はさ…」と美和子が話し始める。

 美和子の話をまとめると、まさとわたるを含めて居酒屋に行った日の後日、美和子はまさと二人きりでお洒落なバーに飲みに行き、そのままホテルに行った後付き合い始めたという。

「え、そんなことある? その日に付き合ったの?」

「うん。行ってそのままヤって付き合いはじめた」

「はぁ、美和子らしいというか、なんというか」

 今まで居酒屋で聞いてきた美和子の話を思えば、それ以上驚いたり追求するようなことでもなかった。

 夏の暑い日に汗をかきながらするセックスは爽快だよと語ってくれたり、一日に何回もマスターベーションをするくらい性欲が強いと言っていたのを思い出す。

 クラスであの子とあの子はセックスをしたけれど付き合ってないらしいという情報も、どこから手に入れるのか、話してくれるので私と結愛は常に聞き手にまわって彼女の話を楽しませてもらっていた。

 ただ本題はここからだった。

 美和子とまさが付き合い始めて数日、突然美和子のインスタグラムに知らない女の子からのダイレクトメッセージが送られた。メッセージを読むと送り手がまさの元彼女からだったという。

 美和子がメッセージ画面を開き、そのスマホを私に差し出したので、それを受け取る。

 付き合い始めてまだたったの数日なのに既に修羅場が出来上がりそうになっているのには驚くというより、現実でこんなことが起こりえるのかと戸惑う気持ちがした。

「『私はまさの彼女の友達ですけど、あなたがまさとホテルを二人で出るところを見ました。今すぐまさと別れてください』これ、絶対友達じゃなくて彼女本人からだよね」

 スマホを美和子に返す。

「ね。私もそう思った。どうしよう? どう思う?」

「美和子はどうしたいの?」

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