第8話 7月23日
7月に入り気温も高くなってきた。今朝の天気は雨。僕はいつも通り公園を通って会社へ通勤してた。自分の差す傘に当たる雨の音は五月蝿くイヤホン越しにも聞こえてくるほどだ。
気付いたら僕はあの夜、香苗さんの座っていたベンチを見ていた。そのベンチの裏には見事に咲き誇っている朝顔が目に入る。
「あの時、香苗さんは何を話していたんだろうか。」香苗さんの事が気になっている自分がそこにはいた。一人香苗さんの事を考えながら僕は会社へと足を運んだ。
「おはようございます!」会社につき次第僕は香苗さんの方に視線を移す。凄く疲れているようだ。「休憩の時、何か持って行ってあげようかな。」
「お疲れ様です。今日は何か疲れていますね...?何かあったんですか??珈琲でもどうぞ。」
「あ、亮太君。ありがとう。ごめんね?ううん。何もないよ?」
「僕でよければお話聞きますよ??」女性との付き合いがあまりなかった僕にとっては精一杯の気遣いだった。もっといい言葉があるだろうに...
「本当大丈夫だからさ??優しいね。ありがとう!」
そんな言葉でも僕は嬉しかった。久しぶりにお話できたからだ。「今度ご飯行きませんか?一緒に行きたいです!」
「そうね?来週でもいいかしら??来週なら空いているから。ね?」
「わかりました!来週行きましょうね!無理しないようにして下さいね!
」香苗さんとの約束だ。嬉しい!何処に行こうかな??一人浮かれていた。
そしてお昼休憩だ。僕の携帯には一つ通知が。友達だ。
「告白した??(笑)風俗行った???(笑)風俗ならこのサイトで探しな!!https://www................ne.jp」今してくるようなLINEなのか?マジで暇なのか...少し呆れるなぁ...丁寧にURLまでも...
「後で検索してみるよ!!!!今送ってくんな!!(笑)」
「おk」
「亮太~?」上司から呼ばれた。
「この間の資料なんだけど間違っていたぞ?最近多いな。どうした??」詰められている様で嫌な感じ。この後には決まって言われる言葉がある。
「同じ事何回も言いたくないけど、亮太がこれから恥かかないように怒ってるんだからな??」自分の為なのか上司のイライラの落としどころなのかは分からないが僕はイライラを晴らしているようにしか聞こえなくなっていた。「はぁ。」
「なにその顔。いいよ後やっておくからさ。」顔に出でいたのか、火に油を注いだ様だった。自分の長所で短所なんだなと思う。素直なのだけど上手くいかない。
「まぁ、大丈夫だよ。みんなそんな感じだからさ(笑)」別の上司の人が慰めてくれる。「ちょいと休憩しようか。」そう言って僕の事を廊下に連れ出してくれた。
「まぁ、次から頑張ればいいさ。」この一言にどれだけ助けられたか。そう思って「ありがとうございます。」と一言。
「お疲れ様でした!」はぁ。今日も疲れたな。僕は最近聞いている音楽を部屋に流しながらお昼に来ていたURLを立ち上げてみた。こんなに沢山の種類があるのか。初めてだったから何をどう探したらいいか分からずにパチパチ携帯の画面を叩いた。
「ん?これって、まさかね。」香苗さんに似ているな。一目見てそう思ってしまった。いつも見ているかなのか似ているスタイル。髪型。写真の雰囲気。それに、【新人】のアイコン。どうなんだろう?気になってきた。
「聞くにも聞けないしな....この人を指名してみようかな。タイプっていえばタイプだしな。」自分1人な部屋でボソッと呟いた。
まだ呼んでもいないのに少し興奮してきた。今週末にでも自分の度胸試しだと思って呼んでみようかな。
そんな事を思いながら、一人ベッドの上で携帯を弄りながら今日も寝落ちをする。
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