あの頃のささくれ

久石あまね

生きるのが嫌になっていた頃がありました

 今は生きるのが楽しいのですが、生きるのが嫌になっていた頃がありました。 

  

 20歳から23歳ぐらいの頃です。


 同情を誘っているわけではないのですが、持病(統合失調症)がかなりきついときで、大学に通っていたのですが、ほぼ保健室登校といった具合でした。


 しかし僕は保健室で寝るとなぜか猛烈にお腹が空いてしまい、大学の食堂で、いつも定食を二つ食べてしまうのでした。


 先生にも止められたのですが、言うことを聞かず、とにかく食べて食べて食べまくりました。


 因果応報が如く、当然体重は増えて、女の子にはモテません。男にはモテましたが。


 ある日、同じサークル内の女の子に恋してしまって、前触れもなく突如、高級なキーケースをプレゼントするという荒技に出て、見事撃沈するといったことがありました。


 それがことの発端になったのでしょうか、サークル内の女の子たちが僕の挙動不審な行動に憤慨しはじめ、僕をサークルの部室の中に入れないという珍事件が発生しました。


 僕はドアを叩いて「入れてくれ〜」とノックするのですが、中からは鍵を締め返答がないのです。


 またある日には、サークル内の沖縄県出身の女の子が僕に向かって「カジャー」と突如言い出して、走って逃げだしたのでした。


 後からスマホで「カジャー」を調べると、「お前臭いよ」という意味でした。


 なんとも微笑ましい事件ですが、大学ならではの青春のひとときといった具合でしょうか。


 いやはや時が流れるのは早いもので、今日、3月11日に28歳になった僕ですが、大学時代を思い出すとなんとも人間味に溢れた人物たちと交流していたなと感慨に耽ります。


 28歳になった現在は、大学時代の性格からはかなり変わり、持病は寛解したし、食べ過ぎも治まり、体重は減り、本を読めるようになり(本を読めない大学生もどうかと思うが大学時代は本を本当に読めなかった)、小説も書けるようになった。


 クオリティーは低いが、小説が書けるようになったことが一番驚いている。


 中学校の頃は国語のテストでいつも30点代だったのにもかかわらずだ。


 この世のあらゆるものは移ろいゆくもの。


 人間なんとかなるものだ。


 

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あの頃のささくれ 久石あまね @amane11

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