ささくれた人の言葉

136君

ささくれた人の言葉

 これは僕というモブが主人公の物語のプロローグである。


 もしもこの世界を2つに分けるとしたら、陰か陽かで分けられるだろう。いや分けて欲しい。


 まずは選定基準だが、陰というものはある程度の自虐的な思想があり、相手を羨む人達のことを指すことにしよう。その羨む感情が妬み嫉みであってもいい。そしてこれがもっとも重要な条件だが、常に相手の顔色を見て動いている、または動かない人。これが陰の条件だ。


 そして陽の条件。


 陽に含まれるのはまずは猿のように騒ぐしか脳のないやつ。常に騒ぎ続けて、周りに迷惑をかけていることを知らないやつはとりあえず陽だ。そういうやつはだいたいコミュ力も高いからな。そして、やっているゲームがコロコロ入れ替わるやつ。周りの話に混じろうとして、1つのゲームをやり続けることなく、序盤の方で辞めてしまうやつだ。


 そしてこれが1番の条件だ。それはキラキラ系の部活に入っている、またはいたやつ。具体的に言うと、バスケ部、アメフト部、サッカー部、野球部、陸上部、テニス部、そして軽音部。名前を見ているだけで目が焼けそうになるようなこの部活たちは強制的に陽だ。


 こんな感じで陰と陽を分けてみたが、社会はそんなに上手くいかない。クラスも陰と陽がぐちゃぐちゃになっているし、電車に乗っていると陽の奴らが乗り込んでくることも少なくない。ただでさえ、今の状況でも肩身が狭いのに、もうこれ以上僕たちの居場所を奪わないでくれないか。


 って心の叫びも聞こえないんだろうな。分かっているさ。


 僕の統計上、陽のやつらは自分の都合のいいことしか聞こえていないらしい。まったくいい耳をしてやがるな。なら耳元で裏声で歌ってやろうか。


 なんて茶番はさておき、陰キャでモブの僕が主人公になれるはずのない世界線で主人公になってしまったようだ。これは人類史上最難関の問題と言えよう。


 そんな僕が本当に輝けるのか。輝けるほどの力を持っているのか。


 答えは否だ。

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