結論はここにもない

ここにいるとねえ。


大抵のことはどうでもよくなっちゃうんだよね。


だってなんにもないし。


私たちだってさあ、ここにいるだけじゃん。


いるっていうのもおこがましいか。ここに『ある』だけ。


欲とか希望とか生きがい?いや生きがいは違うか、なんだろう、死にがい?


存在価値?かな?自分にとっての。


そういうの、なーんもないもんね。


生きてたら鬱になってるよなあって思うよ。しかも、もう死んだあとだから死んで逃げるってこともできない。


天国とか地獄って、ここのことを言ってるんだったら正気?って感じだよねえ。


まあある意味地獄ではあるし、人によっては極楽なのかもしれないね。


私?


うーん。


『現実』かな。逃げられないやつ。


君は?


あーずるい、人に聞いといて自分は答えないつもり?


もー。


あ、でも、楽しいことが何にもないかって言われたらそうでもないよね。


そうそう、この話がしたかったの。


ほんと、これ最初に見つけた人は天才だなって思うよ。


こんだけ空虚なとこでもできる、こんなに情が薄い私たちでも楽しめること。


怪談。


なんでだろうねえ、私たちだって、この世、いや私たちから見たらあの世なのかな?そこに出てないってだけで霊なのにね。


怖いよねえ、幽霊。


語り終わって一拍置いてさ、もう寒気が体を這い上がってくるのがわかるよね。


まあ体ないけどね。比喩比喩。あるじゃん幻肢痛ってさ。私まだ死んでからそんなに時間たってないから、体の感覚結構残ってるの。


良いんだってそんなことは。


考えてみれば不思議だよねえ。私たちに感情って、あるのかどうかも怪しいのにさあ。しかも奪われる命もとっくにないのに。


幽霊の話だけは、心の底から怖いしねえ。


なんなんだろうね、本当に。


うーん。そうだなあ、もしここに幽霊が出ることがあったらさ、そりゃあ恐ろしいよねえ。


意味が分からないもん。


意味が分からないから怖いのかな?


いやでも、現世に出る幽霊に関してはむしろ、私たちの仲間みたいなとこあるもんねえ。


そんなに意味不明じゃあないよなあ。


意味不明じゃないのに怖いのって意味不明だなあ。


ううん。


やばい、怖い。凄く怖くなってきた。


ねえ例えばさ、ここで私が首吊って死んだとするじゃん?


仮によ、仮に。できないけどさ。


その場合って何になるんだろうね?


君みたいになっちゃうのかな?

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