いいつけを破る

 転職サイトに登録した。

 サービス業は帰りが遅いし、体力的にも精神的にも疲れる。未経験だが、事務職で探すことにした。

 一社目は面接がうまくいかず予想通り、採用にならなかった。

 二社目は、面接官の男性が和ませようとしてくれたのか、地元は何が有名なんですか?など、採用に関係ない質問もしてくれて、少しホッとした気持ちになった。

 わずかに、もしかしてという思いはあったが、やっぱり採用にならなかった。

 転職サイトにメールで相談ができるサービスがあり、「未経験の事務職を希望していますが、資格は大学生の時に取得した簿記三級しかありません。正社員は諦め、派遣で働きながら何か資格を取得し、それから正社員を目指したほうがいいでしょうか?」という内容でメールを送った。

 そして、返信。

「それも一つの選択肢ですが、あなたの経歴やスキルを見ると、未経験でも十分正社員を目指せるように思います」というようなことが書かれていて、私はすごく嬉しかった。

 自信が持てた。担当の方の名前を今でも覚えている。ありがとうございました、大石さん。

 そして、三社目で無事に内定を貰うことができた。

 その会社は駅から徒歩十分ほどの場所にあったのだが、面接の日、私は迷ってしまい、タクシーを使うことにした。焦っている私を応援し、目的地まで連れて行ってくれた運転手さんにもお礼を言いたい。ありがとうございました。(結局、面接には少し遅れてしまった……)

 

「仕事を辞めるな」という親の言いつけを破ってよかった。親は必ずしも正しくないと感じた出来事だった。


 無事、次の就職先が決まり、有給消化で一ヶ月休めることになった。

 その休みは主に部屋の断捨離とパソコン教室に費やした。

 過食はだんだんとおさまっていた。


 そして、転職後。

 未経験の仕事。自分だけのデスク。何より、18時に帰れる!!

 19時頃には家に着き、夕飯。自炊はせず、スーパーのお弁当や惣菜ばかりだったけど。

 新しい環境になり、三食はとるが、前みたいに食べることに意識が向かなくなっていた。

 慣れない仕事と規則正しい生活のせいか、体重は落ちていき、元の数字に戻った。

 また嫌なことがあれば、また食べてしまうのではないか、過食が癖になってしまうのではないか、という不安はあった。

 だけど、あれ以来辛い過食に陥ることはなかった。

(続く)

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