はあとぶれいく

 いくらかの時が経って、孝子はガラスケースごと部屋を移動し、同じように閉じこめられる多くの女性たちと顔を合わせることとなった。

 こんにちは、の大合唱に、ああ、と心から安堵した。

「こんにちは。孝子と言います。皆さん、末長くよろしくお願いします」

 挨拶の後、孝子のガラスケースに近付いてきた海藤が、

「会わせるのが遅れてしまって悪かったね。彼女らが君の家族さ」

 得意げに告げる。

 。その幸せを享受する仲間がこんなにたくさんいること。

「海藤さん」

「なに?」

 大きく、息を吸いこむ。

「ウチを幸福にしてくれてありがとうございます♪」

 海藤は一瞬目を丸くしたあと、僕がしたんじゃないよ、と前置きしてから、

「ここが、本来君がいるべき場所だったんだよ」

「はい、そうですね。たくさんたくさん、楽しみますね♪」

 その居場所を取り戻してくれたのは、海藤さんなんだけどな。孝子はほんの少しだけ不満を持ったあと、皆を見る。

 海藤とガラスケースに収められた多数の女性たち。みんなとともにこの場所で過ごす、素晴らしき日々に思いを馳せ、ただただうっとりとした。

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はあとぶれいく ムラサキハルカ @harukamurasaki

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