暗黒Ⅱ
眩しさで目を閉じる。再び目蓋を開ければ、カイドウの無表情があった。ほんの少しだけほっとする。
「反省、できたかな?」
問いかけに、一瞬頷きそうになったが、怒りが甦る。
「するわけないだろう」
そもそも、悪いことはしていない。全ては誘拐を企てたこいつが悪いのだ、と依然としてささくれ立つ感情を、腹の奥から吐きだす。
男は、そうか、と天を仰いだ。そして、その手にはまた暗幕。
「おい、なにして」
「じゃあ、もう少しだけね」
止める間もなく、世界は再び暗黒に覆われた。
「おい、やめろよ。殺すぞ」
飢えのせいか、声には力が籠らない。もうしばらくは、あの長い暗闇にとらわれたくはなかった。しかし、願いは虚しく視界は黒一色。全ては遮られ、狭い場所に、あるのは自分の臭い体一つ。できることと言えば、男に教えられた排泄用管への小便や大便と、呼吸、あるいは浅い眠り。目を瞑ろうとするが、ずっとじっとしているせいか、なかなか意識は途切れてくれない。一人取り残されたまま、不安ばかりが募る。目の前には暗黒暗黒暗黒が……
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