第22話 日本反乱
軍は制御できるものではない。どの国もそうだ。そもそも特別攻撃隊を思いついた時点で終わっているとも言えるだろう。戦争のための国が戦争を止めようとする。それも無敗の国がだ。不満は高まり、事件は起こる。
1945年一月十三日。雪が降り積もる季節にこの事件は起きた。世にいう一・一三時間である。
深夜2時。とある一軍が動き出した。それは陸軍でも海軍でもない。国民だった。
2時半。一軍は東京に侵入。各地を放火して回る。
3時。警鐘が鳴り響く中で東條英機は目を覚ました。煩い。煩わしい。頭が痛い。
ダッダッダッダッ
ガラッ
「誰だ!」
「近衛第三師団兵卒、赤宮忠雄。東條英機、貴様の命を奪うものの名だ」
パァン
うっ…
声にならない声が自分の中を木霊する。
どうしてこうなった?日本を守れるのは自分以外にいないと言うのに。
そんなことを思った時、再び銃声が鳴り響き、東條英機の意識は消え落ちた。
この日、鈴木貞一らをはじめとした東條英機一派や停戦派が大きく粛清された。その中には杉山元や前年の怪我により自宅に療養のために戻っていた角田覚治らも巻き添えに殺害された。
陸海軍構わず殺害されたこの事件は大きく政府の根底を揺るがすものとなる。
鎮圧を天皇は命じたものの、二・二六事件のように鎮圧されるのではなく、抵抗を続けたため、これは天皇の指示すらも国民は従わなくなったことを指す。また、この
日本の崩壊は近い。
アメリカ・ニューヨーク
「聞いたか?ルーズベルト」
「ああ。日本でクーデターが起きたみたいだ」
「戦争ばかりの国家についに国民も嫌気がさしたんだろうな」
「いや、それがな。戦争を続けるためにクーデターが発生したみたいだ。和平・停戦を指示した総理大臣が暗殺されたらしい」
「はぁ?あの国やっぱ狂ってるわ」
「まぁ、それでもだ。あの国が崩れたことには変わらない。ドイツ・イタリアが死んだんだ。孤立無援でどこまで粘るのか?楽しみだな」
「あ、あの武器の開発はもう終わったのか?」
「勿論だ。内乱中だろうと奴らに喰らわさせてやるよ」
次回・各地劣勢
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