第12話 スペイン帝国

16世紀、太陽の沈まない国と呼ばれた大国があった。そう。スペイン帝国である。


1492年、ナスル朝を倒し、イベリア半島を統一した後は破竹の勢いで世界を席捲。1500年代には当時アメリカに存在したインカ帝国、アステカ帝国を滅ぼした。


その後も各地に勢力を伸ばし、最大領土は現在のイタリア、アメリカ、中国、メキシコ、フランス、台湾、フィリピン、アルゼンチン、チリ、ベルギー、ポルトガルなどアジアから南北アメリカ大陸を支配。圧倒的な強さを誇った。


しかし、ブラウェザーの海戦や、アルマダの海戦により、新興国イングランド(イギリス帝国の前身)やオスマン帝国(第一次世界大戦で瀕死の病人と呼ばれた大国)などに敗退。


その後は米西戦争やナポレオンの猛威。アメリカ独立戦争で国力を減らしていき、十九世紀には植民地の数が四つになるなどかつてな大国の姿は見る影もなかった。


1943年9月

スペイン・マドリード


スペインの総統であるフランコが地図を見て悩んでいた


「うーむ」


「如何しましたか?フランコ総統」


「いや、日本がフィリピンに住むスペイン人をこちらに届ける代わりにソ連に参戦してくれと頼んできてな。断ると国民が反発するし、参戦したら完全に枢軸になってしまう…どうすればいいか」


「青師団を理由にすれば良いのでは?」


青師団とは、独ソ戦に参戦したスペインの義勇兵である。その数、一万人。


「そんなのをあの野蛮な国大日本帝国が認めるとは思えん。これは最後通牒か。いよいよどちらに着くか決めねばならないのか」


「うーん。やはり強気ですね。日本は」


「この間はオーストラリアおよびニュージーランドを制圧したそうだ。イギリス海軍がスエズ運河に向かっている隙にな。ほんと、ハイエナのような真似を」


その言葉を聞き、俺は“あんた真珠湾攻撃の際祝報送ってアメリカの機嫌損なっただろ”って思ってしまうのは仕方ないと思う


「それで、どちらに着くのですか?激しいイデオロギーで人種差別をするこの世の地獄が訪れる未来と共産と民主が戦後必ず争い、世界が二つに割れる地獄が訪れる未来」


「どっちも地獄じゃねーか」


「ちなみに後者にはあの頭おかしいヨシフ・スターリンがこの世界の主導権を握ります」


「よし枢軸に味方しよう」


「うーんこの」


「まぁ、ふざけてないで閣僚会議開くから2時に会議室。お願いね」


「かしこまりました」


そして俺は部屋を退出する。この帝国の行く末はどうなるのやら


次回 イギリス帝国とスペイン帝国

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