第11話 泥沼の独ソ戦
「あ…」
「HELP ME」
《助けて…》
ソ連とにある主要都市・スターリングラードでは熾烈な攻防戦が繰り広げられていた。
パン
ドサッ
足元に広がるのは魂亡き後の肉片と武器のみが散開していた。
それを戦車が踏み潰しながら進む。まるでこの世の地獄のような風景に俺は言葉を発することはできなかった。
「終わりのないこの戦争。行く末はどうなるのか」
そんなことを呟いて俺は戦場を進んでいった。
1941年6月22日。三千万人以上が死亡したこの戦争はドイツ国防軍によるバルバロッサ作戦により開始された。
当初はドイツ軍が圧倒的優勢で一ヶ月でレニングラードを包囲、スモレンスクを占領するなどの快進撃を見せた。そして8月にはキエフ、ハリコフなどを陥落させる。しかしこの後のモスクワ占領に失敗。また1942年にはスターリングラードで十万人が包囲され、撃滅。徐々にドイツ軍は劣勢に追い込まれていった。
ハリコフ攻防戦ではマンシュタインが活躍し反撃をするも、それはわずかなものでしかなかった。
「マンシュタイン将軍!撤退を完了させたもののこの後はどうするのでしょうか?」
「このままここで待機だ。しかし……ここからの逆転は厳しいと言わざるを得ない。せめて後十万人兵がいればなんとかなるかもしれないが…」
クリミアの奪還はもはや不可能。そう言いたげな表情に部下は絶望する。
「もうおしまい。ですかね」
「いや、そんなこともない」
そう言ったマンシュタインの顔を不思議に思った部下はさっきの言葉を思い出す。
「それでも援軍なんてどこにも」
「いるじゃないか。まだ動いていない同盟国が」
「大日本帝国?」
「あそこはソ連と不可侵を結んでいる。だが、アメリカにほぼ勝ったことで警戒してるのか満州にも兵は多く止まってるけどね」
「イタリア?」
「スエズ運河の制圧で手一杯だろう。そもそも二方面作戦ができるほど国力は強くない」
「フィンランド」
「論外だ。2国の戦争は去年で終わってる」
「ルーマニア、ハンガリー」
「ルーマニアは内戦の傷がまだ癒えない。ハンガリーに至ってはドイツに懐疑的だ」
「……わかりません。降参です」
「ヒントを出そう。西ヨーロッパだ」
「まさか…」
「そう。ヴィシーフランスとスペインだ」
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