第10話 F * * * YOU

アメリカ・ワシントンD.C.


日本の大東亜共栄圏の設立という一報を受けてアメリカ軍部はワシントンに終結していた。


「くそ!ジャップめ。厄介な事をしやがった!」



「中国、ハワイに続き、オーストラリアでも敗戦か。こりゃーアーネストさんも更迭かな」

「それにルーズベルト大統領もな。今や急速に支持率が下がっているようだな。ほら」 


ダン!


そう言われた途端、大統領室から大きな音が鳴る。


「あー恐ろしい。俺らもこう呑気にしていられないかもな。この前はロスに爆弾が落とされたようで民衆の戦意も落ちてきてる」


「左遷。覚悟しなければな」


大統領室


俺、フランクリン・ルーズベルトは焦っていた。工業力で大きく差のある日本に負けそうになっているのだ。七月二十九日のロサンゼルスへの爆撃により国民の戦意はさがり、それに伴いこの俺の支持率も大きく下がっていた。


「チッ。B 29の開発、それに伴い核の開発。急がなければ本当にこの国は終わるぞ」


プルルルルルル


「なんだこんな時に!」


ガチャ


「どちら様ですか?」


「チャーチルだ。そたらはまずいことになっているのはわかっている。だが、オーストラリアから撤収しなければならなくなった」


「一体なぜ!そうすればアジアは完全に日本の手に!」


「スエズ運河をドイツと日本に奪取された!つまりはアジアに人や物資を輸送できなくなった!」


「また日本か!ふざけるな。どこでも邪魔しやがって!」


「これでイタリアへの上陸作戦も霧散した。ここからはソ連の動きで全てが決まる。ソ連がドイツを倒したら勝てるかもしれないが,そこに残るのは資本主義ではなく独裁者のいる社会主義だけだ!」


「もう漁夫を狙うしかないか。今のうちに我らは核兵器の開発を進める。チャーチル、降伏だけはやめてくれ。頼む」


「……わかった。ルーズベルト。お前も頼む!」


ガチャ


ルーズベルトは電話を切り,図面を眺める。そこには日本の旗=占領地がほぼアジアを埋め尽くしていた。


「FACKYOU!」

《クソ野郎!》


思わずそう叫んでしまうのも仕方ないといえた。


次回、泥沼の独ソ戦①

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