第8話 砂漠の狐とマレーの虎

イタリア領・ソマリランド


「Grazie per essere venuto oggi. Non mi sarei mai aspettato che venissi. Generale Yamashita」


《本日は来ていただき,ありがとうございます。まさか貴方様が来られるとは。山下将軍》


そこに座って待っていたのは、砂漠の狐と恐れられるエルヴィン・ロンメルだった。


「Anche qui ho sentito delle voci su di te.In qualche modo hanno perso Singapore」


《こちらでも貴方の噂はよく耳にします。なんでもシンガポールを落としたとか》


※以下日本文で行きます。翻訳に疲れました。すみません


前座とばかりにロンメルの顔を見て山下はこの前の退却戦を褒める。


「まずはこの前のソ連軍の撃滅。おめでとう御座います」


「ありがとう。と言ってもやったのはマンシュタインかだけどね。俺はずっとここに張り付いてたよ」


「軍部からそれだけは伝えておけって言われてたので」


「それで、貴方がこちらに来たのは?ただの観光なわけないですよね?」


「察しが早い。貴方たちも思ってると思うが,イタリアは頼りになりません。このままだと早々に上陸されて滅びるだろう」


「ええ。それを危惧してヒトラー総統は私をここに派遣したわけですし」


「だけどその兵力は少なく、もし上陸されたら連合軍の勢いを止めることはできない。なのでここで先に手を打つ。そのために今日はきました」


「それができるならやっておきたいものですが。何かいい作戦でも?」


「スエズ運河を落とします」


「!」


ロンメルは目を見開き、こいつ正気か?と聞き込むようにまじまじと相手の顔を見た。


「スエズ運河を落とせば敵軍の輸送にはアフリカを一周しなければなりません。それは連合国の石油を削ることにつながります」


ロンメルはその利点は十分に理解しているものの、一つ疑問に思い問い返す


「ですが、そこに貴方たちの利点は?イタリアを助けるためだけにこんな軍事行動を東條殿は許さないと思うのですが…」


「勿論我が国にも利点はあります。それが、インドへの支援の立ち切りです。イギリス政府はインドに物資を送るために最も利用してるのが海からの支援です。それを断ち切れるとなると日本にも利益は大きい」


「なるほど。ですがそれは無茶だ。見ればわかると思うが,イギリス軍がガッチガチに固めている」


「だからこそ私がきたのです。東洋のジブラルタルと呼ばれたシンガポールを落とした私が」


「そりゃ頼もしい。作戦を聞いてもいいか?」


「勿論です。何よりこれが終わればとりあえずは独ソ戦に集中できるでしょうし。その際の作戦まで日本軍は決めてあります」


夜は更けて行く。


次回、スエズ運河

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