第5話 オーストラリア沖大海戦前夜

ハワイ島が陥落してから三日。インドネシアでは未だに膠着が続いていた。

今に米艦隊が退いたといえども,英国海軍の力は強大で、ハワイから未だ帰還していない大和の差もあり,互角の立ち回りとなっていた。


英艦隊空母六隻,戦艦九隻、巡洋艦十九隻、駆逐艦二十五隻。


帝国海軍は空母六隻(赤城、双龍、飛竜、加賀、隼鷹、飛鷹)戦艦九隻(武蔵、陸奥、長門、扶桑、山城、金剛、日向、榛名、伊勢)巡洋艦十八隻、駆逐艦二十隻


数の上では未だに不利であり、必ず勝てるというわけではなかった。


五十六はここで立って発言する。


「今,米艦隊は消えたとはいえ、未だ英国海軍の力は強大で我らと戦力の差はあまり変わらず、勝利できるかどうかすら怪しい。今負けるわけにはいかない。ここでだ。英軍の補給を断つことを目的にしたい。海軍の二割を東に移動。敵の輸送艦を沈没させる」


その作戦を聞き帝国海軍,源田実司令官が立つ。


「補給を断つ。ならば我が帝国空軍にお任せください。角田司令と共に西に向かい、英国の補給を閉ざします」


帝国海軍司令官の角田覚治は俺も?と言った顔をしたが,諦めがついたのか,最終的には


「仕方ないか。付き合ってやる」


と言い,作戦が決まったのだった。


それを見た五十六はうなずき、話を止める。


「作戦の実行部隊はそれでいいだろう。しかし、もちろんこの作戦には穴がある。それは源田たちが西に行った後に英軍が来ることだ」


「そのため,角田の長門、源田を乗せる加賀と一緒に山城を出港させ、島を一周。島の東に潜ませる。二正面作戦だ。これがどれだけ効果を出すかはわからないが,長門、加賀が戻ってくるまでの時間稼ぎ程度はできるだろう」


そう言った後,五十六は大きく息を飲み、声を発す。


「この作戦で日本の未来は決まる。心して取り掛れ!」


そう言って五十六は現場を後にし、野営地へと戻ったのだった。


次回、衝撃

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