第4話 ロイヤルネイビー

 中華を統一した日本軍は各地の戦局の打開へと向かい出した。

 4月3日アチャブ奪還

 4月9日マキン奪回

 4月20日ニュージーランド掌握


 各地で日本軍が優勢の中、一つの報が来る。


“英海軍、濠海軍、オーストラリア近辺に集結。新西蘭の奪回が目的かと思われる”


 これを聞いた日本軍はニュージーランドに集まり,会議を開くのだった。


 辻参謀が皆を見まわし,山本長官を向く。

 それを見た山本長官は頷き、粛々とした態度で伝える


「主な敵はロイヤルネイビーこと英国艦隊。そしてある程度の戦力を回復したアメリカ艦隊だ」


 そこに情報を加えるように辻参謀はこう告げた。


 「すでにT機関により、空母のエンタープライズが回復していること、オーストラリアに駐留していることもわかっています」


 そして山本長官が再び戦況を説明する。


「T機関によると、米英仏合わせ空母七隻,戦艦十三隻、巡洋艦二十七隻、駆逐艦三十一隻とのことだ。対する我が帝国海軍は空母六隻

(赤城、双龍、飛竜、加賀、隼鷹、飛鷹)

 戦艦十隻(大和、武蔵、陸奥、長門、扶桑、山城、金剛、日向、榛名、伊勢)巡洋艦二十二隻、駆逐艦二十五隻だ。数の差では劣っており,ここでの勝利は難しい」


 そして、陸軍代理の山下将軍が軍としての作戦を伝える。


「だからこそ我が陸軍の出番だ。我が陸軍はオーストラリア北西で海軍が戦ってる隙に北東部に上陸する!」


 そう決められた作戦は満場一致で可決され,

 兵たちはオーストラリア攻撃準備に勤しむこととなった。


 しかし、すでに海軍の暗号は読み解かれており,この作戦は英米軍の知るところとなる。米英軍は日本軍の侵攻を待ち,撃滅する作戦を決行。


「The Japanese military is stupid. The strategy is obvious」

《日本軍はバカだな。作戦がバレバレなんだよ》


 即日、アメリカ、イギリス艦隊はニュージーランドに戦艦二隻、巡洋艦三隻、駆逐艦五隻を移動。日本軍の到達を待つとことなった。


 三日後。未だ帝国艦隊の姿は見えなかった。


「When will the Japanese army arrive?」

《いつになったら日本軍は来るんだ?》

「who knows! think for yourself」

《知るか!自分で考えろ!》


 四日、五日と時は過ぎ,十三日目。


 ニュージーランドに在留する米軍に驚きの一報が届いた。それは


“ハワイが陥落した”とのことだった。


 時は遡り会議へと戻る。



「ミッドウェー海戦の待ち構えていた動きから、すでに暗号が解読されたと私は考えている」


 そう発言した五十六はそれを逆手に取った作戦を立案した。


 「オーストラリアに侵攻するということを垂れ流し,海軍を引き付け、ハワイに侵攻する。この作戦の利点はアメリカ側の補給を断つことができ,太平洋最重要拠点を占拠できる。今は米国艦隊はいないんだ。とるなら今だろ?」


 帝国軍はこの作戦を実行。インドネシアに駐留した海軍はそのまま、座礁させ、離脱させたように見せかけていた戦艦大和を用い、5月4日ハワイに強襲。艦砲射撃により混乱状態となったハワイは即日陥落した。


 ハワイを落とされたことでアメリカ本国との補給が不安定となったアメリカ海軍は、即時攻撃を求めるものの、英国海軍に拒否され、アメリカへと撤退したのだった。しかし、それを五十六が見逃すはずはなかった。


 次回、オーストラリア沖大海戦前夜

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