第2話 中華攻略作戦

東京・市ヶ谷


「よくきてくれた。牟田口、山下」


陸軍本部にはすでに杉山元参謀総長と、参謀のほとんどが整列していた


「はっ」


隣にいた牟田口が声を出す。それを聞いて杉山参謀総長は頷き、今回呼んだ経緯を話していた


「今回集まってもらったのは他でもない。中華に攻勢をかけるためだ。ついこの間のガダルカナル奪回により敵艦隊は航行不可となっている。これはT機関からの確実な情報だ。

だからこそ自由となったガダルカナル隊を移動させ、中華の制圧を図る。辻、作戦を頼む」


その言葉に疑問を覚え,俺は一つ質問をする


「少し待ってください。それではガダルカナルの防衛はどこが行うんですか?」


「それは海軍が行うこととなっている。同時にペリリュー以東も同じだ」


「それならばよかったです」


「納得してくれたようで何よりです」


そこには眼鏡をかけた30代後半の男ー辻正信が立っていた


「辻参謀。説明を頼む」


「はっ。まずは今回は何より米国艦隊の復活より早く中華を抑えなければなりません。つまりは“敵軍の戦意を即座に裂く”ということが大切になってきます。それには」


「主要都市の早急なる陥落か」


「その通りです山下司令官。マレーの虎とも呼ばれたあなたには、第一段階、今村司令官と共に海南島から香港を占領、重慶目掛け攻め込んでもらいたい」


「はっ」


「香港を占領すると同時に第二段階を始めます。牟田口少将はビルマ方面から北上。山下司令官が敵の目を引いてる間に重慶を目掛けてほしい」


「了解」


「そして第三段界だ。阿南司令官協力のもと,第二方面軍に南進,南京を目指してもらう」


「ここで問題となるのは補給です。この作戦はほぼ一点突破となります。もし戦線が悪化することがあれば,兵への補給は難しくなるでしょう。だからこその第八方面軍の援護です。今村司令官には、仏印からの援護をしてもらいます」


「また、満州方面は満洲国の援護をすでに受け付けている。そしてその穴は,ガダルカナルの兵に埋めてもらう予定だ」


「なるほど。ですがその補給路をイギリスなどに完全に断たれる可能性がありますが……」


「そこは海軍に協力してもらう」


意外な発言に思わず俺は質問を返す


「海軍と?」


「ああ。あいつらに貸しを作るのはいけすかないが陛下の為だ。ここで反転攻勢に失敗したら日本は滅びる。心してかかれ」


そこまで陸軍が腹を括るのは意外だ。それほど本気なのであろう。失敗は許されない


「「はっ」」



抗う中国。国力の限界は近い。


次回、重慶攻略作戦

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