日本の桜 太平洋に咲け

北条綱成

第1話 ガダルカナル救出戦

 カッカッカッカッ


 ガチャ


「失礼します」


 そうやって入ってきたのは陸軍参謀の瀬島龍三だった。


「瀬島君。ドアはノックして入ってくれ」

「杉山参謀総長。それどころではないんです」


 時は1942年。今年6月のミッドウェー海戦にて空母四隻(赤城、加賀、蒼龍、飛龍)が沈没。さらに航空機の多くを失い、太平洋による戦線は崩壊した。


「海軍の馬鹿どものミッドウェーの敗北で我らは圧倒的不利になった。山本はなぜ南雲を更迭しない?だからこそ向こうの戦線はズタズタだろう」


「それは陸軍の我々には如何とも……それよりもです。南太平洋沖海戦ですが、海軍勝利。角田第2航空戦隊司令官の活躍により、ホーネットが撃沈、エンタープライズは中破とのことです」


 10月26日、南太平洋沖にてアメリカ軍太平洋艦隊と大日本帝国聯合艦隊が衝突。結果は角田覚治第2航空戦隊司令官の活躍により空母二隻(翔鶴、瑞鳳)がそれぞれ大破、中破するも,敵空母二隻、ホーネットを撃沈、エンタープライズを中破した。


 また、一月前の9月15日に空母ワスプ、戦艦ノースカロライナが、伊十五型潜水艦伊15の攻撃により沈没していたため、米軍の可動空母はゼロになった。


 しかし史実では、ガダルカナルの奪回には失敗。その後修理されたエンタープライズ、ザラトガが復帰。イギリスから借り受けた空母ヴィクトリアスにより、太平洋戦線での優勢を失っていく。


 だが、ここではガダルカナルの奪回。つまり、ヘンダーソン飛行場基地を占拠したと仮定しよう。


 「よし!よくやってくれた。瀬島!」

 「はっ」

 「一木の無念。これにて晴らせたか」

 「一木殿も報われたかと思います」

 

 先月には、一木清直小将が戦死しており、その弔い戦としてもこの戦いは大切なものだったのだ。


「運は開けた。敵艦隊はもういない。今のうちに中華民国への攻勢を強める!山下、牟田口を呼べ。アメリカの海軍が一時的にでも無くなったったいま、太平洋の陸軍を自由に動かせる。時間は少ない。急ぎ中国にトドメを刺す!」


 次回。中華攻略作戦


 しばらくの間休んでいてすみませんでした。

 他の話はなかなか考えが進まず、休載を続けます。本当にすみません

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