シーフも楽じゃない。眠かったら、異世界の道具屋にいこう!ほぼほぼ、泥棒ですが。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 異世界の道具屋も、えぐいよなー。眼を覚ます良いアイテムは、いかが?

夜は、あぶないから。

冒険者は、活動する時間にも注意したい。

「眠いなあ…」

俺ってさ。

そう言っては、あくびばかりしていたんだよね。

シーフ(盗賊)としては、みっともないな。

「夜に活動することが多い」

そのイメージで考えたら、眠いのも仕方がないのか?

あー…。

ギルドの先輩や盗賊団の師匠には、怒られてばかり。

「目を覚ましてこい!」

冒険者ギルドから、とぼとぼと帰宅する。

帰ったら帰ったで、また、師匠に怒られてさ。

「それなら、師匠?聞きますけど…」

「何だ?」

「目覚め薬のようなアイテムがあれば、教えてください」

言うと、秒で返された。

「あるよ」

すぐに眠気が消えて目が覚めるようなアイテムを売っている道具屋が、あるという。

そりゃ、すごいな。

伝説の道具屋、なのか?

「それで、師匠?」

「何だ」

「その道具屋って、どこにあるんですか?」

「そっち」

師匠が、ギルドの裏手から山側に伸びる一本道を指さした。

その道の先に、丸太小屋で作られた道具屋があるという。

「ふう」

さすがは、山の中。

木々の葉が、邪魔をし続ける。

が、一本道。

「あっ!」

たしかに、山小屋が現れた。

「ここだなー。これが、師匠の言っていた道具屋だな」

が、何かが変。

入口が、見当たらず。

建物ですぐに目に付いたのは、窓くらい。

建物の中から、声が聞こえる。

だれかがいることは、まちがいないんだが。

「ならば…」

窓から入るしか、ないじゃないか。

ここで、大切なことを思い出した。

「日ごろから、盗賊の技術を向上みがけ!」

師匠に、いつも言われているんだ。

「ようし、やってやる!」

いつもいつもあくびをして怒られている自身を、変えていけ!

「キコ、キコ…」

盗賊の道具を使って静かに窓を割り、小屋の中に侵入。

と…?

師匠が、怒りの形相で立っていた。

「こら!俺の家、壊したよな?弁償しろ!」

「ふぁっ?」

次にこう言われると、覚悟していた。

「こらっ!そういうことをするのは、ドロボーだろ!」

が、師匠は意外なことを言ってきた。

「でも、許す。これで、家をリフォームできるな。ほら、金を出せ」

何言っているんだ、この人は。

盗賊の師匠、恐るべし。

だから、夜はあぶないんだ。

良い子は、気をつけてドロボーをしてください。

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