第7話:転校生です。

横島 不治夫よこしま ふじお」とはよりによって・・・。


世界中で一番知られたくないやつにベルのことを知られてしまった。


「説明したって信じないだろうし・・・説明するのも面倒くさい」


「大気、いつの間にこんな可愛い女の子と付き合ってんだよ」


「王子様、もう帰ろうよ」


「まだ授業が残ってんだって・・だからまだ帰れないの」

「なんだよ、おまえこの子から王子様って呼ばれてるのか?」


「おまえには関係ないだろ」


横島よこしま」と僕がとそんなやりとりをしてると、いつの

間にか僕たちの周りに野次馬が集まってきた。

教室で授業を受けてた生徒はベルのことを気づいてないやつが大半だった

が、運動場や外にいた生徒の誰かが窓の外で宙に浮いてるベルをいち早く

見つけたんだろう。

でもって校内中にクチ込みで広がって行ったみたいだ。


「なんでだよ集まるのが早すぎだろ・・・」


ちょっとした騒ぎになっていた。

みんな、それぞれ好きなことを言って騒いでいたがなんせ宙に浮いてる

女なんて滅多に見れないイリュージョンだから・・・目を疑うよな。


しかも制服を着てるからと言ってベルって普通の女子高生とは見た目も

雰囲気も違うし・・・。

どのクラスの女子よりそのビジュアル的には自慢していい。

ベルを直に見た学校中の男子どもは全員、彼女の虜になった。


「まいったな・・・ベルのせいで大騒ぎだよ」

「今更誰にも見つからずに帰れなんて言ったってもう遅いし・・・」

「ひとりで返すのも無理だろうし・・・」


そうこうしているうちにチャイムが鳴って、休み時間が終わって次の

授業が始まった。


「横島、とにかくおまえには関係ないんだから、これ以上ベルに近ずくな・・・

分かったな?」


「い〜や放っておけんな・・・なんせ人間じゃなさそうだしな」


「いいからもうこの子に構うな!!」


横島なんかに構ってられるかよ。

僕は横島から、遠ざけて教室にベルを連れて行った。


「いいかベル、誰かが話しかけて来ても無視すること、いい?」


「は〜い」


大気は理科室から組み立て椅子を持って来てその椅子にベルを座らせた。


「授業が終わるまで、そこで大人しくしててよ、いいね?」


「分かった・・・」


みんな、とりあえずサベルを見てザワついていたけど授業がはじまると

誰も話しかけて来る生徒はいなかったが、それでもベルは絶好の見世物に

なってみんな大気の後ろにいる彼女を代わる代わる見ていた。


授業がはじまってサベルがごそごそやってると当然先生にも見つかるわけで・・・。


「そこの空中そらなかの後ろ・・・君は?」


すかさず大気。


「あの、転校生です」


「転校生?・・・聞いてないぞ・・・」

「まあいいわ・・・机がいるな・・・ま、しばらくはそこで授業を受けるように」


スルーした。


アホな先生でよかった。

って言うか先生もなにかと忙しい、余分なことで自分の仕事を増やしたくないんだ。

そしてようやく授業が終わった。


バルは退屈を持て余して、いつのまにか椅子にもたれて寝てしまていた。


「ノ〜天気でいいな、ベルは・・・」


このまま寝かせてやりたいけど、そうはいかない・・・授業が終わったら

横島がやって来るまえに速攻帰らなきゃ」


「王子様・・・私、お腹すいた・・・」


「ごめんよ・・・無理に学校につき合わせちゃって・・・」


「えへへ、おんぶしておうちまで連れて帰ってくれたらチャラにしてあげる」


とぅ〜び〜こんて乳。


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