第300話 月に叢雲、穴一つ

「バラッシュ様、ジョゼフ・ヨルムです」


 従者の青年の声に恐れや動揺の色は含まれていない。周囲にいる将官たちもそれは同じである。もともとユウだけではなく、クロやラスなどの配下を相手にすることも前提に作戦を進めていたのだ。今さらジョゼフ一人が現れたところで心が揺らぐことはなかった。


「見ればわかる」


 気づかぬうちにバラッシュの手に力が入る。


(間違いなくジョゼフじゃ)


 ジョゼフの登場にジャーダルク軍が気を取られた隙に『三剣』ラモラックの精霊剣リアマ・コアに腹部を貫かれていたユウは、すでに窮地を脱している――にもかかわらずバラッシュの目はユウではなく、ジョゼフに釘付けとなっていた。


「よお」


 ムスッ、とした表情でジョゼフがユウに声をかける。この男、格好をつけて登場したものの、そのあとのことを考えていないのだ。だからどうユウに声をかけていいかわからずに、ぶっきらぼうな態度を取ってしまう。

 考えてみれば奇妙な光景である。万を超える軍勢に囲まれているこの状況で、ユウとジョゼフは見合っているのだ。申し合わせたかのように、互いの身体には無数の矢が突き刺さっており、どちらも不愛想で態度が大きい。親と子ほど年は離れているが髪の色や肌の色は違うし、血は繋がっていない。だが、両者はどこか似た雰囲気を思わせる。


「ジョゼフ、お前なにしに来たんだ?」


 体内より焼かれ、血液が沸騰し、腹部を中心に炭化した身体を高速で再生させながら、ユウはジョゼフに問いかける。

 嫌みで言ったわけではない。その証拠に、ユウはなんとも不思議そうな、どうしてジョゼフがここにいるのか信じられないといった表情である。その言葉にジョゼフはわずかに目を見開き、続いて深い笑みを浮かべた。


「なんだその言い草は? 俺はお前がピンチだと思って、わざわざ来てやったんだぞ」


 下唇を突き出しながら、拗ねたようにジョゼフが言い返す。


「俺がこんな連中に負けるか」

「ワハハッ! 言うじゃねえかっ!」


 普段と変わらぬ強気なユウの姿に、ジョゼフは安心する。

 一方のバラッシュは決断を迫られていた。


「バラッシュ様、ご指示をっ!」

「現れたのはジョゼフのみ! 恐れる必要はありません!」

「先ほど使いの者より。ジョゼフによって破られた外周の包囲網は、一時は混乱していましたが、現在は修復済みと伝達がありました」


 ジョゼフはブエルコ盆地の外周からユウのいる中心地まで、一直線に進行してきた。つまり外周を包囲する三万の兵すべてを倒してきたわけではなかった。外周を担当するジャーダルク軍は、ジョゼフを止めれないと判断するや否や、崩れた包囲網の修復を優先したのだ。


「ジョゼフの得物は?」

「聖魔剣です」


 バラッシュの問いに、従者の青年がすぐさま返事する。バラッシュが瞑想するかのように瞼を閉じる。数瞬して、その年齢に見合う垂れ下がった瞼が上がると――


「作戦続行じゃっ」


 バラッシュの決断に、この場にいる誰もが当然だと思った。すでにユウの手によって殺された兵の数は千を超えている。これだけの犠牲を出しておいて、作戦の中断など考えられなかった。

 将官たちが迅速に兵へ指示を出していく。まずはジョゼフを排除し、そのご速やかに破られた包囲網の修復をと思っていた矢先――


「なにを考えているっ!?」


 ジョゼフの行動に、兵の一人が驚きの声を上げた。なぜならジョゼフは自ら包囲網の中へと歩を進めたからである。


「なにがデリム帝国の英雄だ!」

「自ら死地へ足を踏み入れるとは愚かなっ!!」


 重装騎兵たちが素早い動きで破られた包囲網を再構築していく。それに合わせて攻撃が再開される。


「放てっ!!」


 弓兵隊から矢が放たれる。その矢に隠れるように負の付与魔法が混ぜ込まれていた。とはいえ、これまでの攻撃とそれほど違いがあるわけではない。しかし、三点ほど大きな違いがあった。

 一点目は攻撃の起点となるテオドーラからの負の付与魔法がピタリと止まったのだ。なにかの罠かとユウは疑うが、テオドーラの場所すら特定できない時点で、それを考えるだけ無駄だと、矢と魔法を防ぐのに力を注ぐ。

 二点目はジョゼフの存在である。これまではユウだけに集中していればよかったジャーダルク聖騎士団は、否が応でもジョゼフに力を割かねばならなくなったのだ。つまりユウの負担が目に見えて減ることとなる。

 三点目は――


「かっ!!」


 ガラハットが聖剣技LV4『聖光刃』を発動。聖属性の光の刃で覆われた聖剣デュランダルでユウに斬撃を放つ。対するユウは無数に散らばっている武器の中から剣を拾い上げ、剣技『闘刃』を発動。聖なる刃と闘気の刃がぶつかり合った結果、周囲へ衝撃波が拡がっていく。


「ちぃっ」


 舌打ちを鳴らしながら、吹き飛ばされたガラハットが宙で身体を捻って着地する。


「一の剣を躱したかっ!」


 ガラハットに続くはパーシヴァルである。剣技を放った直後に起きる刹那の硬直時間を、パーシヴァルは見逃さない。魔剣アロンダイトを横薙ぎに振るう。本来であれば青紫色の刃が青黒く染まっている。目を凝らせば、刃に死霊が纏わりついていることに気づくだろう。暗黒剣LV5『髑髏無影斬どくろむえいざん』である。死霊と剣気を纏う刃の一撃を生者が喰らえば、肉体と精神を蝕むであろう。

 受けを許さない魔剣アロンダイトも相まって凶悪な攻撃である。ユウは剣では間に合わぬと、黒魔法第4位階『ラヴァ』を発動させる。大地より溶岩が勢いよく噴き出す。パーシヴァルは自身にかかる溶岩を物ともせず剣を振り抜く。溶岩が横に真っ二つに斬り裂かれるも、そこにユウの姿はなかった。しかし、さすがのユウも体勢がわずかに崩れていた。


「これも躱すかっ。だが――ラモラックっ!!」


 一の剣で打ち合い、二の剣で崩し、三の剣で止めを刺す。超一流の剣の使い手が一糸乱れぬ連携で攻撃するのだ。必殺の攻撃と言えるだろう。現にユウはこの連携を攻略できずにいた。


「おおおおおぅーっ!!」


 地を駆けるラモラックが精霊剣リアマ・コアに力を込めると、炎が迸る。そのまま剣を振り抜こうとするのだが、その刃が途中で止まる。


「ぬおっ!?」


 ジョゼフの仕業であった。左手に握る聖剣聖炎ホーリーフレイムで、精霊剣リアマ・コアを受け止めていたのだ。聖剣の炎と精霊の炎、同じ炎属性が侵略するかのように絡み合い、互いの刀身が高熱と圧力によってギシギシと悲鳴を上げる。

 これが三点目である。ユウが不利な状況になった際に、絶妙なタイミングでジョゼフが援護するのだ。


「か、片手で私の剣を止めただとっ!」

「お前ら、恥ずかしくねえのか? ガキ相手によってたかってよ」


 全身で剣を振り抜こうとするラモラックに対して、ジョゼフは丸太のように太い左腕一本で受け止めていた。


「黙れっ!! 異端者め!!」


 ラモラックが両の腕にどれほど力を込めようと、剣はびくともしなかった。


「なにをしておる! ジョゼフの足止めくらいせぬか!!」


 ガラハットが叱責するが、ジャーダルク軍とて手をこまねいていたわけではない。先ほどからジョゼフに攻撃を仕掛け続けているのだ。ただ、ジョゼフの実力がそれを上回っているだけの話である。


「膂力は認めよう。しかし、それでは私には勝てんぞっ!」


 ラモラックが力では敵わぬと、力に逆らわずに剣を引きながら流れるように突きを放つが、ジョゼフはその巨体に見合わぬ軽やかな動きで突きを躱し、後方へ飛び退く。


「今だっ!」


 ジョゼフのことをまるで不倶戴天の敵かのように、ジャーダルクの槍騎兵隊が突撃を開始する。その兵と兵の隙間を縫って、無数の矢が先にジョゼフへ襲いかかった。矢に怯めば良し、仕留めること叶えばなお良し、たとえ両方が叶わなくとも、これだけの矢を前にすればジョゼフの足は止まる。そこを槍騎兵が一斉に突撃すれば、あとは自分もいるのだどうとでもなると、槍騎兵隊を率いるシュテファンは考えていた。


「なっ!?」

「突っ込んできただとっ!!」

「あれだけの矢を躱し……きれていない!? 矢を受けても構わず突っ込んでくるぞ!」


 目や喉など最低限の急所だけ護りながら、ジョゼフは槍騎兵に向かって突進する。高速で飛来する鏃がジョゼフの頬や耳を抉るも、走る速度は落ちずにそのまま槍騎兵隊とぶつかる。


「ぐおおぉぉっ……」

「ごぼぇ!?」

「こ、この……っ!」


 前列に並ぶ十数人がジョゼフの突進を受けて宙へ舞う。


「死ねえ!!」

「お前が死ね」


 槍の刺突を躱しざまにジョゼフが斬りつける。槍騎兵の男は頭部への直撃は躱したものの、鎧ごと右肩から左胴まで逆袈裟に斬られる。だが、その致命傷ともいえる傷が高速で再生していく。後衛術師たちから聖糸を通じて送られてくる、莫大な量の回復魔法の効果によるものである。ジョゼフに斬りつけられた槍騎兵の男が不敵な笑みを浮かべるが、その直後にジョゼフが首を刎ねる。


「斬られてなにが嬉しいんだ?」

「ぬおおおっ! ジョゼフ!!」

「気安く呼び捨てにすんな」


 ジョゼフが右薙ぎの斬撃を振るう。槍騎兵の一人が咄嗟に槍で受け止めるも、その槍ごと身体が真っ二つとなる。


「馬鹿なっ!?」

「こちらは付与魔法の支援を受けているのだぞ!」


 ジョゼフの一撃一撃が尋常ではない威力であった。受ければ槍を、剣を、盾を、鎧ごと叩き斬るのだ。まさに剛の剣と言えるだろう。

 ジョゼフの後方より負の付与魔法が飛んでくるが、それを暗黒剣『吸魔』で受け止める。攻撃魔法や相手にかかっている付与魔法などを吸収する技なのだが、魔力がそれほど高いとは言えないジョゼフでは、三百人もの後衛術師による負の付与魔法を吸収しきることができない。


「馬鹿めっ、貴様ごときが受けきれるものかっ!」

「誰が馬鹿だ」


 ジョゼフは魔法を受けきれぬと見るや、傍にいた槍騎兵へ負の付与魔法をなすりつける。三百人分もの魔力が込められた負の付与魔法を受けた槍騎兵は全身が瞬く間に腐り果て、悲鳴を上げることすらできずに崩れ落ちていく。


(いったいどういう男なのだっ)


 シュテファンはジョゼフとの攻防を繰り広げながら思考する。デリム帝国のセブンソード筆頭にして、英雄と名高いジョゼフ・パル・ヨルムの名はシュテファンとて当然だが知っている。


(なるほど噂に違わぬ剛剣だ。しかし、俺の槍が劣っているとは思えん)


 ジョゼフの剣を槍で受けたシュテファンが受け止めきれずに、吹き飛ばされる。すぐに槍騎兵たちがシュテファンを護るために、ジョゼフへ襲いかかる。


(この剣撃の威力……っ! まさか取るに足らない話と思っていた、ジョゼフが自由自在にクリティカルを繰り出すという話は真であったか!!)


 無数の矢に対して猪のごとく突進してくるかと思えば、負の付与魔法に対しては最善の対応をしてくる。獣と見間違うほど攻撃的かと思えば、ひとたび護りに入れば容易には崩せない。どんなつわものであろうと、剣や身のこなしには癖があるものなのだが、ジョゼフにはそれが見受けられない。否、癖が強すぎて、シュテファンには見極めることができずにいた。


「ぬうっ。どこを狙って――」


 ジョゼフがあらぬ方向へ剣技LV4『飛刃ひじん』を放つ。飛ぶ斬撃が向かった先は、ユウと交戦中の『三剣』ガラハットの背である。しかしさすがは『三剣』と名高いガラハットであった。すぐさまジョゼフの攻撃に気づくと、背後からの斬撃を剣で斬り落としたのだ。


「――魔王の援護をさせるな!」

「誰が魔王だ、馬鹿野郎がっ!」


 ユウを魔王呼ばわりした槍騎兵の一人が、ジョゼフの二刀によって縦横の十文字に斬り裂かれる。


「己っ!! よくも――がふぅっ」

「うるせえ死ね」


 次々とシュテファンが手塩にかけて育てた槍騎兵が、ジョゼフの手によって死んでいく。シュテファンはテオドーラからの支援を期待するも、ジョゼフどころかユウにすら攻撃の手が止まっていることに気づく。なにか良からぬ問題でも起きたかと、伝達の兵を送ろうとしたそのとき――鏑矢かぶらやが上空に放たれた。鏑矢とは鏃の根元に取りつけられた鏑によって音が鳴る矢で、戦場では合図などに使われるものである。


(この音はっ!)


 ジョゼフの周囲から一斉に槍騎兵が距離を取るのと同時に、空から流れ星がジョゼフ目掛けて降り注ぐ。流れ星の正体は矢であった。テオドーラが張り巡らしている結界に干渉しないギリギリの高度から、弓技LV7『流星』を第四大隊の隊長が放ったのだ。魔力で創られた数千にもおよぶ矢がジョゼフを貫いていく。


「おお……っ! さすがは『射影殺』、その弓の腕は聖国ジャーダルクで並ぶ者なしと謳われるだけのことはある!!」

「見よっ! ジョゼフめ、たまらず身体を丸めておるわ!!」

「シュテファン様、ジョゼフへ止めをっ!」

「旅団長、今こそ皆の仇を!!」


 部下の言葉にシュテファンはわずかに頷くと、槍をジョゼフに向かって構えた。弓技『流星』と自分の槍が接触するのを恐れ、技の終わり際に自らが使える最高の槍技、巨人ですら一撃で屠る『巨孔滅旋撃ギガ・メデス』を放つべく。だが、ジョゼフの姿にシュテファンは違和感を覚える。二刀であったはずのジョゼフの手に、いつの間にやら剣が一本しか握られていないのだ。いや、剣を握っている手は見えなかった。ただジョゼフの身体からはみ出るように大剣・・が見えたのだ。


(なんだあの大剣は?)


 身体を丸めていたジョゼフの身体が圧縮するかのように縮まっていき、半身となる。そこからさらに身体を捻じると、シュテファンからはジョゼフの大きな背中が見える。その姿勢は鞘こそないものの、抜刀術の構えに酷似していた。


「躱さんかっ!!」


 バラッシュの声に反応できたのはシュテファンだけであった。地べたへ這うように屈むと、なにかが先ほどまで立っていた場所を通り過ぎていくのを感じる。否、そのなにかをシュテファンは己がまなこで見ていた。二刀から一本の大剣へと、真の姿に戻った聖魔氷炎剣より放たれた剣技『神魔覆滅アーバー・ヨルン』を。


(し……信じられんっ。いや、今のは『剣技』……なのか!? 技を発動した瞬間、『剣技』『聖剣技』『暗黒剣』『戦技』の少なくとも四種類の異なるスキルを使用していたぞ)


 シュテファンはジョゼフの繰り出した『剣技』に驚くが、後ろを振り返って愕然とする。

 ジョゼフの前方にいた自分を除く、槍騎兵、重装騎兵、弓兵隊、後衛術師、さらにその先にある木々が遥か彼方まで消失していたのだ。少なく見積もっても千を超える兵が、下半身だけを残してこの世より消え去っていた。


「お~、いてて」


 軽い口調でジョゼフは呟く。千を超える命を奪っておいて、感情に揺らぎが微塵も感じられない。熟練の兵や一流の者であればあるほど、戦場での感情の乱れが自らの死へと繋がるのを理解している。だが、これだけのことをしでかしておいて平常心であるジョゼフに、シュテファンは恐怖を覚える。

 自分を囲むジャーダルクの兵をよそに、ジョゼフは全身に力を入れる。すると、身体に突き刺さっていた剣や槍に矢が筋肉に押し戻されて抜け落ちていく。しかし攻撃が効いていないように見えても、ジョゼフの足元には大量の出血によって、血だまりができていた。最後にジョゼフは右目に刺さっている魔力の矢を、抉られた眼球ごと引き抜いて放り投げる。


「これでよし。なんだなんだ? わざわざ待っててくれたのかよ。まあ戦いは始まったばかりだ。ゆっくり楽しもうぜ」


 強大な魔物を相手になら恐怖したことはある。だが、同じ人族を相手に戦慄するなど、シュテファンにとって初めての経験であった。


「ジョゼフ一人にいつまで手間取っておる!」


 一向に合流する様子のないシュテファンたちに、ガラハットが焦りからか苛立ち、声を荒らげる。


「シュテファンたちの助攻に向かっても?」

「パーシヴァル、頼む」

「任された」


 そう言うと、パーシヴァルはジョゼフのほうへ駆け出す。


「いいのか? お前らは三人で一人前なんだぞ」

「ぬかせっ。貴様など、我らだけで十分よ」


 ユウの挑発にガラハットが歯を剥き出しにして言い返し、ラモラックは無言のまま剣を構える。

 ユウを囲む輪が徐々に狭まっていくのだが、それよりもユウが動くほうが速かった。


「むっ。気をつけろ!」


 ユウを中心に緑や紫の霧が立ち込める。なんらかの魔法を発動したと、ジャーダルクの兵が警戒を強める。


「これはなんの魔法だ」

「付与魔法『ポイズンミスト』だ。しかしこれは……魔王め、なにを考えているっ」


 ユウが発動したのは付与魔法第4位階『ポイズンミスト』、対象に毒の霧を纏わせる負の付与魔法であった。それをユウは自分自身にかけたのだ。


「我慢比べだ」


 毒の霧の中からユウの声が聞こえた。


「くだらん真似を」

「魔王の罠かもしれんぞ」


 「魔王の悪足掻き」とガラハットが切って捨て、「不用意に魔王の言葉に惑わされるな」とラモラックが助言するのだが。


「この場に悪を前に怖気づく者などいようかっ!」


 ガラハットの言葉を証明するかのように、恐れを知らぬジャーダルク兵が次々に霧の中へ飛び込んでいく。たとえ毒の霧であろうと、毒耐性の付与魔法を受けているジャーダルク兵からすれば、それほど脅威ではないとの判断であった。


「ぬう……っ!」


 霧の中から死体となった兵が、ゴミでも放り投げるかのように飛び出てくる。


「急いだほうがいいぞ」


 霧のせいで姿は見えないが、間違いなくユウの声であった。


「風魔法の使い手はいないのか!」

「すでに風魔法を使用していますが、どうやら魔王が妨害しているもよう」

「魔王めっ」


 二度、三度とジャーダルク兵が霧の中へと突撃するが、結果は同じであった。


「これでは埒が明かない。私が行こう」


 無駄な兵の消耗を恐れ、ラモラックが精霊剣リアマ・コアを手に霧の中へ突入する。数メートルほど足を踏み入れたところで、右側から横薙ぎに剣が迫る。鋭い一撃であるがラモラックの腕を以てすれば、しのぐのは容易い。ラモラックは剣を弾くだけにとどまらず、ユウの肩に一撃を与える。


「隠れずに出てきたらどうだっ!」

「へえ。ビビって入ってこないと思っていたのにな」

「私にはわかっているぞ。まともな剣戟では勝てぬから、このような策を弄するのだろう」

「どうだろうな」


(虚勢ではない。ならば狙いはなんだ? 時間稼ぎをしてジョゼフ以外の味方が来るとでも――)


 ユウとしばし剣戟を繰り広げながら、ラモラックの頭の中は嫌な予感で埋め尽くされていく。確たる根拠はないが、この霧は一刻も早く払うべきだと、ラモラックは精霊剣リアマ・コアの力を全解放する。刀身から炎が迸り、炎の渦が毒の霧を空へと巻き上げていく。霧が晴れた場にはユウとラモラックだけが立っており、物言わぬ屍と化したジャーダル兵がそこかしこ無造作に転がっていた。


(死体はそのままか。死霊魔法でアンデッドを創るのが目的ではな――なんだあれはっ)


 ユウの足元が光っていた。光っているモノの正体は無数の魔力の糸で、それが束になって淡い光源のように光っているのだ。魔力の糸は大地へ潜るように溶け込んでいた。


「もう少し時間があればな」


 ユウから膨大な魔力の流れをラモラックは感じ取っていた。その魔力がユウの全身から足元へと流れ込んでいく。


「いかん! 聖糸をき――」


 精霊剣リアマ・コアで、ラモラックが自身に繋がる聖糸を斬りながら叫ぶのと同時に爆発が起きる。

 ユウが聖糸を利用して発動させたのは、龍魔法第5位階『龍焔曝燃焼ナパール・デロン』。至るところで爆炎がジャーダルク兵を包み込む。粘着質な炎は水では消すことができず、また周囲から大量の酸素を奪い去った。声にならない絶叫を上げながら、ジャーダルク兵が酸欠による窒息死、または焼死していく。ユウと対峙していたジャーダルク兵はまだいい。ラモラックの声に反応して、咄嗟に聖糸を切断することができたのだから。ツイてなかったのは距離を取っていた重装騎兵や聖繋横陣せいけいおうじんを張り巡らしていた後衛術師である。ユウの攻撃魔法に対して、多くの兵の反応が遅れたのだ。


「被害状況を報告せよ」

「ふ……不明です」

「すぐに調べて報告するんだっ!」


 バラッシュの従者の青年が思わず声を荒らげる。少なく見積もっても、作戦の要である後衛術師の二割以上を失っていた。しかも、ユウが見えない地中から聖糸に干渉する以上、聖糸を通じての回復および付与魔法の支援をすることが事実上できなくなったのだ。


「この惨状を見よ! すべて魔王が引き起こしたものだ!!」

「お前らからユウに喧嘩を吹っかけておいて、よく言うぜ」


 パーシヴァルの剣を受けずに躱しながら、ジョゼフが言い返す。わずか一合剣を交えただけで、ジョゼフはパーシヴァルの剣と打ち合うのは危険と判断したのだ。


「異端者め! 死ねえええっ!!」


 重装騎兵たちが、パーシヴァルとやり合うジョゼフに向かっていく。腕をもがれようが、足を斬り落とされようが、ジョゼフの身体にしがみつく。


「この、うぜえ――ぐおっ……」


 大楯を構えたセサルが、槍騎兵もろともジョゼフに盾技『オーラシェル』で体当たりをかますと、ジョゼフと槍騎兵たちの鎧と骨が悲鳴を上げながら砕ける音が響き渡る。


「そなたらの犠牲、無駄にはせぬぞ!!」


 闇夜に跳躍したパーシヴァルが剣を掲げる姿が目に入る。久しぶりの死臭を前にジョゼフは飛び退こうとするも。


「に……逃がすも、のがあぁっ!!」

「異端……し……者に……死をっ」


 死を覚悟したジャーダルク兵が、ジョゼフの腰や足に纏わりつく。躱せぬと判断したジョゼフは、自らの左腕をパーシヴァルの剣に向かって突き出した。


「そんなもので防げるとでもっ!!」


 魔剣アロンダイトの刃が抵抗もなくジョゼフの手のひらを割り、そのまま左前腕の肉と骨を割いていく。左肘のあたりまで刃が進んだところで、ジョゼフは強引に左腕を振り払った。


「なっ」


 パーシヴァルが驚きの声を漏らす。

 剣の軌道が逸れ、ジョゼフの頭部を叩き斬り絶命させるはずの一撃は、左腕を斬り落とすにとどまる。

 今度はパーシヴァルが自身に漂う濃密な死臭を嗅ぎ取る。ジョゼフはすでにパーシヴァルの首目掛けて、聖魔氷炎剣を振り下ろしている。剣を振り切ったパーシヴァルにそれを躱す余裕はない。


「ぬおおおおーっ!!」


 セサルがジョゼフとパーシヴァル、両者の間に割って入る。大楯でジョゼフの一撃を受け止めるが、自慢の大楯が横に真っ二つに割れ、鎧にまで斬撃が刻まれる。それでも死の一撃からパーシヴァルを護りきったのだ。


「素直に死んど――け……おぉ?」


 吹き飛ぶ二人へ、止めの一撃を刺そうとしたジョゼフの腹から槍が生えていた。


「『セブンソード』ジョゼフ・ヨルム、『穿孔』シュテファンが討ち取ったり!!」


 死んでもジョゼフにしがみついていた槍騎兵の身体ごと、シュテファンが槍でジョゼフを貫いたのだ。


「勝手に殺すな」


 腹から槍を生やしたまま、ジョゼフは剣技『回転斬り』を放つ。横回転の斬撃が、シュテファンやしがみつく槍騎兵の遺体を蹴散らす。


「ぐおおぉぉ……ば、化け物めっ」


 口から血を吐き出しながら、シュテファンがジョゼフを睨みつける。


「ごふっ……。く、くそっ。血が足りねえな」


 ジョゼフが聖魔氷炎剣を肩に担ぎ、周囲を見渡す。

 右目を失い、左腕もない。腹を貫通している槍はジョゼフの血で真っ赤に染まっている。まさに満身創痍である。それでも残る左目の眼光は鋭く、闘気は衰えるどころか燃え上がるように猛っている。


「もはやジョゼフは死に体だ! 恐れることなかれ!!」

「お前がかかってこいよ」


 兵へ発破をかけるパーシヴァルに向かうジョゼフであったが――


「止めを刺してや――ちっ」


 殺気を感じ取ったわけではないにもかかわらず、ジョゼフはほとんど本能的にその場から飛び退く。しかし、それよりも速く光の糸がジョゼフの右腕や足に絡みつき、また身体を貫き、大地へ縛りつけた。


「おおっ! 聖女・・殿、助攻に感謝する!!」


 パーシヴァルが動けぬジョゼフへ一撃を放とうとするのだが、結界に阻まれる。万物を斬り裂くと言ってのけたパーシヴァルの魔剣アロンダイトが結界で弾き返されたのだ。


「なにを考えておられる! 聖女殿、説明していただこうか!!」

「あんたこそ私の・・ジョゼフになにするのよ。殺されたいの? あと聖女の前に最強の二文字をつけなさいよ」


 浮遊する光り輝く卵型の結界でジョゼフの傍まで移動すると、テオドーラは結界を解除し姿を見せる。


「なにを考えておられる!」

「うるさいわね。その厭らしい目で私を見ないでくれる。視線で穢されるわ。これだからロリコンは嫌なのよ」

「な……っ!?」


 納得がいかないパーシヴァルをシュテファンやセサルが諫める。


「パーシヴァル殿、今は一刻も早く合流すべきかと」

「止むを得ない」


 ここでジョゼフに止めを刺せないのは本意ではないが、今はそれよりも優先するべきことがあると、パーシヴァルたちは兵を連れてユウと戦っているガラハットたちのもとへ向かう。


「テオ、どういうつもりだ?」

「久しぶりにあったのに、ふ……ふふっ。よく私だとわかったわね」

「わかるもなにも、昔と変わらずちんちくりんのまんまじゃねえか」


 テオドーラの姿は、ジョゼフが最後に別れたときとまったく変わっていなかった。


「あまり動かないほうがいいわよ。いくらジョゼフでも死んじゃうわ。あとは私に任せておとなしくしていることね」

「見損なったぞ。お前がこんなクソみてえな真似に手を貸すなんてな」

「私がこんな卑劣な行為に加担するわけないでしょうが」

「なにを言ってんだ。現にお前は――」


 テオドーラはジョゼフの傷を確認しながら「大の大人がよってたかって子供をいたぶるなんて最低ね」と呟く。


「お前、変な薬でもやってんじゃねえだろうな?」


 先ほどからジョゼフはテオドーラの拘束を解こうとしているのだが、身体がピクリとも動かなかった。


「ジョゼフこそさっきからなにを言っているの? 私が、私が? おかしいわね。とにかく動かないで、傷も今は最低限しか治さないけど、あとで完璧に治してあげるわ」


 テオドーラがジョゼフを拘束した旨は、軍の指揮を執るバラッシュのもとまで迅速に報告されていた。


「テオドーラ様はなにを考えているんだ! 対魔王用の拘束魔法をジョゼフに使うなんて!!」


 従者の青年が感情を露にする。それも仕方がないことであろう。テオドーラは勝手に持ち場を離れ、そのうえユウを拘束するために準備していた魔法をジョゼフに使用したのだ。


「いや、悪くない判断だ」

「ですがバラッシュ様っ」

「儂も最初から作戦どおりにことが運ぶとは思っておらんよ。こういうこともあろうかと、別に拘束魔法の準備をしておいたはずじゃ」

「あの拘束魔法は千人の後衛術師の魔力をもってしても、あまりにも発動に時間がかかります。魔王がおとなしくかかるとは、私には到底思えません」

「そこでジョゼフが役に立つ」

「ジョゼフが? どういう意味でしょうか」

「今にわかる。儂らも魔王のもとへ向かうぞ」


 バラッシュの言った言葉の意味もわからぬまま、本陣が移動を開始する。


「ぜぇぜぇっ。ま、魔王め、さすがしぶとい」


 ガラハットが肩で息をしながら剣を構える。聖糸からの回復魔法、付与魔法の支援が期待できなくなり、周囲を見渡せば多くの兵が傷を癒すこともできずに息絶えていた。

 一方のユウも無傷とはいかなかった。ジョゼフの対処で割かれていたパーシヴァルたちが合流したのだ。再びユウへ負の付与魔法が集中し、また『三剣』の連携も復活したため多くの手傷を負わされていた。


「前を空けよ」


 ユウを包囲する兵の間からバラッシュが姿を見せる。その瞬間、ユウは黒魔法第4位階『スチールブレット』を百発ほど発動させるが、バラッシュを護る重装騎兵たちが盾で防ぐ。


「ちっ」

「ふむ、ふむふむ。魔王殿はまだまだ元気と見える。じゃが、これだけ暴れたんじゃ。そろそろ捕獲されてくれんかの?」


 前線に現れたバラッシュに、ガラハットたちは驚きを隠せずにいた。見てのとおりユウはまだ余力を十分に残しており、説得に応じるような者ではない。そのことはバラッシュも理解しているはずである。


「泣き言か? 誰が――」


 バラッシュが右腕を上げると、包囲網の一角が開けていく。開けたその先、闇夜でさらに距離もあるが、ユウの視力を以てすれば拘束されているジョゼフの姿が見えた。


「ほう……そうかそうか」


 ユウの顔色を見て、バラッシュが深い笑みを浮かべる。年老いたバラッシュの皺も相まって、その笑みは深く、醜悪な笑みにも見えた。

 ジョゼフが現れてから、ユウが見せたわずかな感情の揺らぎをバラッシュは見逃さなかった。それは戦いながら離れた場所にいるジョゼフを気にかける素振りや、ジョゼフからの援護があった瞬間などである。


「魔王殿、ご覧のとおり。ジョゼフの命は儂が握っておる」


 ユウは両手に剣を握ったまま、バラッシュを睨みつける。


「無駄な抵抗を止める気になったかのう?」


 ガラハットたちは、魔王がそんな脅しに屈するわけがないと、バラッシュの考えを理解できずにいた。


「残念じゃ。では――」


 バラッシュが上げた右腕を振り下ろそうとしたそのとき――


「止めろ!」

「うーん? 今、なにか言ったかのう?」

「止めろって言ったんだ。そいつに手を出すな」


 その言葉にバラッシュは満面の笑みを浮かべた。バラッシュ以外の者たちは一様に信じられないといった表情である。だが、この場にいる誰よりも、ユウ自身が自分の言った言葉に驚いていた。ユウは武器を放り投げ、纏う『闘技』も解除し、完全に無抵抗となる。


「今じゃっ!!」


 バラッシュの号令とともに、千人にもおよぶ後衛術師によって使用することが可能な神聖魔法第11位階『咎人磔ゴル・ゴ・ダビス』が、ユウの足元より発動する。黄金の磔台がゆっくりと構築され姿を現し始める。どれほど強力な拘束魔法でも、これでは動く相手を拘束することなど普通ならば不可能だろう。ただし、相手が動かなければ話は別である。

 黄金の蔦が無抵抗のユウの四肢を縛りつけ、磔台から飛び出た杭がユウの両手のひらや足首を貫いた。


「い……異端者め!!」


 突如、兵の一人が動けぬユウを殴りつけた。


「よくも、よくもっ! 仲間を殺してくれたなっ!!」


 続いて別の兵がユウの顔を殴る。

 自らが信仰する神を貶め、仲間を、戦友を何千人と殺した相手が、異端者が、魔王が、神の敵が拘束され抵抗できないのだ。

 それでなくともこの場にいるのは、聖国ジャーダルクでも特に光の女神イリガミットを崇拝する者たちである。聖戦のためならば命も惜しくない者たちが暴徒と化した。最初は数人だったのが、一気に数千人もの兵が無抵抗のユウへ暴力を振るうために殺到し始めたのだ。


「なにをやっておる。すぐに止めさせよ!」


 これはバラッシュも予測していなかった事態である。すぐに従者の青年や将校たちが、暴徒と化した兵たちのもとへ行き制止の言葉をかけるが、数千人の怒号に声はかき消される。


「退けっ! 俺を通せ!!」


 兵を力尽くでかき分けながら、ドロスがユウの前に姿を現す。『咎人磔ゴル・ゴ・ダビス』の効力によってすべてのスキルを封じられたユウの顔は暴行によって腫れ上がり、身体中に痣ができている。


「へ、へへっ。いいざまだな」

「誰だお前? ああ、俺から逃げ回っていた奴か。たしか二つ名は『逃げ足』のドロ――がはっ」


 ドロスの右拳がユウの脇腹にめり込む。


「あばらを砕かれたら息をするのも苦しいだろ? あん? なんとか言ってみろよ!」

「恥ずかしいや――」


 今度は反対側の脇腹にドロスの左拳がめり込む。


「最低な連中ね」


 テオドーラが吐き捨てるように呟く。


「――せろ。殺すぞ。今すぐに止めさせろ」


 血走った目のジョゼフが、拘束を破ろうと全身に力を込める。その目にはユウが嬲られる姿が映っている。


「おらっ!」


 砕かれたユウのあばらにドロスが拳を深く突き刺す。そのたびにユウの口から血が飛び散る。


「許してくださいって言えば、少しは手加減してやるぜ?」


 ドロスの暴行を止める者は周囲にいない。むしろもっとやれと囃し立てる。


「お前みたいな弱虫にか? 冗談でも笑えないな」


 こめかみに青筋を立てたドロスが拳を何度も振るう。歯が砕け、折れた骨が皮膚を突き破ろうと、それでもユウは屈服するどころか蔑んだ目でドロスを見る。


「その目を止めろっ!!」


 どれほど痛めつけてもユウの目は変わらない。苛立つドロスの顔へ、ユウが血の混ざった唾を吐きかける。


「こ、この、野郎……っ。その目で俺を見るんじゃねえって言ってんだろうがっ!!」


 顔を拭ったドロスが、ユウの右頬に手のひらを当てる。そのまま親指を立て、眼窩に引っ掛けると――一気に親指を押し込んだ。


「あははーっ!! ざまあみろ!! ジョゼフと同じ見た目にしてやったぞ!!」


 宙にユウの右目が舞い、地面に落ちた眼球を踏み潰しながらドロスが高笑いを上げる。


「俺の――だぞ」


 繊維が千切れるような音がテオドーラの耳に届く。続いてなにかを引き抜く音が聞こえた。


「それで終わりか?」


 残る左目で変わらぬ態度で自分を見るユウの姿に、ドロスの怒りが頂点に達する。


「そっか、そうだよな。どうせこいつを聖国ジャーダルクに連れ帰っても、待っているのは悲惨な末路だもんなぁ……」


 ドロスが『闘技』を全開にして右腕に力を集め始める。


「ハハッ。これを喰らっても、その減らず口が叩ければ大したもんだ」


 ドロスの視線から狙いはユウの下腹部である。


「歯を食いしばっておけよ」


 まさに今、拳を放とうとしたそのとき、ドロスの頭上を背後から光閃が通り過ぎていく。光閃はユウを拘束する磔台の上部を貫通し、そのまま上昇して天に穴を穿つ。雲にぽっかりとできた巨大な穴から満月が姿を覗かせ、ユウを柔らかな光で照らした。


「ジョ……ジョゼフ、あなたをっ」


 テオドーラの目に、槍を手に突きを放ったジョゼフの姿が映る。光糸の拘束を無理やり破ったためか、ジョゼフの全身は肉が裂け、骨が露になっていた。


「なんということじゃ。ジョゼフが槍をっ!?」


 恐れていた事態にバラッシュは狼狽する。


「な、なんだ今の――ぎゃあああっ!? お……俺の目が、目がぁ~っ!!」

 

 ドロスが目を押さえながら地面を転げ回る。

 ユウの足元から飛び出したなにかが、一瞬にしてドロスの両の目を抉り取ったのだ。続いて五つ、六つと影が飛び出してくる。

 ニーナの『影転移』によって、ラスたちがユウの前に現れたのだ。

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