第25話 お買い物
魔物の素材を売って、手に入ったお金を3人で分けた。俺とニーナは共同でお金を管理している。ニーナ曰く、そっちの方が楽だからだそうだ。
レナは余り貢献もしていないし、勉強になったからと辞退しようとしたが、無理やりお金を渡した。
「ジョゼフさんって、Bランク冒険者なんだって~」
「……あれは変態」
(あのセクハラ親父でBランクか……)
今、俺たちが向かっているのは魔道具を販売している店だ。いくつかコレットさんに紹介してもらったが、高級店は常連の紹介か、Cランク以上の冒険者じゃないと販売してもらえないそうだ。
「おい、ありがとうな」
そう言って、ユウはレナにアイテムポーチを返す。
「……おい、ではない。レナ」
このやり取りも何回目か……。そうこうしているうちに魔道屋に着いた。
目当てはアイテムポーチだが、様々なアイテムが置いている。装飾関係のアイテムも置いているが、スキルがついている物はやはり高い。
アイテムポーチ(6級):1,200,000マドカ
アイテムポーチ(5級):3,000,000マドカ
お目当ての物があったがやはり高い。自分で創れないかと眼に集中する。
アイテムポーチ(6級):布袋・ベナントスの胃袋・錬金術LV3
アイテムポーチ(5級):丈夫な布袋・ベナントスの上質な胃袋・錬金術LV5
ベナントスの胃袋? とやらが手に入れば創ることはできそうだ。
「ユウ、やっぱりアイテムポーチは高いね~」
「装備も買うから1番安い6級な」
ニーナが真剣に6級のアイテムポーチを選んでいる。違いはないと思うが眼が真剣なのでそのまま任せる。その間にスキルつきの装飾品をチェックする。
パララの腕輪(6級) :麻痺耐性上昇 250,000マドカ
メッシの腕輪(5級) :毒耐性上昇 300,000マドカ
魔除けの腕輪(5級) :不意打ち確率減少 330,000マドカ
癒しの指輪(5級) :HP回復速度上昇 360,000マドカ
アレストリング(6級) :毒耐性上昇 180,000マドカ
西の魔女のペンダント(5級):魔法耐性上昇 430,000マドカ
いくつか見てみるが、大層な名前がついており値段も高い。こちらも素材をチェックする。
パララの腕輪(6級):普通の腕輪・魔玉(パララサスセラピー)・錬金術LV2
メッシの腕輪(5級):普通の腕輪・魔玉(ポイズンセラピー)・錬金術LV2
魔除けの腕輪(5級):鉄の腕輪・魔玉(ディッテクシュン)・錬金術LV2
癒しの指輪(5級) :銀の指輪・魔玉(ヒール)・錬金術LV2
アレストリング(6級):普通のリング・魔玉(ポイズンセラピー)・錬金術LV2
西の魔女のペンダント(5級):銀のペンダント・魔玉(マジックレジスト)・錬金術LV2
(なんていうか……原価だけみればボッタクリだな……)
結局、この店ではアイテムポーチ(6級)を2個購入し。早速、貴重品を放り込んだ。重さは変わらず便利すぎる。
「耐性系の装飾は買わなくていいの?」
「ああ、そっちはなんとかなりそうだ。このまま武器・防具の店を回ろう」
武器屋・防具屋に関してもいくつか教えてもらっていたが、俺たちが子供だからと舐めた態度をとる店はスルー、武器・防具を仕入れている店もスルーした。
これには俺なりの理由があり、作成者の鍛冶屋レベルを見てから決めたかったからだ。手に入れた素材を加工し、武器・防具を造ってもらうためにも、少しでも腕のいい職人を見つけ繋がりを作りたい。
すでに8店舗ほど回ったが、今のところ鍛冶屋レベル3が最高だった。高級店に行けばもっとレベルの高い職人がいる可能性はあったが、生憎そんなコネはない。
メインの通りから外れ、人通りの少ない場所だが1軒の鍛冶屋があった。店主はドワーフでレベルを見る。何気にステータスが高い。
名前 :ウッズ・コロリ
種族 :ドワーフ
ジョブ:鍛冶士
LV :31
HP :323
MP :66
力 :266
敏捷 :24
体力 :369
知力 :83
魔力 :26
運 :6
パッシブスキル
腕力上昇LV3
体力上昇LV2
アクティブスキル
鍛冶屋LV5
鑑定LV3
固有スキル
不運
「ここにしよう!」
「ここって、お店やってるのかな?」
「……偏屈そうなドワーフ」
確かに店構えはボロボロで、店主っぽいドワーフのじいさんは愛想のカケラもないような顔でいるが関係ない。良い物と腕があるかが大事だ。
「すみません、装備を買いに来たんですが」
ドワーフは愛想笑いも浮かべずに、こちらをジロジロ見ている。
「言っておくが、店はボロイが俺は気に入った奴にしか商品は売らねえぞ?」
こういう口調なら、俺も気を使わずに済むので楽だ。
「わかったから、じいさん見てもいいか?」
「誰がじいさんだ! 俺はまだ60代だ!!」
(じいさんじゃないか……)
取り敢えず、おっちゃんで納得してもらった。
「で、どんな武器・防具が欲しいんだ?」
「俺は両手剣と鎧・ガントレット、ニーナは?」
「ん~、あたしは武器はまだいいかな。軽くて動きやすい防具が欲しいな~」
「ガキのくせに生意気に両手剣だと? 待ってろ」
おっちゃんはそういうと、奥から150センチほどの大剣を持って来た。
「この大剣を振ってみろ」
ブンッ! ビュッ! ブンッ! ビュッ!
おっちゃんから大剣を受け取り、片手で振ってみる。それなりの重さだがいい感じだ。
「おまっ!? 片手で振るような武器じゃないぞ……。まあ、その動きを見れば実力はそこそこあるみたいだな。予算はどのくらいだ?」
「俺とこっちのニーナで金貨100枚ほどかな。ただ俺がFランクの魔法戦士でニーナがEランクの暗殺者なんで、おっちゃんのオススメがあればいくつか持って来て」
「金貨100枚!? わ、わかった。そっちのお嬢ちゃんは?」
「……私は帽子とマントを、ちなみにFランクの魔術師」
おっちゃんは最初の無愛想顔からは想像できないくらいニコニコしだして、店の奥へ行くと、両手に装備を抱えて戻って来た。
「お前らにはこのくらいの装備がお手頃だな」
そういうと抱えてた装備を机の上に並べていく。
黒曜鉄の大剣(5級):なし
鋼鉄の鎧(6級):なし
黒曜鉄の鎧(5級):なし
鋼鉄のガントレット(6級):なし
硬革のジャケット(6級):なし
鋼鉄の鉢金(6級):なし
黒曜鉄のガントレット(5級):なし
硬革のブーツ(6級):なし
硬革のガントレット(6級):なし
三角帽子(6級):なし
革の帽子(6級):なし
ワンのマント(6級):なし
モモンのマント(6級):なし
「どれもスキルはついていないが、お前たちのランクなら十分な装備だぞ。
硬革の防具は防御力がそこそこあるうえに軽くて動きやすい。黒曜鉄の武具は重いが頑丈だぞ。坊主だったら問題なさそうだしな。ちっこい嬢ちゃんには、見た目に併せて三角帽子とモモンのマントがオススメだな、色も黒色で統一感がでるぞ」
「この黒曜鉄の大剣と最初の大剣の違いは?」
「最初のは鋼鉄で造ったクレイモアだな。坊主は魔法戦士だから、魔法剣を使うんだろう? 魔法剣ならミスリルで造った武器の方がいいんだが、さすがに予算オーバーだし実力に見合ってないだろう? なによりミスリルなんて上等な素材で造った武具なんて、俺の店には置いてねえしな。この黒曜鉄は魔法と相性がいいってわけじゃないが、鋼鉄より頑丈でな、魔法剣を使っても簡単にはくたびれないぞ」
おっちゃんと話し合い購入した物は――
俺 :黒曜鉄の大剣・黒曜鉄の鎧・黒曜鉄のガントレット
ニーナ:鋼鉄の鉢金・硬革のジャケット・硬革のガントレット・硬革のブーツ
レナ :三角帽子・モモンのマント
俺とニーナの装備で金貨40枚、レナの装備で金貨1枚だった。
おっちゃんは、これでもまけたんだぞと言っていた。俺のボロボロになったロングソードを引き取ってもらったが、どんだけ使い込めばこんなにボロボロになるんだと驚いていた。
「おっちゃん、ありがとうな。あと、素材を持ち込んでの装備作成も引き受けてくれるの?」
「こんなボロイ店のドワーフに、わざわざ素材持ち込みで装備作成依頼か? モノ好きな坊主だな。いつでも持って来い、どうせ暇なんだからな!」
そういうと、おっちゃんはガハハと笑っていたが、この裏表のないおっちゃんが俺は気に入ったので、今後もここに来ようと決めた。
「おじさん、またね~」
「……装備、気に入った」
ウッズは、ユウたちが帰っていくのを見届けると、椅子に腰かけた。
最初は子供たちが背伸びして冒険者のマネでもしていると思ったのだが、剣を振らせてみるとそこらの戦士以上の剣速で見事に剣を振ってみせた。しかも大剣を片手でだ。
連れの嬢ちゃんも暗殺者というだけあって、身のこなしは中々のものだった。勧めた装備も初心者冒険者に売るような物ではなく、Dランクの冒険者が装備するような物を売ったが、あいつらなら十分に使いこなすと思ってのことだった。
「久しぶりに成長が楽しみな冒険者に出会ったな……」
ウッズはそう独り言を呟いて、楽しそうにエールを飲み干した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます