第14話 山間の洞窟②
山間の洞窟でのニーナとの訓練は、すでに2ヶ月が経過しているが順調に進んでいる。
名前 :ニーナ・レバ
種族 :人間
ジョブ:シーフ
LV :15
HP :87
MP :40
力 :28
敏捷 :70
体力 :30
知力 :20
魔力 :18
運 :22
パッシブスキル
索敵LV1
罠発見LV1
短剣術LV2
忍び足LV2
短剣二刀流LV1
アクティブスキル
盗むLV1
潜伏LV2
罠解除LV1
隠密LV2
闘技LV1
短剣技LV1
固有スキル
なし
闘技も纏えるようになり、ほぼ使いこなしている。武器も両手に持たせて戦わせていたので『短剣二刀流』というパッシブスキルを覚えていた。
このスキルを覚えて、ニーナは明らかに攻撃力が上がっていた。
予想通りだけど、やっぱりニーナの成長は早い。
俺は相変わらずポーション製作をしているが、材料の綺麗な水へ試しにヒールを使ってみたところ、綺麗な水から聖水に変化し、聖水でポーションを作成したところ、通常よりも効果の高いポーションができた。
行商人からは他のポーションに比べて効果が高く。その上値段は据え置きで売っているので、バカみたいに売れて助かると大量に売却することができた。
お金もかなり貯まっているので、そろそろ装備を買い換えてもいいかもしれないが、この周辺の村で手に入る装備はしれているので、大きな街へ行きたい。
ニーナも地下2Fだと物足りなくなってきたので、地下3Fに降りる。
地下3Fからはゴブリンナイト、ゴブリンソルジャーはもちろん、コボルトシャーマンという魔物が出てきた。厄介なのがコボルトシャーマンの白魔法で、ニーナ1人だと危険と判断し、地下3Fからは俺も参戦する。当然だが『強奪』で取れるチャンスがあれば、白魔法を奪っていく。
「シッ」
「グァッ」
ニーナの鋼鉄のダガーが、コボルトシャーマンの首を斬り裂く。そのままゴブリンソルジャーに向かって、短剣技クリティカルブローを放つ。
ニーナも魔言を唱えなくても、短剣技を放てるようになっていた。
「今の私たちなら地下3Fでも余裕だね~」
「この前、ボスが居るから油断するなって言ったのは誰だよ」
「うっ……。でも今ならボスでも倒せるんじゃないかな?」
軽口を叩きながら進んでいくと、一際広い部屋が見えてきた。複数の気配と一際でかい気配を感じる。
さらに部屋に近づくと、ニーナも気づいたようで警戒を強める。
部屋の入口で身を隠しながら覗いてみると、ゴブリンソルジャーやゴブリンナイトが10数匹いた。その中心に3メートルはあろうかという、ゴブリン? がいた。
ステータスを確認する。
名前 :山間の洞窟の王
種族 :オーガ(亜種)
ランク:3
LV :5
HP :783
MP :13
力 :451
敏捷 :79
体力 :413
知力 :21
魔力 :51
運 :16
パッシブスキル
皮膚硬化LV2
身体能力向上LV2
棍術LV2
アクティブスキル
闘技LV1
咆哮LV1
固有スキル
眷属従属LV1
ハァッ!? これが……洞窟のボスか? ランクが2違うだけで、こんなに強さに違いがでるのか? それともオーガが元々強いのか?
「ね……ねぇユウは見えるんでしょ?
ニーナが怯えるように聞いてきた。今までの訓練でニーナも相手の強さが、感覚的にだが解るようになっていた。
「やめておこう。レベル5で俺たちより低いが、ランク3でステータスは明らかに格上だ」
「ランク3!? 絶対無理! ランク3なんてランクDの冒険者達が闘うレベルの魔物だよ」
その日はボス討伐を諦めて帰ることにした。焦らなくてもレベル・装備が上がればいつかは倒せるはずだ。
帰りに山菜・木の実を集めながら帰る。ステラおばあちゃんの体調が悪く、肉より食べやすい物のほうがいいだろうと考えてだった。
家が見えてくるとなにかが横たわっていた……嫌な予感がした……横たわっていたのは――――ステラおばあちゃんだった。
「ステラさんっ!!」
「ステラさん!」
俺もニーナも、急いでステラおばあちゃんをベッドまで運ぶ。
「ユウ、ニーナちゃん、心配かけたわね。ちょっと気分がよかったから、散歩でもしようと思ったんだけどねぇ」
ヒールを気づかれないようにかけ続けているが効果がない。こんなときに限ってポーションも切れている。
くそっ! この前行商人にポーションを売りすぎた。もう少し残しておけばよかった。薬草も切らしているから、ポーションを製作することもできない。
「ニーナ、ちょっと薬草を採ってくるから、ステラさんのことを頼む」
「ユウったら、あんなに慌てることないのにねぇ」
「そんなことありません! ユウはステラさんのことを、本当に心配してるんですよ」
「私は幸せ者だわ……。ユウやニーナちゃんに、こんなに心配してもらえて」
「そうですよ。だから早く元気になってくださいね」
「ニーナちゃん、良い機会だから少しお話をしましょう。ユウとお風呂に入ったときに、ユウの身体にある傷跡は見たでしょ?」
「はい……見ました。あれは
「ユウは
山を駆け回る。闘技を全力で纏い、ゴブリンが現れても瞬殺する。少しでも良い薬草を見つけるために『異界の魔眼』も常に使用する。
これじゃ駄目だ! もっと良い品質の薬草を見つけるんだ。
「ニーナちゃんが、ユウのお友達になってくれて本当によかったわ。これで私も安心して……」
「ステラさん、なにを言っているんですか! 少し体調が悪いだけですよ。きっとユウが持って来る薬草ですぐに元気になりますよ」
「いいえ、薬草でもユウの造ったポーションでも治らないわ。病や状態異常ではなく寿命だからよ……」
「ス……ステラさん、気づいてたんですか!?」
ニーナはステラが、ユウに『錬金術』のスキルがあることを知っていたことに驚いた。
「ユウが冒険者紛いのことをしているのは知ってるわ。あの子ったら家の裏に武器や防具を隠してるんだもの。すぐに見つけちゃったわ。
ポーションも隠れて造ってるつもりみたいだけど、1人でこうすればもっと効果が上がるとか呟いていたからね……。普段は大人みたいに振舞っているのに、変なところで子供っぽいわよね」
ステラは、ユウとの思い出を楽しそうに語る。ユウが魔法も使えることもバレていたみたいだ。
「ユウとの生活が楽しくて、頑張ってみたけどそろそろ限界みたいね」
ドアが勢いよく開く。そこにはユウが息を切らせて立っていた。
「今、なんて言ったんだ?」
「ユウ、言ったとおり私は寿命なのよ。どんな魔法でも薬でも治ることはないわ」
ステラは普段通り落ち着いた言葉遣いで、ユウに話しかける。
「嘘だっ!! ばあちゃんが死ぬなんて嘘だっっ!!」
ユウは大声で怒鳴ったが、そんな姿を見てステラは心の底から嬉しそうな顔をする。
「フフ……今まで他人行儀に……さんづけで呼んでいたのに、やっと呼んでくれたわね。嬉しいわ……ユウ…………」
ユウには、ステラのそんな声も届いていない。どうすればステラを治せるかで、頭が一杯のようだ。
「魔法だ……もっと強い魔法でヒールを……力…………力だっ! ……力がい……る! まだ……間に合う……っ!!」
そのままユウは部屋から飛び出して行った。
「ユウ! 待って」
「ニーナちゃん待って……今から大事な話を…………するから……時間がないの……」
ニーナも追いかけようとするが、ステラに呼び止められる。ステラの顔は、真っ青を通り越して土気色になりつつある。今にも死にそうだ。
ファイアーボールを放つ。それも一つではなく同時に3発。
「ギャアアアッ」
ゴブリンが叫びつつ息絶えた。
「グゥゥ……!」
シュッ! という軽快な音を鳴らしながら、ロングソードがゴブリンの首を刎ねる。
すでに50体は超える魔物が、スキルを奪われ皆殺しにされていた。
力……魔法……白魔法のスキルを持っている……魔物はどこだ!
「どけっ!!!!」
速度を落とすことなく、ユウは山間の洞窟へ入っていく。
その日、レッセル村周辺の山で、魔物達の悲鳴が鳴り止むことはなかった。
名前 :ユウ・サトウ
種族 :人間
ジョブ:なし
LV :10
HP :59
MP :70
力 :21
敏捷 :28
体力 :25
知力 :33
魔力 :22
運 :1
パッシブスキル
剣術LV3
腕力上昇LV3
索敵LV3
短剣術LV2
アクティブスキル
剣技LV2
闘技LV2
白魔法LV2
黒魔法LV1
鍛冶屋LV2
錬金術LV2
盗むLV1
隠密LV1
鑑定LV1
短剣技LV2
固有スキル
異界の魔眼LV2
強奪LV1
力……力…………力が……欲し……いっ!!
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