本末転倒

「一年に一度、その日雨が降ったらどうなると思う? 川が溢れて会えなくなるんだ」


「えっ? 他の日に変更は?」


「雇い主が許可しなかった」


「ひでぇ〜」


「だろう。何年も外れる時が続くと不満が出てくる。そこで、雨の日は特別に橋を掛けてやることにしたんだ」


「橋なら掛けっぱなしでいいじゃん」


「ところがケチった。いや、それなりに金は出したのだが、大手から子会社孫会社、さらに下に下に中抜きされながら降りていった結果、カササギ土木が掛けることになった」


「ふ〜ん」


「あり得ない中抜きの結果、手抜き工事すらできないほどの低予算になってな。作業員もやる気がなくなった。往復したらすぐ壊れる適当な橋をいやいや作ったんだ」


「ひでぇ」


「中抜きがなければ立派な橋ができたのにな。そうすれば結婚も出来たというのに」


「あれ? 結婚させて子供を増やす計画は?」


「もはや忘れられた計画になった。本末転倒だな」


「何やってんだよ!」


「意味のない話になったんだ。実社会じゃよくあることだよ」


 男の子は(大人って馬鹿?)と思った。


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