現実逃避が必要なこともある

@keios

本編

街頭の空中に浮いている浮遊広告がすべて一瞬で謎の覆面を被った男に変わった。


「我々は、格差社会をなくすために立ち上がった正義のものである。」



通常禁止されている、強制音声配信まで行われているため

街を歩いている人々は困惑している。



「今の世の中、生まれてすぐに電脳化が行われ、すべての人が真実の姿をみることはない

 それはいい、それだけでは見た目の格差がないからだ。」


誰も彼の言いたいこと理解できない。


「だがどうだ?個人に割り当てられたメモリにより、選べる服装や装飾に違いがある。

 最低限のメモリしか割り当てられてないものは能力ではなく見た目で差別を受けている」


誰も彼を理解できない。メモリの割り当ては各自の能力に寄るためだ・・・


「そしてどうだ?食べ物もすべて偽物だ」


世界が滅びかけて、今の製造能力では偽物であれ食べれるだけでもましなはずだ


「そして味についても、仮想現実だ、そしてそこでもメモリ割り当ての問題がある

 メモリがなければ、甘い、辛いくらいしかわからない」


それで十分ではないのか?


「今日、そのすべての枷からすべての人類を開放する!!」


やはり誰も彼の言いたいことを理解できない


「今我々は、すべての拡張現実の処理を行っているサーバ施設すべてを占拠した!!」


彼が何をやろうとしているのか、わかった一部の人間が騒ぎ出した


「いまからウイルスを投入しすべての電脳の拡張現実処理を止め、

 すべての人々に現実を取り戻す!!」


街は大パニックになった。


「電脳化は非可逆で、このウイルスにより永久に、電脳の拡張現実機能は消え去る。

 そしてリアルワールドを取り戻す!!」


男はボタンを押した・・・


そして世界は滅びた。




世界はすでに汚染されすぎ、生き残っていた人類ですら遺伝子に大幅な欠損があり

機械などで補助することでギリギリ生きているだけだった。

そのため拡張現実が止まった瞬間、現実の自分を直視することとなり

其の時点で生き残っていた人類の30%が死を望み消えた



そして、食事から味が消えた。いや、人間が食べれる味ではないものに

そして見た目はゲロのようなグレーのペーストと塊に戻った。

そのため、食事をとることができず、さらに60%が消えた。


強靭な精神をもつ10%が残ったが、それも長くは続かなかった。

ただでさえ最低限しか残っていないのが、10%になったことで


電気を含むインフラが死んだ・・・


当然人工食のプラントも止まった。


すでに地球上には人類以外の生物はごく一部の植物、虫などを除きいない・・・

可食にたえるのは人類だけである。


そこから先は語る必要もないだろう・・・



--蛇足--


俺は転生者だ。

といっても神にあったわけではないが、過去の記憶を持っている。


転生した世界は、未来で、ARが極限まで進化して、常時ARで拡張された世界だ。

顔とか容姿とかもARで覆い隠され、見た目上は美男美女しかいない。


医療関係者のみ治療のために解除されたものが見えるそうだが

おれは学力は足りたのだが、適性検査の一つ精神耐性の試験で落ちて

リアルの容姿を見たことはない。


食べ物もそうだ、食べ応え、味まですべてARだ。

正直嘘くさくて耐えられない。


女性と付き合っても、たまに補正が追い付かず本来の感触だと思うが

ぶつぶつした皮膚の感触があり、正直無理ゲーだ。


絶対支配層は、こんなものがなくてもいい世界に住んでるに違いない。


おれは自分の記憶をもとにした、食事などのAR情報の開発で莫大な富を得た

ただ、まだ本当の支配層と出会えたことはない。


おれは、処理落ちでリアルの触角が得られることに疑問に思った。

電脳だけで処理されているのではないのではないか?


そして、一部処理を外部で行っていることをしった。


そして、莫大な資産をもとに、リアルを取り戻すための秘密結社を作った。


おれの記憶をもとにした食事のAR情報を超えるリアルな食事が食べられる世界を

取り戻そうという秘密結社だ。




金のない、過去を知らいない、今の社会に不満を持つ若者が大量に集まった。

今その願いが成就するときだ。


そして・・・・・



そこには地獄が待っていた。


必死に止めようとした政府のエージェントが正しかったのだ。


おれのリアルの姿は、グールそのものだ。


野菜が植わっていたと思っていた畑は、ヘドロのようなプランクトン培養層だった。


牧場は、謎の肉が培養されているプラントだった。


適性検査は、この世界の真実を知って耐えれるかどうかだった。

当然それに落ちた俺は耐えられない。


なんで、俺を止めてくれなかったのか

なんで、政府のエージェントは、俺を銃で撃っても止めてくれなかったのか?

なんで、俺を殺してくれなかったのか?


今俺は、機械につながれ死ぬことは許されない。

世界の最後を見届けるというのが刑罰らしい。


苦しい、死なせてほしい。

俺に使うリソースがあれば、ほかに回してほしい

そうだ、そうして俺を殺してくれ!!頼む!!


もういやだ!!・・・


脳に世界の映像を流し込むのをやめてくれもう見たくない、

なんで俺がこんな目に・・・

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