☆第三十六話 栄光を掴む者たち☆
専用航宙船の中に用意している私服を纏いつつ、マコトとユキは、突撃捜査艦と豪華客船セカンド・タカラブネが停船している宙域へと、白鳥にて飛翔。
ユキプレゼンツな、裸身を引き立てるアクセサリーに飾られたツルツルすべすべ素肌へと、変装用の大胆な衣服を纏ってゆく二人。
「ウッカリしてたよ…」
「私もですわ。ヌードである事を、つい忘れておりました」
大きなお尻を、ピチピチタイトなショート・パンツに収めつつ、捜査艦のブリッジ・メンバーにサービスしてしまった事を思い出して、落ちこんだり。
「とにかく、気持ちを切り替えましょう。密輸も未然に防げましたし、なにより 密輸組織を壊滅出来たのですから♪」
「まあ…ね」
気持ちを切り替えられたユキは、もとより裸に対しての抵抗が、マコトよりも薄い。
白鳥にて突撃捜査艦とコンタクトを取るのは、潜入捜査や脱走した船長や攻撃をしてきたテロ組織に関して、報告をする為である。
「ヌードを見せてしまった相手と 面会だね」
そう考えると、恥ずかしさで気が重くなったり。
袖無しシャツどころか、まるでボディーペイントの如き極薄ミニなタンクトップに上体をしまい込むと、大きなノーブラ・バストが、タプルっと弾んだ。
こういうマコトの気持ちを、ユキなりに慰めてくれる。
「ですが、ブリッジで勤められていた男性隊員の方たちも、きっと マコトのサービスのお陰で、仕事への活力が燃え盛っておられますわ♪」
「それは ユキの場合だよ。ボクはユキみたいに、男性たちの庇護欲を刺激する感じではないから」
そんな、いつもな感じの会話をかわしていると、自動操縦の白鳥が突撃捜査艦とのコンタクト距離に入った。
突撃捜査艦のと乗船チューブを接続して、二人が乗艦をすると、乗組員たちが敬礼で迎えてくれる。
「ご苦労様です!」
「「ご苦労様です」」
敬礼を返して、二人は捜査艦の艦長室へと、案内をされた。
「艦長! 特種捜査官ホワイトフロール殿を、お連れ致しました!」
突撃艦関係は、男性の捜査官と乗組員が多い事で、知られている。
「「………」」
マコトたちの部署である第二捜査課も、殆どが男性捜査官だ。
けれど、この艦内のような狭い空間で逞しい男性捜査官のハキハキとした発声を聞かされると、なんだか不思議とモジモジしてしまったり。
『通してくれたまえ』
「ハっ!」
という、公務員として当たり前なヤリトリなのに、どこかくすぐったく感じてしまうのは、潜入任務で女性ばかりの職場にいたからか。
「「失礼いたします」」
『どうぞ』
一回り以上年上な男性のサルト艦長の、落ち着いた低い声の返答にも、ちょっと安堵感を覚える二人だった。
「…なるほど、概要は理解しました。お二人とマカリン船長、テロ組織オーガランの牙との通信会話も、こちらで記録をしております。簡単な報告書も、こちらで作成しておきましょう」
「ありがとうございます」
「ありがとうございました」
やや頬を染めた女性船員さんが出してくれた紅茶を戴きながら、マコトとユキが説明を終えると、艦長は手早く用件を纏めてくれたのだ。
「いやいや。潜入捜査、お疲れ様でした。お二人が アイコ捜査官の任務を引き継いで下さると聞いて、我が捜査チームも荒事覚悟と 気合を入れておりました。ハッハッハ」
「そうですか」
「ですが、私たちにとっては、荒事でしたわ♪」
「なるほど確かに。あっはっは♪」
艦長は、二人のヌードについては、何も語らなかった。
ただ、艦長室へ向かう二人を見て、驚きの空気を隠せない男性乗組員たちが何人もいたのは、きっと二人の映像が艦内で噂になっていたからだろう。
(まあ、しかたがないかな)
(ですわ)
艦長への報告を終えて、ホワイト・フロール号へと戻った二人は、今度は別ルートでセカンド・タカラブネ号へと、乗船をした。
「とにかく、任務は終わったのですから。お姉さま方へ 挨拶だけは致しませんと」
「まあ、今回のクルーズそのものは これで強制終了だからね」
証拠物件でもあるクルーズ船は、当然の事ながら一時的押収だし、近隣の地球領惑星から大型の牽引船がやって来て、地球本星まで運ぶ事になっている。
当然、乗員乗客もみな聞き取りの対称となるので、調査がてら、このまま地球までの旅路となるのだ。
チューブを通って乗船をすると、船内は静まっている。
「特に抵抗とか 無かったのかな」
「でもありません様子 ですわ」
ユキの指した壁を見ると、レーザーで焼かれた痕跡があった。
「…タリオン社のレーザーガンだね。地球領内では殆ど出回らない、とても安価なハンドガンだよ」
「つまり、密輸に加担していた乗務員がいた。という事でしょうか」
「そうだろうね」
ツインホやリュグやソフティたちを始めとして、ヌードを共に働いたお姉さまたちの身の安全が、気になる二人。
「………」
「………」
突撃捜査艦の艦長からは、怪我人の報告は受けていないから、きっと大丈夫だとは解っている。
しかしやはり、自分たちの目で確かめなければ安心が出来ないので、二人は無意識に焦って、コンパニオンたちのブロックへと船内通路を走っていた。
ブロックの入り口通路は、突撃護衛艦所属の実働部隊の男性隊員たちが、コンパニオンたちの安全確保の為に、警護を務めている。
「ご苦労様です」
挨拶と所属などを告げると、隊員たちは敬礼を以て返答をして、マコトたちの質問に答えてくれた。
「現在、乗客の皆様には 自室にての避難を要請している処であります!」
あらためて、コンバニオンに怪我人はいないと聞いて二人は安心出来て、お姉さま方へ会いに行った。
マコトたちの自室でもある部屋の前で、ちょっと緊張しながら、扉を開ける。
「お姉さま方…あ」
「まあ」
「あらぁ~♪ マコちゃんユキちゃんツノ~♪」
「ギョギョっ♪ 二人も無事でしたか~♪」
「かちり。サァサ、二人モ、イラッシャイナ~♪」
部屋の中では、三人がまたお酒を飲んで、心地良さそうな宴会状態だった。
傍らには、タリオン社のレーザーガンが三丁転がっていたりして、ちょっと意味不明で、美顔を見合わせるマコトとユキ。
三人にオイデオイデをされて、二人は一緒に円座でお尻を下ろしつつ、質問をした。
「お姉さま方、あのレーザーガンは…?」
「かち。アァ、アレ~? 実ハネェ~♪」
マコトたちが、ドローンで船外逃走をした船長を脱出ポッドで追跡し始めた頃、この豪華客船の船内は、船長の手下たちでもあった一部の乗組員たちによる突撃捜査艦隊員たちへの抵抗によって、ちょっとした銃撃戦が展開されていたのだとか。
船内放送による隊員たちの指示で、富豪たちもコンパニオンたちもゲストたちもみな自室へと潜めたものの、このブロックには手下たちの一部が乱入してきたという。
「ギョギョっ♪ 人質目的だった~、らしいんですけれろ~♪」
「そこはほや~♪ わたひたひ~、海軍訓練の経験あったツノれひょ~♪」
呂律が回らなくなりつつも続けられた説明では、三人は裸で手下たちへ襲い掛かり、驚いている間に打ち倒してレーザーガンを奪って、反撃。
「かちり。私タチ三人デ、十人クライ 倒シタカシラ? 爽快ダッタワ~♪」
「…そうなんですか」
一般人が身を危険に晒す事は、公僕として良しと出来ない二人だけど。
(ヌードで油断をさせる…)
二人は、意図せずに似たような状況を割と体験するためか、マコトは何とも言えない美悩の表情を浮かべ、ユキはとても理解出来ると言った感じの愛顔で微笑んだ。
「それれね~♪ マコひゃんユヒひゃん~、聞いへ聞いへツノ~♪」
「はい」
ツインホたちの活躍を、惑星ピーリンカのステーション停泊で三人が助っ人を務めた富豪が知って、とても喜んでくれたらしい。
「かち。私タチ、おーでぃしょんヲ受ケル事ニ ナッテイタデショウ?」
口調がハッキリしているあたり、ソフティはお酒に強いっぽい。
「ギョギョっ♪ ほえが、何とれすれ~♪ 今回ろ事件を、映画化ひゅる話ひが出てれすれ~♪ 私たひ三人~、その主演女優にぃ、決定れすよ~っ♪」
喜びも爆発なお姉さま方は、また乾杯をする。
「…そう なのですか。すごいですね♪」
エンタメ業界の商魂逞しさと言うか。
マコトも嬉しくなってきて、黒いネコ尻尾がクネクネと揺れる。
「まあ、それは とても素敵なお話ですわ♪」
ユキもウサ耳をピクピクさせて、頬を上気させて喜んでいた。
「うふふ~♪ マコひゃんユキひゃん~、ありあとツノ~♡」
礼を言いながら、三人は涙を浮かべている。
ツインホもリュグもソフティも、夢へ向かって努力をしていた事は、共にコンパニオン業を勤めたマコトもユキも、聞いていた。
どんなタイミングであれ、夢が近づくのは嬉しいし、それが叶う人の喜びは、見ていて心が温かくなる。
ユキがドリンクとお菓子を購入してきて、マコトと一緒にコップで手にして。
「お姉さま方、ボクたちも ご相伴に預かります♪」
「それでは」
「かち。「「「「乾杯~い♪」」」イ~♪」ツノ~♪」
翌日、三人は幸せな二日酔いを迎えた。
~第三十六話 終わり~
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