☆第二十四話 再びコンパニオン業務☆

 船がステーションから出港をした、翌日。

「それじゃ~、次の停泊ステーションまで、頑張るツノ~♪」

「かち。オ~!」

「ギョギョ~っ!」

「「はいっ!」」

 午前の班はまず、優雅なクラッシックの生演奏や、感動的な物語の舞台を観賞しながら食事をする富豪家族への給仕が、担当となる。

 テーブルを受け持つコンパニオンたちの、トップレスやTバックにドキドキする少年たちへの、家庭的な帝王学の為の露出なども、コレまで通り。

「お待たせを致しました」

 テーブルへディナーを用意するマコトの巨乳が、ユキの双乳が、質量を以て目の前でタプんと揺れると、少年たちはつい赤面しながら俯いて、父親から忠告をされる。

 そして、頑張って年上女性たちの裸乳を意識しないようにと意識をして、まっ正面を向いたまま身を固くする男子たちだ。

(これはこれで 大変なのだろうね)

 恥ずかしがる少年たちへの応援意識が湧いてくると、マコトもユキも、この困難を早く乗り越えさせてあげたくて、つい必要以上に声を掛けてしまったり。

「お飲み物を」

「は、はい…っ!」

 子ども用に、ジュースをグラスへ注ぐだけだけれど、この掛け声も応援意識だ。

 午前の班の仕事が終わって、その日は終了。

 そして翌日は、午後の班。

 マコトとユキはクラッカー・ディッシュ担当なので、控え室でボトムを脱いで裸身となり反重力ディッシュへと寝転がって、超ギリギリ露出でカジノ客の中を廻る事になる。

「マコト。私に、良い考えがありますの♪」

「良い考え?」

 ディッシュの準備をしながら、ユキは昨日の仕事終わりで舞台劇団のブロックを巡っていた事を、思い出すマコト。

 ユキは、持ち込んだ袋を取り出しながら、説明をくれた。

「マコトは、あの姿でお客様の間を廻る事が 恥ずかしいでしょう?」

「うん」

 何と言っても、全裸になった仰向けで寝転んで、双乳の先端をクラッカーだけで隠し、秘すべき下腹部はクラッカー用のクリームを乗せたカクテルグラスのみで隠すという艶姿。

 太古の地球本星の日本国より発祥と言われる「女体盛り」もかくや、という恥ずかしい姿での接客である。

 マコトでなくとも、大抵の女性は恥ずかしいだろう。

 パートナーよりも裸への抵抗が少ないユキは、それなりに楽しそうだけど。

「ですので 私、マコトが恥ずかしく無く済むようにと、考えましたわ♪」

 それは嬉しい。

 と思うと同時に。

(だいたい こんな感じなのかな…)

 と、幼馴染み曰くの羞恥対策も、想像が出来てしまう。

「こちらですわ♪」

 袋が開けられると、小さなアクセサリーが、数点と見えた。

(やっぱり)

 アクセサリー類は、キラキラと反射をする極細な金属チェーンや、極小なイミテーション・ジュエルや、肌用のキラキラするパウダーなど。

 どう見ても、裸身を隠すのが目的ではなく、むしろ女体を眩しく飾る為のアクセサリー類だ。

「これを、身に着けるの?」

「はい♪ マコトのお身体は とても魅力的ですので、そのままでも十分に美しいと 私は感じておりますわ♪ ですが、マコトが恥ずかしいと感じるのであれば、私が より美しく飾ってご覧にいれますわ♪」

  パートナーの裸身をより魅惑的に化粧できると、ユキの瞳は喜びでランランと輝いている。

 しかたないか。

 パートナーの笑顔には叶わないマコト。

「それじゃあ、お願いをするよ」

「はい♪ お任せ下さいな♪」

 観念して、ユキの言う通りに、姿見の前で直立をした。

「それでは♪」

 ユキの細い指先で、まずはマコトの裸身がパウダーなどで、適度なキラキラを纏わされてゆく。

 手足の先だけでなく、白い首筋や豊かなバスト、平らなお腹や下腹部や、ムチムチの腿などが、微細なキラキラ粒子で輝いていた。

「………」

 女性らしい部分がキラキラしているだけで、ボディーメイクだけよりも、なんだかセクシーで魅惑的だと、マコト自身にも感じられる。

「うふふ…良い感じですわ♪」

 全身へのメイクが終わると、輝く裸身へ、アクセサリーを纏わされてゆく。

 両の手首には極細チェーンを緩めに巻いたり、足首や爪にもイミテーション・ジュエリーを貼り付けられていった。

「如何でしょうか?」

「…なるほど」

 コーディネイトが終わった自身の裸体を鏡で見ると、起伏とシルエットに恵まれた少女ボディーが、ワンランクもツーランクも上がったように感じられる。

 秘めたい部分も全て剥き出しのままなのに、そんな無防備ささえもが、女性の魅力を存分に発揮していた。

「私も、すぐに準備を致しますわ♪」

 ユキも、マコト同様なボディー・コーディネイトを施して、二人の準備は完了。

「それでは、参りましょう♪」

「うん」

 キラキラと輝く裸身を反重力ディッシュへ仰向けで横たえると、二人はディッシュのオート・ドライブをオンにして、富豪たちの待つカジノブロックへと滑り出た。


「ほほぉ…」

 ユキの施したメイクやアクセサリーのお陰か、コレまでのディッシュ・サービスよりも更に、富豪たちの反応は良好な様子。

 男性たちの腹部程な高さを反重力でユックリと滑る裸身は、上品なキラキラメイクやポイントを絞ったアクセサリーに飾られて引き立てられて、よりセクシーで魅惑的な清純裸身少女として映っていた。

「一枚 戴こうかな」

「はい」

 恰幅が良く穏やかな初老紳士の指で、双乳先端の媚突を隠しているクラッカーを抜かれると、次のクラッカーが打ち出されるまでの数秒間だけ、バージン・ピンクな先端が晒されてしまう。

(………)

 更に、クラッカー用のクリームは両美脚付け根の間に設置されている、小さなカクテルグラス形のクリアな容器に、一口分だけ盛られている。

 小さなクラッカーでクリームを掬い取られてしまうと、次のクリームが補充される数秒の間だけ、やはり産毛すら無い恥溝が見られてしまうのだ。

(………っ!)

 その羞恥は、何度経験をしても、マコトはなかなか慣れないでいた。

(男性って、やっぱりこういうの 好きなのかな…?)

 とか思っていたら、優雅で綺麗な美声が聞こえる。

「まあ、私も 戴こうかしら?」

「ぇ…どうぞ」

 マコトより確実に年上だけど、まだ若い富豪の妻も、マコト・ディッシュからクラッカーを戴いて、クリームを掬う。

「うふふ♡」

 少女の裸身を楽しんだらしい、富豪の妻。

(…富豪の方たちが こういうの 好きなのかな…?)

 新たな認識に、やや戸惑うマコトであった。


 それから三日後の午後班で、いつも通りにマコトとユキがクラッカー・ディッシュの控え室へ行くと、同じ午後班の女性たち二人が、担当さんズと話している。

「「あ、マコトさんとユキさん。丁度良かったです。実は、彼女たちに関してなんですが…」」

 マコトたちの仕事を見て、自分たちもクラッカー・ディッシュ担当にして貰えないだろうかと、希望を述べているのだとか。

「わたしたちぃ~、あの…紙マッチとかぁ~、苦手なんですぅ…」

 男性からのお誘いに応えるつもりは無いけれど、断るのも心情的には苦痛らしい。

(替わって欲しい…)

(というお話でしょう)

 捜査官としては、一般人を極力、危険に晒したくは無い。

「解りました。交代しましょう」

 と笑顔で了解をしたら、担当さんズからの言葉は。

「「ああ、いや。キミたちは好評だから、そのまま続けて戴きたいのです。クラッカー・ディッシュは、今回のクルーズから試験的に取り入れたサービスですが、お二人のお陰で好評なので、予備のディッシュも、出そうと考えていますから」」

 つまり、ディッシュ経験者としてのアドバイスや、ユキの施したメイクやアクセサリーなども、新たな二人へとレクチャーをして欲しい。

 というお話だった。

「はい♪ お任せ下さいな♪」

 ついでに、ユキがメイク・アレンジをしてからのディッシュは、以前よりも好評なのだとか。

 自分のファッション・センスが認められたユキは、嬉しそうに了解をしていた。

「「それでは、よろしくお願いします」」

「はい♪」

「良かったですぅ~♪」

「あ、あのっ、よ、宜しくお願いっ、し、します…っ!」

 二人とも、涙を浮かべて喜んでいた。

 誰かの頼みを断るのが辛いという性格は、それだけ優しい性格でもある。

(…とはいえ)

 女性たちを苦痛から解放出来た事は嬉しいけれど、同時に、女体盛りを盛り上げてしまった事は良かったのだろうかと、悩める美顔のマコトだった。


                    ~第二十四話 終わり~

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