☆第九話 いわゆる朝のコンパニオンたち☆
コンパニオンの接客に関する、一応の講義が終えられると、それぞれ担当フロアの清掃を開始した。
トップレスの女性たちが双乳やお尻をフリフリしながら掃除をする様子は、セクシーでありつつも、華やかなイベントの裏側的な、妙な現実感があった。
既にお客様たちの乗船も開始されていて、出港一時間前には、全ての清掃が終えられる。
掃除が終わると、コンパニオンたちがテーブルへ、紙ナプキンやグラスやナイフなどを並べて廻った。
「これから、遅い朝食を摂るお客様たちも いるみたいだね」
「そのようですわね。高級クルーズ船の中ですから、時間設定があろうと お客様のご都合に合わせる事も、あるのでしょう」
大きなステージのあるフロアでは楽団が演奏の準備をしたり、別のステージフロアではアダルト要素の無い舞台劇らしい準備も、進められている。
「はいはいはい。え~、ね。みなさん準備はね、整いましたよね、え」
アルハイホー氏が全体の様子を見ながら、確認を取ってゆく。
時間は丁度、出航の時。
『皆様、本日は当銀河周遊クルーズへのご参加を戴き、誠に有り難う御座います。本クルージングは、皆様へ極上の快適なご旅行をご提供させて戴く事を、スタッフ一同 心よりお誓い申し上げます』
船内アナウンスの感じだと、出発するというお知らせだろう。
『それでは皆様 銀河周遊クルーズ 出港させて戴きます』
古式ゆかしく低い汽笛がボーっと轟き、窓の外に見えるステーションが、ユックリと離れてゆく。
「…いよいよだね」
「…ですわ」
ここから先は、密輸疑惑の深まるこの宇宙船の中で、バレないように捜査を進めなければならない。
宇宙空間での、孤立無援ともいえる潜入捜査だから、万が一にも知られてしまったら、色々な意味でお終いだろう。
「ユキ」
「ええ」
二人は、捜査官として正義に燃える綺麗な視線を、交わし合った。
午前中の班という、マコトやユキたちが担当となったフロアは、楽団による静かな名曲が演奏される、音楽フロア。
富豪の客たちは、ノンビリした様子で自由な席へと腰を下ろし、著名な楽団が奏でるクラッシックを楽しむ。
コンパニオンたちは、白い乳房も隠さずに、それぞれのテーブルへと接客に向かった。
「「………」」
マコトやユキが担当をしたテーブル席は、家族連れのようで、父親と母親と、少年が着座している。
(…十五才未満はお断り のはずだけど…)
何にでも、本音と建て前があるのだ。
という事実を、若くとも捜査官である二人も、わきまえている。
コンパニオンが無言でテーブルの側へ立つと、上品な富豪家族はテーブルのメニューを眺めながら、半裸の女性たちをチラと見た。
「………」
チラとはいえ、男性にトップレスを見られるのは恥ずかしいけれど、それも、このコンパニオンの仕事のうちである。
(…あれ)
富豪の両親と違って、少年は半裸の年上女性が恥ずかしい様子で、真っ赤になって俯いていたり。
そんな息子へ、父が言う。
「女性の裸にも 慣れなさい」
「…は、はぃ…父上」
小声で返答をした少年は、恥ずかしさを乗り越えるように、マコトの巨乳へと顔を向けて、震えながら特に先端を注視し始めた。
(………)
なんだか必死な様子の少年を見ていると、ショタ王子様を思い出す。
(ショタ王子様は、もっと年下だったけれど…)
頑張って乳房と闘う少年が、なんだか可愛らしく感じてしまう。
(…ボクはショタコンじゃない…と思うけれど…)
無自覚なショタコンなのかな。
とか疑問を持つマコトだけど、普通に母性の反応だろう。
音を立てずにグラスをテーブルへ置いて、銀河でも普遍的に様々な惑星人に対応しているミネラルウォーターを、静かに注いだ。
両腕の動きに任せて、二つの乳房が小さく柔らかく揺れて、その様子に少年の大きな眼が見開かれたりする。
富豪両親がメニューを長々と眺めているのは、息子を女体慣れさせる時間もあっての事だと、マコトも推察をした。
これも、帝王学の一環かも知れない。
近くのテーブルへ視線を向けると、ユキも、富豪の年下な少年兄弟が恥ずかしがる視線を、巨乳やお尻に浴びている。
(…ユキは 楽しそうだけど…)
マコトに比べてヌードに抵抗の薄いユキは、着衣した衣装の意味を、身を以て体験していて、ファッション魂が満たされているのだと解った。
「ふむ…それでは、良いかな?」
息子の乳房注視を良しとした富豪両親が、朝食のオーダーをする。
「はい」
マコトは少年の視線を、主に白い巨乳の桃色先端部へと強く感じながら、メニューを伺った。
綺麗な礼を捧げると、前屈みになり質量を増した双乳がタプんっと揺れて、また少年の視線が強く釘付けにされたり。
厨房へオーダーを伝えると、シェフたち手作りの朝食が、カートへ乗せられる。
カート本体も計算されていて、サービスの邪魔はしない仕様であった。
ディッシュなどを乗せる天面は、コンパニオンの腹部より低く、取っ手は細くて胸の下あたりの高さで自動調整がされる、オート機能付き。
(ようするに…運搬中でも、コンパニオンのバストを隠さない。という仕様なんだね…)
こんな事を考えるのは、きっと男性なのではないかな。
とか思いながら、マコトたちは、担当のテーブルへと食事を運ぶ。
「お待たせ致しました」
鴨の香草和えやパンやサラダなどをテーブルへ並べると、やや傾く上体で、大きな乳房がタプっと揺れる。
更に、少年の前へとお皿を並べて、グラスにドリンクを注ぐ姿勢では、綺麗な白い剥き出しの巨乳が、少年は赤らむ顔のすぐ隣。
「――っ!」
年端も行かない少年は、顔の直ぐ近くで揺れる双乳が恥ずかしくて、反射的に顔ごと逸らそうとするものの、両親に注意されるとも思い、頑張って平静を装っていた。
(………)
マコトの意識ではやっぱり、ショタ王子様と被ったりして、裸乳を晒していながらも、つい応援したくなってしまったり。
別のテーブルを担当しているユキを見ると、やはり英才教育を受けて上気している兄弟へ「ドリンクで御座います♪」などと、愛らしい笑顔で優しく声をかけている。
(ユキとしては 応援なのだろうけれど…)
かえって、少年たちの羞恥心を刺激してしまっているように見えた。
他のテーブルでも、コンパニオンたちが給仕をしていて、三人娘たちもそれぞれ接客中である。
ツインホもリュグもソフティも、明るすぎない上品な笑顔で接客をしているものの、どこか冷静な空気も感じられたマコト。
「…?」
何か意図があるというか、自分たちが知らないコンパニオンの常識とかだとすれば、自分たちも知っておいた方が良いかもしれない。
と考えて、厨房へ下がる際にさり気なく合流をして、尋ねてみた。
「ツインホお姉様。接客の心構えに関して なのですが…」
「んん…? マ、マコちゃんどうしたツノ~?」
素で深刻なマコトの美顔は、悩める中性的な美王子様のキラキラな曇りを魅せていて、ドキっとしたツインホも、すぐにノリノリで相談に乗ってくれる。
接客をするコンパニオンの殆どが、笑顔が冷静な点について。
「あぁ~、それはツノね~♪ こういうお仕事にはねぇ~、ちゃあんと、みんな目的があるツノねぇ~♪」
「目的…ですか?」
配膳を終えたユキも合流をしていて、マコトと同じく、情報収集に努めている。
「クルーズのお客さんってぇ、みぃんな、大富豪でツノ~? モチロンね~、色々とモデル関係とか~、タレント関係とか~、コネがある方も、いるでツノ~?」
「はい」
それはたしかに想像が出来る。
しかしその件と、接客の冷静さとは、どう繋がるのだろうか。
三人へ追いついたリュグとソフティが、話を続けてくれる。
「ギョギョっ。アピールの本番は、夜の部なのですよ。朝を担当するコンパ二オンは、夜へ向けての布石を打っているのですよ」
「かち。夜ノオ仕事デハ、オ酒ヤ煙草 ナドト一緒ニ、紙まっちヲ提供スルノ。ソレデ…」
男性客からコンパニオンへ、擦らない紙マッチを、一本二本と渡される事がある。
「それはツノ~、その夜の~、デートの報酬なのツノ~♪ 紙マッチ一本で~?」
と言って、人差し指を一本立てた。
要するに、紙マッチ一本で一晩百万。
完全に大人の世界だ。
「…なるほど」
「ギョギョっ。私たちが接客に冷静な笑顔をしているのも、つまり『お客様との秘め事を口外するような女ではありません』という、アピールなのです」
「かちゃり。ソウイウこんぱにおんナラ、男性モ 誘イヤスイデショウ? ソレニ、さーびすデ気ニ入ラレレバ、もでる関係ノオ仕事トカ、回シテ貰エル…。ツマリ、ちゃんすヲ手ニ出来ル。トイウ訳ネ♪」
「そういう理由なのですね」
このクルーズに応募をしたコンパニオンの大半は、そういうチャンスを求めていると、お姉様たちは教えてくれる。
まだまだマコトたちの知らない世界が存在すると、あらためて理解をさせられた。
~第九話 終わり~
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