☆第七話 三人娘と☆
三段ベッドは、扉から向かって左側を三人組が、右側をマコトとユキが使用する事となった。
荷物を上げたり室内の設備を確認していたら「解らなかったら、アタシたちが教えてあげるツノ」と、声をかけてきた角女性。
「あら、そういえば こっちの自己紹介が、まだだったツノ~♪ あたしはツインホ。地球星人だけど、母方の先祖にツーノン星人がいたんだってツノ~♪」
頭の角が特徴的なツインホは、笑顔で左右の角を指さす。
「ギョギョ! たしかに 自己紹介、してなかったですよ~! アタシはリュグって名前で、お母さんがタツノート星人なのですよ」
耳が魚の胸ビレのようなリュグは、笑顔で脣を尖らせるクセがあるようだ。
「かちゃ。みーハ そふてぃッテイウノ。両親トモすくらっ星人デ、みータチハ、地球本星ニ引ッ越シテキタノ。ヨロシクネ」
全身が金属質なソフティは、純血なスクラッ星人らしい。
三人組は、年齢がみんな二十歳で、同じ大学の友達だという。
講義が長期の休みとなったので、このアルバイトへ応募したとの話だった。
「ご丁寧に どうも。ボクは――」
礼儀としても、年上へ綺麗な挨拶を捧げようとしたら、フランクにダハハと笑って、返してくれる。
「名前は、さっき聞いた『マコト』と『ユキ』で十分ツノ♪ あなたたちも、狙ってるんでツノ?」
ユキとマコトは、何の事か解らず、美顔を見合わせてしまった。
「? 狙っている、と仰いますと…?」
「ギョギョっ、いいんですよ~、解ってますから~解ってますから~」
「かち。アナタタチモ、でびゅーノアシガカリヲ 探シニ来タンデショウ? 噂ダト今回ノくるーずノオ客、こねガ多イッテイウ話ダモノ♪」
「「………?」」
何の事やら全くサッパリだけど、何となく想像は付く。
いわゆる、パトロンとかタレントデビューとか愛人関係とか、そういう話だろう。
マコトとユキも、事件絡みでそういう方面の事情とか、何度か関係者や容疑者の調書で、知ってはいた。
(…そういう場でも あるんだね)
(乗客が 資産家の方々ですものね…)
潜入捜査がバレない為にも、知識があるに越した事はない。
「…実はボクたち、そういう活動と言いますか、アピールの経験が ないもので…」
嘘ではない。
あるとすれば愛人やタレントではなく、潜入捜査の為の、ストリップ・ダンサーとポール・ダンサーに、なりたくないけれどなりたいアピール、くらいだ。
不慣れな後輩に頼られると、三人娘はがぜん、頼れる先輩として自信満々な笑顔を魅せる。
「あら~そうツノ~? うふふふふ~♪ それじゃあ~、あたしたちが、教えてあげるツノ~♪」
と胸を張ったタイミングで、ブロック内スピーカーから、コンパニオンの担当者である男性の声が聞こえてきた。
『え~ね。コンパニオンの皆さん、本日はお疲れ様です。え~ね。今から三十分後に、フロアへお集まり下さいね。なお、その際は指定のスーツ着用にて お願いいたしますね』
との通達で、指示が終了。
「ギョギョっ、三十分後ですよ~」
「かちり。急イデ こすちゅーむニ着替エナイト!」
「ほんとツノ~。マコト、ユキ、取り敢えずは急いで着替えて、このブロックの中央スペースへ集合ツノ♪」
明るいウインクをくれながら、ツインホ先輩は、テーブルのスーツ袋を物色し始める。
「「はい」」
袋には、それぞれ同じデザインだけど色違いなコンパニオンのスーツが、二着ずつ収められていた。
「ボクは青色だよ」
「私は桃色ですわ」
予備も含めた二着で、二人とも一着だけを取り出して、パーツを確認して、納得をする。
一着分のパーツは、白い襟と色つきのリボンと、カフスの付いた白い袖と、それぞれスーツと同色のハイヒール。
ケモ耳人種たちが耳へ装着する為の、リボンも入っていた。
更に、同色なボトムは前後ともT形のヒモタイプで、トップは無し。
「…やっぱり、トップレスだったね」
「耳も尻尾も 私たちは自前ですわ♪」
前後とも極細Tなヒモ衣装なうえトップレスなのに、ユキが楽しそうなのは、単にマコトより裸に対する拒否感が薄いだけではない。
どんな厚着であれ薄着であれ露出過多であれ、着衣してみたくてワクワクするのが、ユキなのである。
「…これを着るんだね」
ユキの笑顔を魅せられると、マコトも決心をするしか無かった。
着替えを始めると、三人娘は大胆にも全裸になる。
女性部屋とはいえ、初対面の相手との同室で、すぐに全裸になれる程の度胸は、少なくともマコトには無い。
羞恥して手が止まるマコトに、ソフティが教えてくれる。
「かちり。アラ、ソノ衣装モ初メテ? 大丈夫ヨ。着レバ、さいずハ 調整出来ルカラ♪」
「…はぃ」
戸惑いの理由は間違えられたけれど、隣を見ると、ユキは楽しそうに着替えていた。
ただし、全てのパーツが少しブカブカにも見える。
「~♪ あとは このカフスを」
手首のスイッチを押すと、着衣したパーツがシュっと縮んで、ユキの白い滑らか素肌へと、ピッタリフィット。
「…なるほど」
マコトも、ユキを見習って全裸になって、露出過多なトップレス・ケモスーツへと、艶々の肌を潜らせた。
「これで、あとはスイッチだよね」
手首のカフスを押したら、シュっと音がして、全てのパーツがピタりと密着をし、ユキに確認をして貰う。
「どう?」
と尋ねたら、三人組が感想をくれた。
「あらぁ~、良いツノ~♪」
「ギョギョっ、凄っっくっ、似合ってますね~♪」
「かち。ワァオ、トテモ官能的デ、男性ノ視線ヲ惹キ付ケソウダワ♪」
中性的な王子様みたいに凛々しくて美しいマコトと、優しく穏やかで母性溢れる童顔なお姫様みたいな愛顔のユキ。
共に艶めく白い肌へ、細いヒモが柔らかく食い込んでいて、実に艶やかだ。
細い首を飾る白い襟や彩りのあるリボンは、すぐ下の大きくて丸い巨乳を魅惑的に引き立てていた。
トップは無いので、柔らかなバストの艶肌も全てが剥き出しで、先端で息づく小さな処女桃色の媚突も、ツンと上を向いて艶を魅せている。
括れたウェストを通った広い少女腰は、細いヒモだけで飾られていて、極細Tなフロントは、無毛な秘溝をギリギリで隠していた。
ムッチりとした張りを誇る腿から細い膝、更に脹ら脛を通って絞り込まれた足首への肌ラインも、装飾品が雑音と感じさせる程な完璧の艶々カーヴ。
足首から小さな脚を飾るハイヒールも、女性らしい華奢さとしなやかさを、存分に理解させていた。
後ろ姿は、極細いアンダーのヒモと、全く隠されていない大きな丸肌女尻が艶やかに視線を惹き付けていて、揺れるケモ尻尾も細くて白い背肌を、大胆に魅せ付けている。
マコトの右ネコ耳と、ユキの左ウサ耳には、それぞれリボンが結ばれていて、左右対称でお揃いコーデだ。
「まぁ、よく合わせてるツノ~♪」
男性向けな感じの露出衣装だけど、同性に褒められても、やっぱり嬉しい。
「マコト、とてもお似合いですわ♡」
ユキに褒められると、更に嬉しさも増してしまうマコトであった。
「お姉様がたも、とてもセクシーですわ♪」
これも、ユキたちの素直な感想である。
「ギョギョ~、ユキっちに褒められました~♪」
「かちゃん。嬉シイワ、ウフフ♪」
三人娘も、衣装は色違いの同一デザインだけど、リボンはそれぞれツインホは角に、リュグはヒレ耳に、ソフティは頭の天辺へと装着していた。
「ああ、あとツノね~。マコトっちは特に恥ずかしがりっぽいから~、出来るだけユックリと歩いた方が 良いツノよ~♪」
と、先輩コンパに二オンから、ニコニコなアドバイスを戴く。
「? 早歩きはダメ。という事ですか?」
「かち。ソレハネ」
ソフティが身体の側面を向けて、姿勢の良いモデル歩きで、スタスタと颯爽に歩いて見せると。
「…あ」
「まぁ」
左右の腿の前後に合わせて、股間部分をギリギリで隠している小さな布が、極細いヒモ状に別れ、ヒラヒラと揺れていた。
マコトたちの目から見ても、隠されるベキ媚溝が、チラチラと覗けてしまっている。
「ね~? コレを知らない女の子たちはツノ~、会場とかで~、男性のお客さんたちに、過剰なサービスしちゃうツノ~♪」
過剰では済まない、超過剰なサービス過ぎる。
「は、はい。ぁありがとうございます」
「私も、十分に 注意をいたします」
これ程までにサービス過多な衣装が存在しているなんて、想像もしなかったマコトとユキは、流石にちょっと焦った。
「ギョギョっ、そろそろ、集合しなきゃですっ!」
時計を見ると、集合十分前である。
五人で通路へ出ると、各部屋で着替えたコンパニオンたちもみんな、トップレス姿。
「…壮観だね」
「とてもセクシーな光景ですわ」
ちょっと楽しそうなユキへ、マコトは小声で「ユキが一番、綺麗だよ」と囁くと、ユキは黙って恥ずかしそうに頬を上気させて、嬉しそうに俯いた。
広いフロアは、総勢三百人のトップレス・コンパニオンが集まっていて、マコトも流石に、恥ずかしさが少しだけ薄らいだり。
~第七話 終わり~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます