☆第五話 出発の朝☆


 面接を終えて、万が一にも追跡をされている場合を考慮して用意されているニッポン地域内のアパートへ帰り着いたマコトとユキは、クロスマン主任へと経過を報告をした。

『了解した。それでは、潜入捜査 成果を期待している。十分に 気をつけてくれたまえ』

「「はい」」

 通話を終えると、二人は一日の汗を流す。

「ユキ」

「ええ」

 幼馴染みだし、無自覚ながら精神的には夫婦のようなマコトとユキは、特に最近は意識せず、二人で一緒に入浴をしていた。

 面接に着用していたタンクトップをユキが脱ぐと、大きくて丸くて白い巨乳が、タプんっと弾む。

 同じくマコトがショートパンツを脱ぎ捨てると、年齢の平均以上に大きく艶々で安産型な巨尻が、プルっと揺れた。

 捜査本部が用意してくれたアパートのシャワー室は、二人で入浴するには手狭で、洗い場も浴槽も、二人だと肌が当たる。

「あ、ごめん ユキ」

「いいえ、あん…マコト ごめんなさいね」

 マコトの掌がユキのお尻に触れたり、ユキの両掌がマコとのバストを撫でてしまったりして、更に浴槽ではお互いに向かい合ってM字の美脚を絡めて、丸い巨乳同士も押しつけ合う程に密着をしたり。

「やっぱり 寮のお風呂って、広いんだね」

「本当ですわ。それでも、田舎のお風呂より、こちらのアパートの方が 余裕があるように感じられますけれど♪」

「あぁ、それは そうだね」

 先日に帰った田舎のお風呂は、当たり前のように、シュンビンマルも一緒に入浴をした。

 子どもの頃には、大アキタ犬と一緒に肩まで湯船に入れた記憶があるけれど、先日の帰省では無理だったのである。

 入浴を済ませると、二人はバスタオル姿でベッドへと転がって、面接時に戴いてきた配布パンフレットの船内案内図を、注意深く確認する。

「やっぱり セカンド・タカラブネ号の、コンテナ・スペースとか備品ブロックとかが、一番怪しいと思うけれど」

 密輸品とはいえ、テロリストからの要請である火器なのだから、そこそこに物量がある筈だ。

 自分の見解をメカヲタクのユキへ伝えると、ユキは、銀河クルーズのパンフレットを旅行計画中のようなワクワク顔で眺めながらも、きちんと答えてくれる。

「私も、そのように考えますわ。受取人がテロリストなれば、荷物がコンテナ一つでは済まないでしょう。ですが…」

「ふぅん…」

 とは言ったものの、解りやすくコンテナそのもので運ぶとも、二人は思っていなかったり。

 銀河一周クルーズともなれば、航界ルートが全て地球国家領界内だとしても、停泊する各惑星ステーションへの入港時に、様々なチャックが待っているのだ。

「…むしろ、荷物は小分けして 船の構造材の隙間…とか?」

「船そのものの構造やブロックによっては、あり得ると思われますわ。ただし、一度に輸送できる量も かなり限定されてしまいますけれど」

「ふぅん…だとすれば、逆に正直にコンテナで…とかの可能性も…」

 と捜査計画を立てながら、バスタオル一枚のマコトがコロんと転がると、弾む柔双乳でバスタオルが解けて、お風呂上がりの裸身が室内灯の下で、照らされる。

「豪華客船の構造そのものを調べられる とすれば…」

「ええ。船に潜入してから…ですわ♪」

 寝転がっていたバスタオル一枚のユキが、コロコロと転がりながらベッドの枕元へ腕を伸ばすと、全身が伸びてバスタオルが外れて、やはり裸身を隠す布を失った。

 ユキが手にしたのは、今回の潜入捜査の為に昨夜から製作をしていた、特種な小型の捜査装置だ。

 イヤリング・タイプの走査器は、捜査官の備品をメカヲタクなユキが喜んで魔改造を施した一品。

「これが 操作機なんだ」

「端末ですわ。これ単体の捜査能力としては、対象物に対して十メートル以内まで接近をする必要ありますけれど。ですが、レントゲンなどに対する フェイク・データ機能も付加させてありますから、このように身に着ければ 容易に持ち込みが可能ですわ」

 ユキは裸身を起こすと、綺麗な正座で、艶めく裸身の純白なウサ耳へと、お手製イヤリングを着けて見せる。

 上品で優雅で、しかし隙を感じさせる裸での所作は、兎王国の愛らしいお姫様の、ウッカりな朝の支度のようにも見えた。

「マコトも♪」

「うん。え、ボクが この色?」

 ユキのイヤリングは水色で、マコトのイヤリングはピンク色だ。

「はい♪」

 お互いの印象からすれば逆な感じの色合いだけど、ユキが選んだ色なので、マコトはそのまま素直に、黒いネコ耳へと着けてみる。

 裸身を起こして、姿勢も正しい胡座座りでイヤリングを着けるマコトは、猫の王国の麗しい中性的な王子様の如く整った美顔で、ボーイッシュな麗人そのものな艶姿。

 イヤリングを着けて、二人でベッドヘッドの鏡で確かめた。

「ふぅん…」

 オシャレに疎いマコトにとっては、ユキが選んでくれたならきっと似合っていると感じると同時に、想像よりも好みな感じ。

「マコト、よくお似合いですわ♪」

 笑顔で身を寄せるパートナーを、鏡で見て、正直に思う。

「ユキも、そういう色も よく似合っているんだね」

「うふふ…♪」

 明日は、コンパニオンは朝七時にステーション入りをしなくてはならないので、二人はベッドルームの明かりを消して、一緒に眠った。


「ユキ 朝だよ」

「…みゅぅ…」

 いつもよりも早く目を覚ましたマコトが、隣で眠っているユキを起こす。

 時計は午前五時を指していて、窓からは眩しい朝陽が差し込んでいた。

 ベッドから起きると、若くて艶張りのある裸身がキラキラと陽光に照らされて、ネコ耳の美少女は窓際で全身に太陽を浴びながら、身体を伸ばす。

「んん~…さてと。あ…っ!」

 つい、いつものクセで裸身のまま窓際へと立ってしまったけれど、今朝は高所な捜査官の寮の自室ではなく、捜査本部が用意してくれた一般アパートの二階だ。

 窓の外は、普通に一般道路。

「~っ!」

 慌ててカーテンを引っ張って裸体を隠して、ドキドキしてしまいながらチラと窓の外を確認すると、人影は見当たらない。

「ふぅ…誰にも 見られなかったみたい」

 危うく、突然のストリップを公開してしまうトコロだった。

「んん…マコト、朝ですの…ふわわ…」

 お寝坊なお姫様のように、ユキがモタモタと裸身を起こすと、スベスベな肌を護っていたタオルケットが、スルりと滑り落ちる。

 窓からの朝陽を受けるウサ耳の美少女の肌が、恵まれた起伏の豊かなグラデーションで彩られて、白く眩い。

「おはよう、ユキ」

「お早う御座います、マコト。あら、マコトったら 頬が上気してますわ」

「え、あぁ…。ちょっとね」

 一緒に朝のシャワーを浴びながら、パートナーに隠し事をしないマコトは、窓際での裸の危機を、正直にユキへと話した。

「まあ、マコトったら♪ ですが、もし通りかかった殿方がおいででしたのなら、マコトの綺麗なヌードを拝見できて、とても幸運な殿方でしたのに♪」

 とか、イタズラっぽく微笑むユキに、マコトも反論をする。

「いやだよ。ユキに見られるなら ともかくさ。それに、むしろ男性は ユキのヌードの方が喜ぶよ、きっと。ユキ、可愛いし綺麗だし」

「うふふ…私だって 安心して晒してしまえるのは、マコトだけですわ♪」

 そんな会話を交わしながら、全身をサッパりさせると、気持ちも引き締まってくる。

 シャワーを終えて、ユキが裸のままコーディネートを選んでいる間に、マコトが裸エプロンで朝食を作る。

「ユキ、出来たよ」

「はい。私も、コーディネートが決まりましたわ♪」

 朝食は、二人の好物な日本食を軽めで済ませて、出発の準備に取り掛かった。

「マコト、下着はこちらを」

「うん。あ、大胆過ぎない?」

 ユキが選んだマコトの衣服は、水着のように派手なカラーのハイカットな下着類に、バストを隠す正面にしか柄の無いクリアなチューブトップと、左右が大きく切り開かれたベリーショートなホットパンツ。

「露出度の高いコンパニオンのお仕事へ申し込んだ。という設定ですもの。大胆アピールは 損にはなりませんですわ」

 ユキの衣服も、セクシー・ランジェリーのようなV字の下着に、上は極短い袖無しのシャツのみで、下はギリギリ過ぎるミニスカートである。

「いかがでしょうか?」

 二人の着衣も決まると、得意げなお姫様フェイスで、ユキが愛らしくドヤる。

「本当に これで行くの?」

 戸惑いながらもお姫様のセンスを信頼している、中性的な王子様の困惑フェイス。

「あら。マコト、もうすぐ バスが到着をするお時間ですわ」

 ステーションまでは、アパートから道を一本渡った車道のバス停で、ステーションへも上がる一般のバスで向かう。

「本当だ。それじゃあユキ 行こう」

 二人は、カバン一つでアパートを出発。

「そういえば、白鳥は?」

 白鳥とは、二人の専用パトロール航宙船「ホワイト・フロール号」の事だ。

 特種捜査官には、専用の宇宙船が支給されている。

 銀白の艶めく白鳥を模した二人の専用航宙船は、捜査官特権もあり、ネクスト・アトランティスの宇宙船ドッグで停泊をしていた。

 平均的な捜査官専用船の性能だった筈だけど、メカヲタクなユキが違法ギリっギリのギリで魔改造をしまくったお陰で、今や専用のメカニックですら整備を避けたがる程の、チート航宙船である。

「うふふ♪ 潜入捜査へ関する指令は、シッカりと 打ち込み済みですわ♪」


                    ~第五話 終わり~

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