俺様ヒーロー
というわけで、日曜日――。
帝際付属高校はうちの学校にやってきた。
どういうスケジュールが一般的なのかはわからないけど、とにかく来たのは午後一時ぐらい。昼食はどうなってるんだろう? とか考えてしまうけど、それは余計なお世話というものなのだろう。
運動部はよくわからない。
まぁ、そこまで遠いわけじゃないからね。聞けば最近の状況には関係なく、前から練習試合していたそうだ。それで因縁が出来て、相手が帝際付属というだけで燃え上がる層もあるらしい。
さて、そんなこんなで女生徒ばかりではなく、男女比的には割と平均的な観客が迎えた帝際付属。
その集団の中に、どうしても目についてしまう男がいた。
髪を逆立てて、ジャージの袖を通さずにただ羽織っているだけ。
うん君、間違いなく厨二病だね? と疑問形で断言できる異様さ。
改めて確認しなくてもわかる。
こいつが向こうのエース、新庄という奴なんだろう。
その新庄がグラウンドの中央をズカズカと突き進んでゆき、うちのサッカー部が用意をしている辺りに近付いてゆく。
そして――、
「菅野ぉ!」
と、間違いなく菅野を指さしながら、いきなり吠えた。
ぜ、全然期待を裏切らないな、こいつは。本当にエースなのかな? ただ目立つだけで、実はたいしたことが無いというパターンでも良いと思う。
何しろ、うちの学校はもとより、仲間のはずの付属校の連中までいないもの扱いしてるし。引率してきた先生も、それで良いんですか? と尋ねたくなってしまう。
こっちの先生と握手とかしてるけど、先に止めた方が良いような気がするんですか。
「今日はこてんこてんにさせてもらう!」
一方で新庄は吠え続けていた。
この声は……ああ、内田雄馬さんに似てるな。テンション高めの役の時の声だ。「シャングリリラ・フロンティア」とか、そういう感じ。「怪医師ラムネ」の方が似てるかも。
ただ、この新庄の役割が打ち合わせ通りなら「俺を好きなのはお前だけかよ」の時みたいになって欲しい。
いや、どんな声かはこの作戦とは関係ないんだけど。
……そういえば、あれも戸松さんがヒロインだったな。最終的に勝ちヒロインになるのかはアニメで見てる限りはわからないけど、多分勝ちそうな気がする。
と、私がいつもの調子で妄想を加速状態で行ってる間にも、新庄はそのまま吠え続けたようだ。
そして役割通り――。
「菅野ぉ! お前最近別れたそうだな! それなら俺様が西山をいただく! 前から良いと思ってたんだよ!」
――と宣言。
それは確かに打ち合わせ通りなんだけど、協力的すぎない?
で、別に一人称「俺様」指示はしてないと思うんだけど。
……小澤?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます