さらに生贄を
小澤がショタ――簡単に言うと、年下で可愛い感じの男性を好む傾向――だとしても、それはそれで構わない。
私関係無いし。
ただその好みを優先させるために、作戦に参加させようという考えなら、それは問題がある。
それなりの理由がくっついていることは説明されたが……もう一度、しっかり確認しないと。
そう考えて私が息を吸い込んだその時――。
「ただ、サッカー部だけというのは、あんまりよくないと思うのよ」
小澤は自分で、自分の選抜にダメ出しを行った。
これなら、自分の好みを優先して選んだわけではなさそう。私は改めて言うべき言葉を選び直す。
「……よくない? え~っとそれは……こっちの作戦がばれる? というかあまり効果が無い?」
かなり変な具合になったけど、ちゃんとした確認になっていたはずだ。
小澤が疑り深い眼差しでこっちを見てきたけど、それは気にしないことにする。
そうすると、やがて小沢は説明を続けた。
「……その二つはどっちでもいいけど、まぁ、そうね。そういうこと。サッカー部内のおふざけとか、そういう風に菅野君に思われる、か、そう思おうとする」
なるほど、そういうことか。
それなら確かにありそうだ。私自身、そういう風に「何でもないことだ」って思いこもうとする癖があるし。
それを防ぐためには――。
「じゃあ、私も何とか古尾に頼んでみる」
と、この作戦を思いついた時に何となく候補に入れていた名前を出してみる。
「古尾……君? ああ、風紀委員の」
「そう。そこの副委員長」
私はそのまま、陽子ちゃんと古尾の関わり方を説明する。
基本的には……ルパン三世と銭形警部みたいなものになるんじゃないだろうか? それが今回は特別に手を組むって感じ。
ルパン三世理論は、もちろん口にしなかったけど、小澤は難しそうな表情を浮かべていた。
「うん……いいわね。サッカー部には関係なく、日頃から関わっていて、詳しいところは菅野君も知らないと思うし。ただ――それって普通に西村さんを好きなんじゃないかしら?」
私もその危険性はあると思っていたが、それでも大丈夫だろうと思っている。
ヒントはサッカー部の増本の話。
古尾は風紀委員としての活動の優先順位が高い。
というか、他に順番を比べる必要は無いと考えてるように思える。
「その辺を上手く突いて協力させようと思ってる。今の学校の雰囲気おかしなのは確かだし、風紀委員としてそれはどうなんだ? って。ああ、ということはやっぱり江上と加奈に協力してもらった方が良いのか。こういう悪辣な作戦に巻き込みたくはなかったんだけど」
私の説明を聞いて、ふんふんと頷いていた小澤の眉が顰められる。
「おい」
自分の扱いに怒る小澤は無視して、私はさらに候補者の名前を挙げた。
「あと、神幸先生」
そう告げた瞬間、小澤の眉が上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます