何とか解明してみる
深夜アニメが終わる頃に、何とか理解できたこと。
どうもサッカーというのは、ボール持ってる選手と、ゴールキーパーが向かい合うと、ボールを持ってる方が有利だという事。
簡単に言うと、そういう状態になると簡単に点が入るらしい。
だから相手ゴールの前に選手を一人置いておけば、パスをするだけで点が簡単に入る。そういうズルを防ぐために「オフサイド」というルールが必要になったという事情があるみたいだ。
でも、それって言ってみれば「そんなことやられたら見ていてもつまらない」なんて観客からの要望の方が強かった気もする。
やっぱり勝手なルールだと思う。
分数の割り算はひっくり返すように、なんて教えられた時の不条理感というか。
それなのに上手くいくのがさらに納得いかないというか。
まぁ、「オフサイド」についてはこれぐらいで勘弁してやることにした。
これ以上、私に関係してくるものでは無いと思うし。
問題は、そうやって何とか理解した「オフサイド」を「幼馴染み」という言葉にどう組み合わせるか、という事になる。
借りたノートを整理し、同時に書き写しながら私がそうやって説明してゆくと、小澤は前の席に腰を下ろしてしまった。
どこかに行かないかな、と思ってしまうがそうもいかないだろう。
そして小澤は、
「組み合わせるも何もないでしょ? 『幼馴染みはオフサイド』ってきっぱりと言っていたんだから解釈の余地はないわよ。幼馴染みイコールオフサイド。それ以外に考えようがないじゃない」
と、さっそく容赦なく切り込んできた。
ということは、私のオフサイドの理解の仕方については、とりあえず賛成って事なんだろう。一言ぐらい、そう言えばいいのに。
そう思った私は、そこから先の推測について小澤に任せることにした。
ノート写すのは大変なのだから。何しろ四日分だ。
……それにしても推測って!
菅野の言葉でこれだけ振り回されている現状もまた不条理だ。
「単純に考えると一対一になっている状況がズルだと。菅野君はそんな風に考えてるということになると思う」
「私も何となくそう思うけど、それって……幼馴染みという状況が一対一って事よね、多分」
一対一。
「オフサイド」を理解しようとすると、必ずこの単語が出てくる。私と小澤がそれを使いこなしているのは何となくおかしい。
「そうだと思うわ。幼馴染みってそういう事では無い気もするけど、この場合、西村さんと菅野君の関係性だけ考えれば良いと思うし」
うん、そこまでは同意だ。
ただそうすると――。
「陽子ちゃんはキーパーなの? それとも点入れようとする方なの?」
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