脳内再生は基本スキル
で、その日の晩。
「考えてみる」と返答した以上、真面目に取り組んでみようと私は決意した。
というか、やっぱりこのまま逃げ回ってるのは陽子ちゃんらしくないと、どうしても思ってしまうので、陽子ちゃんの説得方法を考えてみよう。
……という方が、私の心情には近いのかもしれない。
そういう言い訳探しはともかく、真面目に取り組むとなれば小澤さんの受賞作を読むというのは有効な手段に思えた。
何しろ、問題のサッカー部小説と――小澤さんの中では――並立しているらしいんだから、取材の方向性が見えるというものだ。
多分。
そこで電子書籍で購入して、スマホにダウンロード。
タイトルは「凄剣 ~報われぬ刃~」というらしい。
あまりにも厨二っぽいタイトルなので、浮いてるんじゃないかと思ったけど、時代小説のタイトルって、厨二っぽいタイトルがオンパレードだった。
お勧めに出てくるタイトル、そんなのばっかりだし。
そもそもそういう世界だったのか。
江上が知っているのも、それを知っていたからかもしれない。
この本について、最初は江上に聞いてみようと思ったんだけど、知らないと言っていたし、これ以上先入観を持つのも問題だろうと思ってそれはスルー。
そもそも読む理由がおかしいし。
それであらすじというのが、幕末、佐賀藩は力のある藩で、それは外国から知識を積極的に取り入れたりした方針のおかげ、となっている。
これは本当なんだろう。
言ってみればRPGで賢者とかを担当してる感じなんじゃないかと思う。
私がそういう風に考えたのは、主人公がまんま脳筋の戦士で、それで賢者の友人と時の流れでいがみ合う、というあらすじだったからだ。
戦士だの賢者だのは私が想像しやすいように当てはめただけだけど、そんなに外してないんじゃないかとは思う。
そして半分ほど読んだところでの私の感想。
「腐ってやがる……」(脳内・家弓家正さんの声で再生)
となった。なってしまった。
「武士なんて、みんなホモなのよ」
ついでに、そんなことを言う
とにかく、小澤さんの小説はそういった雰囲気があった。いや、そういう雰囲気があるように私は感じてしまった。
これはもしかしたら、小澤さんは戸松さんでは無くて、悠木碧さんに近いのかもしれない。
BLと言えば悠木さんだから、それは仕方無いとして、今まで記憶していた小澤さんの声も悠木さんに上書きされてしまう気がしてきた。
そうとなればエクスカリバーの声は効力を失うわけで、それはそれで喜ぶべきところなんだけど、そんなの私の気休めにしかならないからなぁ。
……とりあえず「凄剣」は最後まで読むか。
ちなみに私にBL趣味は無かったりする。
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