枠外宇宙開発の可能性
「……う、う~ん、つまり小澤さんは今、陽子ちゃんと話すことも出来ないんだよね?」
「うん。そうなるわ」
身体を起こしながら、小澤さんは私の確認を肯定した。
戸松さんによく似たカラリとした声で。
そうなるとですよ。
「とにかく、私は今、小澤さんと話せてるわけだし、それなら小澤さんとちゃんと話をした方がいいの……かも?」
なんて、自分から切り出したのに疑問形で終わってしまった。
でも、これが一番いいやり方だと思うのよね。
小澤さんが陽子ちゃんに会って、いったい何がしたいのか?
それを確認することは決して無駄じゃないと思うし、何なら確認するべき、みたいな積極的な考え方もできると思う。
そして小澤さんもそれを肯定するように、小さく頷いた。
「中島さんがそう思ってくれると嬉しい。なにせ今まで話も聞いてもらえなかったから。西村さんに伝えてくれるだけでも助かるわ」
「じゃあ、ええと……陽子ちゃんと、どうして会いたいのか? っていうか会ってどうしたいのか? って事を訊けばいいんだっけ」
小澤さんの言葉に流されるように、私は相変わらず頼りなく確認しながら、問いかけてみた。
「うん。そこよね。私が西村さんに会いたいのは、今私が中島さんにお願いしてることと、大体同じようなことをお願いしたくて」
「というと?」
「サッカー部の菅野君がいるでしょ」
それはまさに不意打ちだった。
まさかいきなり、急所とも言うべき
私が震える手で、ドリンクの氷をかき混ぜていると、小澤さんはそのまま続けた。
「西村さんには、菅野君を紹介、というか仲介をお願いしたいと思って。それは――」
「え、えっとそれは、つまり菅野と親しくなりたいって事になる……のよね?」
僅かな望みをかけて、私は相変わらず疑問形を濃くしながら小澤さんに確認した。
どう考えても、陽子ちゃんへの牽制、というか恋のさや当てだとは思うんだけど、それは確認するまでは確定しないはずで。
私は言うだけ言って、そのあとは小澤さんの様子を窺ってみる。
というか、窺う事しかできない。
そんな私の視線に受けながら、小澤さんは不思議そうに首を傾げた。
そして――
「最終的には親しくなるのかも……いや、ちょっと待って。あんまり親しくならない方が良いのかも」
――私の願いが天に届いたのか、そんなおかしなことを小澤さんは言い出した。
親しくならない方が良い?
まるで、私の考えの真逆じゃないか。
そんな都合の良い話になるだろうか?
第一、それなら……菅野と会って何がしたいというのだろう?
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