第3話
「前に、先生に殴られているのを見た。それでも髪色そのままって、すごいね」
ほかの子だったら黒く染めるんじゃないかと思う。内申を気にしたり、殴られるのがつらくなったりして。
「反抗するのがかっこいいって、そういう意味じゃなくて?」
「かっこよくないよ。不良はよくない。たばこなんて、もっとだめでしょ」
はっきりと言ってしまった。
いつもの私なら、反論なんてしていない。嫌な雰囲気にならないように、顔色をうかがっていたはず。
でも、そうならなかった。見るからに苦手な不良なのに。
「あなた、一年生?」
「そうだけど……三月までランドセル背負ってたガキがいきがるなって?」
かわいた笑みが、痛々しく感じる。
そっか。この痛々しいところに引き寄せられたんだ。
「いきがるなって……そこまでは思ってないよ。そっか、一年生かー」
何も喋らなくなると、波の音がうるさく感じるように聞こえる。
「あんたは?」
「私は、三年だよ。あんたって呼び方は嫌いかな……」
「え、三年? やべぇ、年上だった……」
彼はうつむいて耳を赤くしながら「ごめん……なさい」と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます