60:第一回楽しい遠足
「ねぇ、小隊長。」
「なに?」
「私たちが可愛がってたティアラちゃんってさ……。」
「全部言わなくても大丈夫、多分ここにいる私たち同じ気持ちだから。」
「通商破壊は楽しいなぁぁぁあああああ!!!!!」
(((こわぁ。)))
おほー! 敵の補給基地潰すの愉しいですわ~! ジリジリと喉に真綿を送り込んで窒息死させてやりますわぁ! ご飯がなきゃ誰も生きられませんわよねぇ? 全部ティアラちゃんが貰っちゃいますわ~!!! ついでに井戸に毒ぶち込んで火も付けちゃいますわ~!!!
「て、敵しゅ」
「だまれ♡」
仲間を呼ぼうとした帝国兵の頭部に向かって、“射出”を敢行する。瞬間はじけ飛ぶ脳みそ。あはー! 仲間呼べなかったねぇ! 火がどんどん回るねぇ! 闇夜を照らす綺麗な光だねぇ!
そんなことを言いながら、どんどんと物資を懐に入れ、建物や敵を破壊していく。
現在私たちがいるのは、帝国内部の敵補給地の一つ。物資を戦場に送る前に、一度ここで整理などを行う集積地だ。私たちが王国陣地に到着する前、ナディさんたちが発見した敵拠点で、前線で戦う帝国兵という血管たちに血を送り出す心臓でもある場所。
今日はお天気も良かったから正面の帝国軍をぐるっと迂回して、敵の補給路を“空間”から出した岩石とかでふさいだ後、よちよち歩いてた補給部隊をひき殺して、そのまま敵補給基地まで襲撃を仕掛けたんだけど……、もう全部上手く行ってるねぇ!
(かなり大きな拠点だったから、物資もたんまりだ。何日分かわかんないけど……、少なくとも万程度であれば数か月持たせられるぐらいの物資が集積してあったよねぇ。大打撃じゃない?)
勿論そんな巨大な補給拠点だ、それ相応の帝国兵が詰めていて、相応部隊と接敵したんだけど……。そこはティアラちゃんにお任せ。お空から“疑似メテオ”と、迷宮の中ボス魔物が放った溶岩弾をぶち込み爆殺。おまけに私の後ろに乗っていたオリアナさんをリリースして欠片一つ残さず処理できた。
結構広い基地だったからまだ敵兵が残ってるみたいだけど……、もう関係ないね。初手で敵司令官っぽいのぶっ殺しちゃったし。オリアナさんがぐるぐる走り回りながら殺しまくってるみたいだし。安心安全に補給拠点を焼けるってもんよ!
(これから毎日敵兵を焼こうぜ! あははー!)
建物に火を放ちながら、パンや野菜やお肉。王国とはちょっと違う毛色の食べ物や武器を“空間”の中に収めていく。3000年敵対し合った国家といえど、毎年殺し合いという名の文化交流をしているおかげか、似通っているものが多い。帝国のもっと奥地に行けば流石に変わってくるのだろうけど……。使い道が解んない、ってものはなさそうだよね。
そんなことを考えていると、一緒に護衛として付いて来てくれていた天馬騎士団の小隊長。姉ちゃんたちの一人が話しかけてくれる。
「と、というかティアラ? お前どうやって物資とか消し飛ばしてるんだ?」
「んにゃ? あぁこれ消し飛ばしてるんじゃなくて回収してるの。傍から見たら消えてるように見えるだろうけど、しまってるだけだからあとで取り出せるよ。私の能力の一つでね? 色んなものを詰め込める巨大なポケットみたいなの持ってるの。そこに放り込んでる。それと……。」
まだ生き延びていたのだろう。騒ぎを聞きつけ、数を集めこちらに向かってきた帝国兵たちの足音が聞こえてくる。数は多く見積もっても100程度。即座に私の護衛としてついてくれていた姉ちゃんたちが槍を構えてくれるが……、ちょいと失礼。
即座に“空間”を開き、彼らの脳天めがけて鉄の雨を降らせる。ちょうどこの集積所で確保した鉄製の武器たちだ。幸い警戒すべき程の強さを持った奴はいなかったようで……、全員が串刺しになり、その命を終える。まぁ速度を上げすぎたのか弾け飛んでる子多いし、痛みを感じなかったぽいから良くない?
「うわぁ。」
「こんな風に取り出すのもできちゃう。便利でしょー!」
「便利通りこしてないか? というかこんなもの私たちに見せて良かったのか? 確実に国レベルで囲い込む能力じゃ……。」
だよね。そういえば昔オリアナさんにも似たようなこと言われたなぁ。この人たちは子爵領で一年間一緒に切磋琢磨し合った相手だし、その人となりが信用できるってことは理解している。他の王国軍の人たちには見せるつもりはないが、姉ちゃんたちなら大丈夫だろう。
「まぁね? 姉ちゃんたち騎士だから上司のナディさんには報告しても、それ以外にはしないでしょ? それに……。」
「それに?」
「“どこからでも出せるから”……、ね♡」
「ひぇ」
どろっどろの笑みを見せながら、姉ちゃんたちの顔を覗き込む。闇夜で燃え盛る炎も相まって、非常にすごい顔になってるだろう。
“どこからでも出せる”ってことは、その人の口の中とか、体内からも出せる。つまりいつでも暗殺できる、と聞こえたことだろう。流石にちょっとヤバかったのか、姉ちゃんたちの顔が引きつる。
ま。ほんとはそんなことできないんだけどね~!
“空間”を繋げられるのは、私が“視認”して“認識”している所のみだ。つまりその人の頭部0距離からの射出はできるけど、内部からの射出はちょっと難しい、って感じ。それに開けた穴もその対象を追跡するんじゃなくて空間に穴が固定されるような形だから……、オリアナさんみたいな上位勢なら、0距離でも避けちゃう。
(あ。でもご飯の時とかにお口を開けてたら、そこから“射出”できなくもないな。)
……とりあえず味方にはそんなのしないから安心してね? ね? ほらティアラちゃんこんなに可愛くて人畜無害! ちょうどサイズも抱きしめやすい感じでしょ? ほら抱っこし……、あ。敵。射出。わーい、はじけ飛んだー! 今日だけでキルスコアすっごく伸びてうれしー!
「最近の若い子はすごいなぁ。」
「小隊長、多分ヤバいのティアラちゃんだけです。」
「ですね。」
「ティアラお前、絶対他の貴族の前でそれするなよ? 狙われるぞ?」
解ってるって! 実際伯爵に狙われてたし……。でも伯爵には勝負で勝って接近禁止令を出せたから大丈夫! それに伯爵以外の貴族でも、ティアラちゃん貴族殺すの別に躊躇しないタイプだし……。最悪そいつ消し飛ばして空間の中にポイしとくから! 安心安全なのだ!
「あぁ、なるほど。死体とかも消せるから完全犯罪もできるのか。今度私とピクニック行かない? ちょっと消してほしいのが2、3人……。」
「オイお前、ヤルならせめて自分の手でやれ。」
「確かに。じゃあ死体処理だけしてくれるか?」
もち~! あ、あと回収した死体は後で適当にお墓に埋めてお祈りしとくから後処理とかもお任せ! ……でも流石になんかお駄賃はくれるよね? あ、ご飯奢ってくれる? ならそれでおねがーい! ほら子爵領でよく行ってた飯屋あったでしょ? あそこのオムレツ大量に食べたいから今度奢ってね!
「了解だ、二人で行こう。」
「あ、ずるいですよ! 私もティアラちゃんと行きます!」
「お前ら、一応敵地だぞここ?」
「いやでも小隊長。」
あ、敵だ! 殺せー! ついでに持ってる武器回収! 近くにあった倉庫の中身も回収ー! そして火を付けろー! わー! ……うにゃ? どうしたの姉ちゃんたち。なんかティアラちゃんに御用で? あ、なんもない。ならいいんだけ……、敵ぃ! “射出”!
「……この子ほんとに戦場に連れてきて良かったの? いや精神の方は大丈夫そうだが、危険晒すよりも内地でもっと成長させてから出した方が良かったんじゃない?」
「敵だったら最悪だが、味方だったらこれ以上ない逸材だものなぁ。」
「でもティアラだぞ? 大人しくしてると思うか?」
「「「あー。」」」
うにゅーっ! なんでそこでみんな納得するのさ! いや確かに私が大人しくするわけないけどさぁ! みんな口揃えて納得されるのはなんかムカつくんですけど!
「おいお前ら、無事……。なに談笑してんだ?」
「「「あ、先生。」」」
声をする方を振り返ってみれば、何かしらの紙束を持ったオリアナさんがそこに。もう片方には少しだけ血が付着した槍を持っているところから、敵兵を蹴散らしながら合流してくれたのだろう。でもオリアナさんが矛に血を残すなんて珍しいな。いつも通り返り血は全く浴びてないんだけど、普段なら血すら刃に残っていない。
「お帰り“お婆ちゃん”。なんか強いのでもいたの?」
「いや、お前が燃やした家屋突っ切って来たから焼き付いちまっただけだ。拭けば取れる。それとコレ、ここの責任者かなんかの部屋に置いてあった奴だ。適当に掻っ攫ってきたからこれも入れとけ。」
「あいさー!」
言われた通り書類を“空間”に放り込みながら、同時に最期の倉庫に向かって火を放っておく。……あ、この倉庫、傷薬とか入ってるじゃん。引火する前に全部回収しておこ~。うんうん、武器に食料に薬! 井戸には毒ぶち込んで置いたし、ここの補給基地はこれで壊滅だね! ティアラちゃんすごーい! 大戦果!
「帰るまで調子乗るなバカ。もうここに用はない、さっさと帰るぞ。」
「はーい、お婆ちゃん。帰りはナディさんたちと合流して帰る感じ?」
そう言いながら町の外に向かってみんなで移動を始める。新しく敵がやってきたら困るし、基地の外で待たせてるペガサスたちに向かって駆け足だ。まぁ私の場合体が小さくて足幅が短いせいか、オリアナさんに抱えられての移動だけど……。
今回の襲撃だが、少し時間を空けてナディさん率いる『天馬騎士団』の本隊も帝国内部に侵入している。次に私が襲う予定の敵補給基地の捜索と、敵軍の動向を確認するのが主な任務だ。
「あぁ。国境線を超える時はお前がいた方が安心だからな。」
「確かに、ティアラちゃんいると安心ですもんね。」
「空であんなもの飛ばされればキツイからな。」
「私ら羽に空いたら終わりですもんねぇ。……あ、小隊長アレ避けれます?」
「いや無理だろ。来るの解ってたら初撃はなんとかなるかもだが、雨みたいに降らされればもう生き残れるの団長レベルだけじゃないか?」
小隊の姉ちゃんたちがいう様に、私は空中から“射出”を行い、敵兵を落とすことが出来る。実は“行き”で国境線を超える時、敵の竜騎兵に襲われたのだが……。銅の棒を降らせてハチの巣にしてやった。ナディさんみたいな上位勢相手だとやっぱり通用しない可能性が高そうだが、ティアラちゃんの対空性能に掛かればちょちょいのちょい! ってわけですよ。
「無駄口を叩くな、撤退するぞ。」
「「「了解。」」」
オリアナさんの指示にそう答え、ナディさんたちと合流するために撤退する私たち。帰りもティアラちゃんがコロコロしまくったため無事に帰還しましたとさ。ちゃんちゃん!
◇◆◇◆◇
ということで夜明けとともに帰って来たティアラちゃん一行。
今回の偵察及び破壊任務は大成功と言っていいだろう、全員無事に帰って来れたし、ティアラちゃんは敵の巨大補給施設を壊滅させた上に、オリアナさんと協力したおかげで生存者一人も残さなかった。ナディさんが指揮した偵察任務も、敵の新たな補給路を発見することが出来、そこを通っていた補給部隊の壊滅も成功させている。
兵力の差とか、士気の差とかでどうしようもなく負けてしまっているのが今の王国軍だ。子爵家は大丈夫だけど、本隊である王国軍は間者が入り放題なレベルで終わっている。本隊をアテにした作戦行動が難しい以上、子爵家の枠組みで何とかできそうな後方の襲撃をしたんだけど……。
(めっちゃ上手く行ったよね。次も何とかなるかはわかんないけど……、とりあえずヨシ!)
今日はティアラちゃんの鮮烈なデビュー戦を、大勝利で終わらせたわけだし、良かったとしようか。
(ま、そんな大勝利の裏にも被害があるわけで……。)
「ブブブブブ!!!!!」
「解った、解ったから! ほらもう仕事なし! これご褒美の高級フルーツ! ほら食べましょうね!」
「ブブブブブ!!!!!」
もうタイタンの機嫌が悪いこと、悪いこと。厩舎の壁を突き破って私をひき殺そうとするレベルで目がいっちゃってる。それもそのはず。普段は私一人だけなのに、今日はオリアナさんも背に乗せたせいで機嫌が最悪なのだ。この子のスタミナ的に一人ぐらい増えてもどうってことないはずなのだが……、プライドはまた別の問題。
幾ら自分より強いと言っても騎手が増えたわけだし、自分が長じゃない群れ(ナディさんのペガサスがリーダー)に勝手に加えられるし、自分のものだと信じて疑わないこの大空に同族以外のよくわからん竜みたいなの(敵竜騎兵)が攻撃を仕掛けて来た。
もうブチ切れ祭りである。
これ以上私がここにいても良いことはない、タイタンの口と餌箱にフルーツを突っ込みながら、厩舎を出る。
(数日はずっとあんな感じだろうなぁ。まぁその間私が近づかず、モヒカンズに世話を任せておけば大丈夫だろ。……にしても、朝からずっと補給潰ししてたからねむぅ。)
あくびを噛み殺しながら、モヒカンズにタイタンの世話をお願いしておく。こいつらの守備範囲的に馬だけじゃなくペガサスも好きなようで、迷宮都市にいたころよりもずっと元気に仕事をしてくれてる。まぁここ軽く400ぐらいのペガサスが集まってるわけだからね……。普通なら大変な世話も、楽しんでやってくれているようだ。
それに、モヒカンズはウチの聞かん坊からすれば『モヒカン頭の奴らは自分を目一杯甘やかしてくれる召使』の様なものだ。こっちに来る前にも何度か世話を頼んだことがあるし、まぁ大丈夫だろう。
(にしても、思ってたよりも早く溶け込んだな、ウチの奴ら。)
そんなことを考えながら、子爵家の陣地を眺める。警備として突っ立ってるモヒカンズや、ペガサスたちの世話をするために走り回るモヒカンズ。後は騎士団の姉ちゃんとカードゲームしたり、彼女たちのために飯作ってるモヒカンズもいる。なんか全体的に騎士団のお世話係みたいな仕事ばっかりで、こいつらほんとに傭兵かよくわからなくなってくるな……。
まぁモヒカンズは見た目が世紀末なだけで、かなり根がいい奴らだ。たまに口調が世紀末になってえらい勘違いをされるときもあるが、善性の人間たちである。そして天馬騎士団の面々も、ナディさんが直々に選抜した精鋭たち。ちょっとペガサス狂い、ペガキチな姉ちゃんもいるが、まぁいい人ばかりである。
モヒカンズからすれば大好きな馬に近しいペガサスがたくさんいるし、『空騎士』の美人さんたちとお近づきになれて嬉しい。天馬騎士団からしても自分たちでしなくてはいけなかった雑用を手伝ってくれる男手が増えたわけだし、見た目は色々とおかしいが根はいい奴ら。
なんやかんやで馴染んでしまっている、ってところだね。ティアラちゃんとしては一安心。
「あ、ティアラー。お疲れ、どうだった?」
「ティアラの姉御! お疲れ様です!」
「うん、快勝ー。補給基地火の海にしてやったー。」
綺麗なオジキをしてくれるモヒカンズに大丈夫だと手で押し止めながら、姉ちゃんにそう返す。今回も欠員は出なかったし、結果も上場。他に帰って来た騎士団の人たちの雰囲気から作戦が成功していたのは理解していただろうけど、こういうのは口に出してこそ意味があるってもんだ。
「そっか。めでたいねぇ! ほらそこのモヒカン! 酒二つおかわりで! ティアラも飲め飲め!」
「いや姐さん、ウチの姉御はまだ未成年でして。ご容赦を。」
「そうそう。あとティアラちゃんお眠だから寝かせてちょ。」
また今度一緒に飲もうね、なんて言いながら手を振りその場から離れる。あの人酔うとめっちゃ絡み酒して来るからなぁ。後で突き合わされてたモヒカンズの子には休み上げないと。
そんなことを考えながら、私とオリアナさんのために用意してもらった天幕へと足を進める。最近は地べたで寝たり、タイタンの背で寝落ちしたりとかが多かったけど、ハンモック貸してもらえたからなぁ。アレ結構寝やすくていいんだよね。地べたの石ころとかが刺さっていたい、とかないし。
(でもやっぱベッドとかで寝たい……、あ。なんかしてる。)
テクテクと歩いていると、何やら人だかり。少し覗いてみれば、どうやら騎士団の姉ちゃんたちがソーレとルーナの二人にペガサスの騎乗の仕方を教えてくれているようだ。そういえばシスターズは『剣士』の道に進みながら同時にペガサスへの騎乗も頑張る、って言ってたよね。
「ほら私の相棒は賢いんだから、ソーレはバランス取る事だけに集中しな。」
「“職業”の補正というか、そういうバランス感覚とか、空での視野は私たち最初から持ってることが多いからなぁ。……あ、あとペガサスに囲まれて育った、ってのもあるだろうけど。とりあえず数熟せー。」
「「は、はいっ!」」
(おー、頑張ってる頑張ってる。)
二人にバレないように、遠くから訓練の様子を眺める、どうやら姉ちゃんたちにペガサスを貸してもらって、超低空飛行から練習しているようだ。たぶん私があっちに行ったら訓練の手を止めちゃうだろうし、姉妹ちゃんたちに余計なプレッシャーをかけてしまうだろう。
まだ体幹が出来上がっていないせいかフラフラで、ちゃんと乗れるまでは時間がかかりそうだけど……。頑張れ若人! ……こういうのって自分よりも年が上の存在に言ってもいいのかな?
「ここにいたかティアラ。」
「ん? あぁナディママじゃん。お疲れ。」
また思考が変な方に脱線していると、背後から声。振り返ってみてみれば帰って来たというのに未だ鎧を付けたままのナディーンさんがそこに。……え、もしかしてまた出撃? ティアラちゃん眠いし、タイタンの機嫌が最悪だからもうちょっと休憩欲しいんだけど……。
「はは! すぐにそう考えるとは戦意があってよし! そして私に対して意見を述べれるのもよし、だな。だが残念ながら出撃ではないぞ?」
「そうなの?」
「あぁ、実は交友のある貴族たちに声をかけていてな。お前も顔合わせをしておくべきだろうと思い声を掛けに来たのだ。」
「私?」
ナディさんがいうには、すでに王国軍の本隊。私たちの主力を務める者たちの士気は最悪で、信用ならないとのこと。一応士気を保っていない部隊がいないわけではないが、本隊の総指揮官が例の五大臣配下の将らしく、腐敗が進行中。同時に敵との兵数の差が徐々にバレてしまっているようで脱走兵まで出てきているとのこと。
「それに、来てくれた際に聞いた“傭兵”の扱いから間者も入り込んでいるだろうしな。こうなれば本隊を見限って動くしかないと踏んだわけだ。」
ということでナディさんは交友のある貴族たちに声をかけ、この戦争を勝利。いや帝国軍をどうやって王国に侵入しないようにするのかについて、会議を行うとのことだ。まぁ実質的に新しい派閥を作って、どうやって戦うのか決める、ってことだろうね。
「皆、姉上。オリアナ殿の名声を知るものだ。次代の星であるお前がいても、悪いことにはなるまい。むしろお前の交友も広がって+になるだろう。」
「……私の“能力”については話さないよ?」
「構わん。むしろ話さない方がいい。公開するのは、“職”だけにしておけ。それだけで十分だ。」
「んー、じゃあ行く。」
「それでいい。こっちだ、付いてきなさい。」
確かに7歳で『上級職』ってとんでもないからね。それだけで十分オリアナさんの孫としての証明にはなるかな? ステータスは全然だけど……。
ま、眠いけど頑張るとしますか!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇天馬騎士団
現在400騎ほどの『空騎士』を保有する騎士団。子爵夫人であり、騎士団長でもあるナディーンを頂点とした指揮系統を構築している。非戦闘時の任務としては偵察や国境警備、本陣の直掩などが挙げられる。
ペガサスの体力的な問題や、空中という常に騎手へと負荷が掛かる場所での任務から、出撃後は長時間の休養が必要。そのため実働部隊はそれほど多くはない。
ティアラとエレナの切磋琢磨する様子から刺激を受け、全体的に士気及び能力にバフがかかっている。また、ティアラが連れて来た傭兵団にペガサスの世話や子爵家陣地の警備を任せられるようになったため、疲労回復速度にもバフがかかっている。
4騎で小隊、4小隊で中隊(16騎)、4中隊で大隊(54騎)、4大隊で連隊(216騎)、2連隊で旅団(432騎)換算。
現在30騎ほど不足しているが、子爵領に残っている『空騎士』は新兵しかいないため人員充足はかなり先。
〇ティアラちゃんの傭兵団(正式名称未定)
幼女がリーダーであり、一般構成員がモヒカンという異色な傭兵団。約50名。ただ戦力としては槍鬼オリアナとティアラが在籍しているため、人数の割には異様に高い。たった二人で一軍を壊滅させられる能力があるとんでもない存在である。なおティアラの実力は対外的には公開されていないので、オリアナのワンマンチームであり、孫に経験を積ませるため長にしたのではないか、と思われている。
天馬騎士団と行動しているため、全体の士気と能力向上速度にバフがかかっている。
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