釈明会見
「なんでクランが安定からの崩壊繰り返してるのなーぜ、なーぜ?」
「イブキさん、現実逃避しても仕方がないですよ」
「(椎名)洋介〜」
「というか俺以外クラン所属の戦闘要員の男が混血だけになったの問題でしょ」
「それはそう。さーてどうしたものかね」
「普通のクランだと崩壊案件を何度も繰り返してるのどうにかなりませんかね」
「ならないでしょう。混血をメインにした以上、たぶんずっとこんなのが続くよ」
「はぁ···」
「まぁそんなクランで幹部をやっている以上どうにかするしか無いよね。初期メンバーが私と洋介だけになっちゃったけどね」
「佐藤と佐倉もクランには残りますが、実質戦闘要員からは引退ですからね。華澄も三人目がお腹に居ますし」
「君も大概だよ···まぁ授かりものだからコレばっかりはしゃーない。幸い予算は明聖社が本気で支援してくれるから問題無いし、中級ダンジョンでセコセコ稼いでも当面は問題無いね」
「問題は海外からの懇願ですが」
「ロドリゲスとドナルドみたいに日本生まれじゃないから文化が違うのが問題だね。ただ日本と違って海外は混血の差別は更に酷いらしいし···ただ日本の混血を集めきれてない状態で国外に手を出しても今のガタガタの状態だと本当にクランが崩壊する可能性もあるからねぇ」
「無理なら無理と言うのも手だぞ」
「そうだね···ちょっと配信をしようか」
「今から?」
「現状をしっかり伝えないと駄目でしょ」
「まぁな」
「はい、皆さんこんばんは〜天使のイブキです!」
『イブキちゃんキター!』
『スカーレット妊娠って本当ですか!』
『小風ちゃん結婚も!? マジなの!?』
『箱メンバー凄いことになってるぞ! なんとかしろよ!』
「うーん、まず色々言わないといけないのがアシスタントをしてくれていたAちゃん(東横雪子)、B君(松田)、C君(萩原)がクラン脱退です!」
『え?』
『え?』
『はぁ!?』
『メインメンバーじゃねえの!?』
『一軍三人離脱!?』
『オワオワリ』
「理由としては三人は探索者協会から私への護衛として派遣されていた人材だった為、派遣期間が切れたので来年の一月に期間満了で脱退です。これは既定路線だったので私的には痛いけど問題無いんだよね」
『も、問題ないのか?』
『あれ? 佐倉と佐藤の二人も離脱していたよな?』
『椎名君だけ? 初期メンバーで残ってるの』
『どんだけメンバーの離脱激しいんだよ!』
「はい、椎名君だけになります。で、問題はこれまで抑えていた中堅メンバー(加入一年以上のメンバー)の恋愛事情です。今まではクランが安定していないので抑えて貰っていましたが、不満が噴出し、解禁したら中堅メンバー約四十名のうち半数が妊娠しました···アハハハ!」
『笑い事じゃねーぞ!』
『どんなクランやねん』
『クラン崩壊の危機じゃねーか!』
「もっとも笑える話しようか! なんとか五百億以上かけたクラン主体の町作りが既に始まってるんだよね! 本拠地のマンションも建設中だし!」
『ひえええ!』
『アカン』
『アカン』
『もう駄目だ! おしまいだ!』
『馬鹿野郎』
「まぁクランが潰れる事は無い。私がここで死んだら瓦解するけど、死ぬ気は無いし、逃げ出す気も無い。で、ここまでモラルブレイクするとは思わなかったけど、必ず立て直すから見てろよ見てろよ〜」
『いや、無理やろ』
『主力崩壊、中堅半壊って無理では?』
『どうやって立て直すねん!』
『ファァァー!?』
「いや、確かに中堅半壊とは言ったけど新人達も上級下位程度には鍛えたから戦闘要員は居るんだよ。で、残った男共は馬車馬の如く働いてもらう。自業自得だ。もっと分散させろって話だが、今後も多分毎年こんな感じで半壊を続けると思うんだよね。混血の人達風俗とか出入り禁止で性欲溜まっているから、付き合いだしたら止まらないし」
『あー』
『それはそう』
『可哀想に』
『イブキなんとかしろよ』
『スカーレットちゃんは何なんですか!?』
「スカーレットは子供を産むのが種として正しいってよく言っていたから···まぁやるとは思ってたが、まさか精液ドナーとはな。しかも正規ではなくネット経由で手に入れたらしいからガチで親がわからん」
『えぇ···』
『ヤバすぎだろ』
『終わっとる』
『スカーレットちゃんアウトロー過ぎるでしょ』
『待って···スカーレットちゃんの子供も特性引き継ぐ感じなの?』
「多分そうじゃない? 母体が母体だし···まぁそれは置いておいて」
『置いてかないで!』
『詳しく! 詳細を!?』
「いや、私でもそれ以上は言えんよ。まぁ今のところうちのクランは比較的というか殆どの人がカップルになってるんだよね。なんでだろうね〜」
『これだけモラルブレイクしてたら人間関係も崩壊しそうだけど』
「意外や意外、皆純愛のみなんだよなぁこれが、男女一対一で結ばれてるんよね···これが」
『ええ?』
『それはあり得ないんじゃないの?』
『昼ドラ展開ないの?』
「今のところ無い。それぞれの領分で満足しているっぽいんだよね···まぁ男共を働かせるのは確定として、まだやっぱり混血に対する差別が根強いから混血中心のクランになっている以上、混血以外の採用は戦闘要員以外になる。かと言って変な人が入ってくるのは避けたいからこちらからのスカウト以外は採用しない方針で当面は行く。だからSNSのダイレクトメッセージに履歴書送りつけないでね」
『言われてるぞ』
『お、俺やってないし』
『大半が嫌がらせだろ』
「ただスカウトの採用人数はこんなになってるから増やす。来年にはマンションも完成すると思うから住居問題も一段落すると思うからね」
『キター!』
『混血だから採用枠拡張はありがたい!』
『どこで応募すれば良い?』
『スカウトだって言ってんだろ!』
「まぁ基準の一つとして魔法理論習得をしていること、犯罪歴が無いこと、移住できる事かな? ガチで混血中心の街作りしているし···あと注意喚起ね、場所を特定してイタズラ及び放火しようとする馬鹿共、容赦なく豚箱にぶち込むし、この街作りは岐阜県の探索者支部や明聖社等の企業や市議会、県議会からの肝いりで計画が進んでいるから、それら全てを敵に回す覚悟でやれよ。私、敵には徹底的にやるからな」
『アンチ共聞いてるかー』
『人殺しがなんか言ってるよ』
『血塗られ天使が』
「まぁこの話はこれくらいで···とりあえず国外から今のところクランにメンバーを加入させるつもりはありません。理由は文化や宗教が違う人を入れたらクランがガチで崩壊するからです。時勢が変わればまずは混血よりも同じ日本人から雇うと思うということも伝えておきます」
「また一軍による上級ダンジョンアタックを計画していましたが、無期限で凍結致します。今の状態だととてもじゃないけど無理。ただ椎名は星を取って欲しいと思ってますし、彼は既にレベルが二百を超えているので、星を持つには十分な実力を持っていますので、彼をクランが後押ししようと思っています···ただなぁ、上級潜れないから収益による星が難しいんだよなぁ···」
「とにかく、一···いや、二年から三年かけてチームを再建しますのでどうかガイアクランを今まで通りとはいかずとも応援してくださいな」
『できるか!』
『無理でしょ!』
私のこの本音配信により、数万人単位でチャンネル解除が相次いだが、批判はメンバーよりも管理をしている私に降り注いだ。
私は炎上慣れしているし、SNSを呟くだけであんまり見ないので気にしなかった。
ただこんな逆風に私が晒された事でクランメンバーだけでなく、混血の人達は混血唯一希望のクランを潰すわけにはいかないと鍛錬を積み、多くの混血の方が明聖社のスカウトの目にとまり、スカウトされていくことになる。
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