長門のダンジョン創造と三歳の誕生日
「イブキー、ここ何も無いね」
「うん、殺風景って言うのかな?」
長門、大和を連れて粗整地だけした私が買った土地に来ていた。
本当にだだっ広いだけで道くらいしか無い。
「長門、大和、誕生日おめでとう! 今日は先に長門の能力について確認したいな〜ってお母さん思ってね」
「能力?」
「そう、長門はダンジョンを創り出す能力が、大和は人の縁に関する能力があるんだよね。お母さんや皆に見せてほしいな〜って」
「そうなの?」
と長門が周りに居るメンバーに聞く。
今日来ているのは監視役の東横の父親である東横守さん、東横雪子、椎名洋介、松田、萩原、小風、南波、池田、内藤、スカーレット、山姫、月精、ロドリゲス、ドナルドのメンバーである。
「もし長門がダンジョンを創れたら、そこで採れた物でご飯を食べようか」
「本当!?」
「ええ〜長門良いな〜」
「大和も食べたい物があれば長門に相談してみなよ」
と二人に相談させると大和が熊のお肉食べてみたくないかと言い出し、熊なら蜂蜜舐めてそう、あと鮭と長門がイメージを膨らませる。
「熊がいるなら森だよな! 鮭なら川かな?」
「私は大きな鮭とイクラの丼ぶりを食べたい!」
「ねぇ長門、せっかくなら食べたことの無い食べ物食べてみたくない?」
「大和どんなの?」
「アニメで狸達が木を変化させて木の実を蓋付きのご飯が入った丼ぶりを生み出していたの見たけど似たのできない?」
「うーん」
長門は考え出し、地面に手を付けて土をニギニギし始める。
「大和、イブキの方に離れて」
「うん」
大和が離れると、長門がコネた地面を思いっきり殴った。
すると地面にヤントラと呼ばれる模様の溝が現れ、中央部から金色に輝く液体が流れ始める。
溝全体に液体が浸ったのを確認した長門は中央部の出っ張りを掴むと思いっきり引き上げた。
すると地面がそのまま持ち上がり、異空間に繋がるゲートが出現した。
「できた···本当にできた···イブキ見て! 私のダンジョン!」
「凄い···本当にダンジョンが創れた」
「私中見てくるね!」
「あ、ちょっと!」
長門は私の制止を聞かずにダンジョンに突入し、私も慌てて中に突入する。
他のメンバーも驚きながらも慌ててダンジョンに突入するのだった。
「···川だ」
ゲートを潜ると山の中の川辺みたいな場所で、先程整地された場所とは違うらしい。
直ぐに長門を見つけると抱きかかえて
「危ないから中に入るのは確認してからにしようね!」
「ごめんなさい」
と軽く注意する。
他のメンバーも続々と現れ、周囲の様子を確認する。
「ちなみに長門はどんなダンジョンをイメージしたの?」
と私が長門に聞くと
「熊も鮭も川のある森に居るし、狸も山の中に居るからそれをイメージしたよ···ほら」
と長門が指を指すと真っ黄色にした熊本のゆるキャラ···が腰に二つ壺をぶら下げながら川で魚を取ろうしている。
「熊だけどなんか可愛いな」
「クーマ君!」
「あー、そんなゆるキャラ居たなぁ」
と大和がクーマ君と叫び、椎名洋介がそう言う。
どうやら椎名一家に預けた時に見たゆるキャラの大会の映像で見たゆるキャラが元ネタらしい。
するとバシッと鮭みたいなモンスターがクーマというモンスターに弾かれて地面に投げ出された。
クーマは地面に落ちた鮭を咥えて森の中に消えていった。
「スゲーな、生態系が小さいながらにあるっぽいぞ」
「サーチしてみましたが、結構反応がありますね」
松田が鶏みたいな鳥を既に捕まえそう言うし、萩原はサーチで確認していたみたいである。
「なんか丼ぶりが実っている木があるんですけど」
「何でしょうね···これ?」
山姫と月精は木を指差すと本当に丼ぶりが実っている木があった。
「あ、狸···ん?」
「分福茶釜ってか?」
茶釜に化けた狸が山から出てきてこちらに気がつくとピーと音を立てて威嚇している。
ただ全く迫力が無い。
「ねぇ長門、こいつら倒して良い?」
「え? うん。食べたい物考えてただけだから別にいいよ?」
ととりあえず創造主の許可が出たので手分けしてダンジョンを探索していく。
私は子供達と川辺で遊び、二人一組でダンジョン探索をすること一時間···結構色々な食材が集まった。
というか食べ物がコンセプトだからか、食べ物ばっかりである。
「とりあえず食べてみます?」
と小風が言い、全員が頷いたので調理を始める。
まず分福茶釜の狸を茶釜と狸に分解し、川の水で茶釜を綺麗に洗って、軽く炎の魔法で熱する。
そこに仮名で丼の木に実っていた丼ぶりみたいな樹の実を半分に割り、中身を取り出し、川の水で軽く洗ってから茶釜に入れて炊く。
クーマは可愛い見た目だがオーク並の強さで、攻撃したらめちゃくちゃ激怒して死ぬまで襲いかかってきたらしい。
まぁそんなクーマは解体用のナイフで解体され、寸胴体のボディから上質な肉を結構な量取ることが出来た。
あとは鶏みたいなモンスターの骨を別の茶釜で即席の鶏ガラ出汁をニラかネギかわからない野草と一緒に抽出する。
またクーマが持っていた壺の中身は蜂蜜(蜂蜜酒も別個体は入っていた)であり、クーマの肉を蜂蜜漬けにしてから車に積んでいたフライパンで焼いた。
あとは鮭のモンスターを安全確認していないのに生で食べる勇気はなかったので切り身にして焼き鮭にし、塩を振って完成させた。
米もどきが炊きあがり、熊肉、ニラネギ、鶏肉にゴボウモドキを茶釜で鍋にし、先程の木の実の丼ぶりの大きい物を茶碗に、小さい物を取り皿にして食べてみる。
「うん、普通に美味い」
「米モドキは少し古い感じの米だけど不味くは無いな」
「鍋美味いな。即席出汁だから味が染みてないかと思ったけど、一時間ちょっとで出汁が出るんだな」
「ニラネギ美味!」
『鮭モドキも脂身が美味いとスカーレットは回答します』
「美味しいねー大和」
「美味しいね! 長門」
「熊肉の蜂蜜焼きも美味いな。肉質が柔らかくなって若干甘いし、普通に美味い」
と皆高評価だった。
特に丼ぶりの成る木の実は味は少し落ちるが、米モドキが取れるし、栄養素によっては米の代用品として売れる可能性を秘めている。
鮭の方もアニサキスとか寄生虫が居ないか数匹獲って確認すると東横(父)が持っていくことになった。
で、たらふく食った後に、長門に
「ダンジョンって意識すれば閉じれそう?」
と聞くと
「このダンジョンなら閉じれると思うけど、やらなければいつまでも残ってそうだよ」
と教えてくれた。
初めてダンジョンを創ってみた感想を長門に聞いてみたら
「キーワードを連想したらその通りに出力してくれるみたいな感じがする。イメージが大切なのかな?」
とのこと。
本人もよくわかってないみたいだ。
とりあえずダンジョンが創れることは確定した。
あとは長門にダンジョン作りの経験を積ませたり、イメージの幅を増やせば面白いかもしれない。
あと私の感覚だとモンスターのレベルは長門のレベルに依存している可能性があり、クーマもオーク並とは言ったが、たぶんあれがボスの性能で引き上げられてあれなので、十レベル前後しか出現していない。
もしかしたらダンジョンの創造も魔法の様にレベルが関係してくるかもしれないと私は仮説を立てるのであった。
家に帰り、改めて誕生日を二人に祝い、お祝いとして二人に自転車をプレゼントした。
既に小学生並みの体格があるし、補助輪付きなら乗れると思ったのでプレゼントしたところ、二人は大興奮。
それから毎日乗り回し、近くの運動公園(交通公園含む)でも自転車で遊び回り、一ヶ月もすると補助輪を外して遊ぶようになっていた。
···君達本当に三歳か?
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実質話数百話突破!!
ありがとうございます!
完結はまだまだ先ですが応援お願いします!
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