人員の追加 一
新規加入した四人が少し慣れてきた頃、明聖社から紹介された混血の人達が愛知の空港に到着した。
東横が車で空港まで迎えに行き、そのままメアリーヒルズ近くのカフェで最終面接をするつもりだ。
よほど人格が破綻していたり協調性が皆無でない限り採用するつもりでいる。
リストを見ると外国人二人に目が行くが、他三名も特殊なモンスターとの混血なのがわかる。
山姫、シーブ、オートマター···三人は母親がモンスターであり、人間の感性を持つモンスターと言う感じに扱われていたらしく、しかも幼少期をモンスターと共に生活をしていたがために外人二人よりも自由行動を制限されていたらしい。
明聖社が障害者雇用で雇用し、戦闘訓練を行っていたが、どこのクランも引き取りに難色を示していたためにイブキの提案に飛びついたらしい。
「どんな人達なのかな〜、楽しみだな」
カフェで待っていると、周囲がざわつきだしたので、到着したらしい。
「イブキ連れてきたよ」
「ありがとう」
妖怪、怪物大集合って感じだな。
「とりあえず一人一人面接をしましょうか」
私は好きな飲み物を聞くと外人二人はコーヒーを、山姫は抹茶を、シーブはフルーツティー、オートマターはカフェラテとケーキを食べたいと言った。
飲み物と聞いたのにケーキを追加注文する胆力はすげーな。
せっかくなので全員に菓子類もいいよと言うと山姫はモンブランを、オートマターは高いフルーツケーキを、他の皆はチーズケーキを注文した。
とりあえず面接の順番は肝が座っているオートマターの子からにすると決めた。
「では面接を始めます。よろしくお願いします」
『よろしくとスカーレットは言います』
電子音の様な声が聞こえてくる。
「えーっとオートマターのスカーレットさんであってますか?」
『はい、スカーレットであっていると肯定します』
「自己紹介をお願いします」
『スカーレットです。苗字はありません。出身地は千葉県の京葉工業地帯の三大ダンジョンの【人形製造大工場】で産まれ育ちました』
見た目は金髪で関節が球体かつ、顔や腕、足に青白く光が通っている。
無表情ながら可愛い顔立ちをしている。
あと何故か
『二十四時間働けます』
と書かれたハチマキをしていた。
更に目を引くのは腹部に巨大な魔石があることだろう。
スイカサイズの巨大魔石で七色に光り輝いている。
『私の父と思われる人物が星持ちと呼ばれる人であったらしく、高性能のオートマターとして産まれることができたと出生を語ります』
「じゃぁ色々と質問していくけど性別は女性なの? 書類上は女性ってなってるけどどうなのかなって思って」
『はい、女性ですと肯定します。男性との性行為も可能、子供を産むことも可能と情報を開示します』
「へぇ、好きなタイプの男性は?」
『性欲が強い男性だと答えます』
「何か理由でも?」
『種を増やすのは当たり前なのでは? と何故当たり前のことを聞くのかと疑問を投げかけます。男性として、社会的強者の方が生活がしやすいと答えます』
「なるほど···」
『正直ここで落とされたら探索者達のダッチワイフに活用される可能性が高いと小言を言います』
「いい性格してんねぇ」
『自己肯定します』
「えっと稼働年数が二十四年ってことは二十四歳ってことでいいのかな?」
『肯定』
「レベルは八十で上級上位であると」
『肯定、補足としてスカーレットは第三進化形態であると答えます』
「ん? どういうこと?」
『スカーレットは感性は人間でありますが、モンスターとしての性質が強く、最初はドールというモンスターでした。動く人形に二十レベルで進化し、レベル四十で今の姿に進化したと報告をします』
「じゃぁレベルが上がればまた姿が変化する可能性があると?」
『肯定』
「オートマターってまだ上のモンスターって居るっけ?」
『機人、機神が居ますと報告します。機人は星持ちが苦戦をする相手であり、機神は討伐例が世界で四例しかありません』
「将来的にそうなると?」
『肯定、これが夢であるともスカーレットは言っておきます』
「なるほど。戦闘スタイルは?」
『刀、ハンマー、槍、大剣、盾は学習済み、魔法も使え、外科手術も野外で可能と医療技術をアピールします』
「それは凄い。他に何か免許を持っていたりする?」
『高卒認定、日本語検定一級、タイピング検定一級、探索者協会公認野外衛生士、探索者協会公認武器整備士、アイテム鑑定一級を保有しているとドヤァとします』
「そりゃドヤるね。うん、戦力として期待しているよ!」
『いい男紹介しろよと願望を伝え握手をします』
いい性格をしたオートマターのスカーレットがチームに加入した。
「飲み物とケーキ奢ってくださりありがとうございます」
打って変わって山姫の山姫美樹さんは礼儀正しくまずは食事のお礼をしていた。
というか今日来たメンバーで唯一スーツを着用している。
大和撫子という言葉が似合いそうな容姿をしているが、一番の特徴は背の高さ、次いで胸のデカさだろう。
「ちなみに身長は幾つあります?」
「二百五十センチです」
「セクハラかもしれませんが胸の大きさは」
「···黙秘はだめですか?」
「いや、調子に乗りました。この体になってから私よりも大きな胸の人居なかったので」
「Sカップです」
「胸重くて支障出ない?」
「色々と出てますよ。ブラや服が身長含めて特注じゃないと着れませんし、明聖社に拾ってもらわなければ装備無しで戦うことになったと思うので」
「そりゃ大変だ」
少し雑談をした後に出生について聞いてみる。
「嫌だったら話さなくても良いのですが」
「いや、もし受かった場合知っていた方がイブキさんには都合が良いと思われるので話しておきます。私は秋田県の【マヨイガ】という中級ダンジョン最深部で十歳まで暮らしていました。【マヨイガ】は最深部は一つの屋敷みたいになっていて、訪れた人に祝福を与えると言われているダンジョンなのですが、一層から四層まで凄く迷いやすい···いや千人が挑んで一人がたどり着けるくらい迷うダンジョンでした」
「私の母親の山姫や周りの山姫達も背が高い美女でしたが人間とはやはり感性が違っていて動物の様な感じでした。座敷童子というモンスターが食事を毎日作ってくれたので生きれましたが···地上に比べると味気ない食事でした」
「好奇心から私は最深部から外に出てしまい、そこで迷った末に地上に出てしまいました。その当時は言葉が話せなかったので探索者の方々の殺気で気を失いそうになりながら身振り手振りで助けを求め、研究対象として秋田県の探索者協会に保護され、DNA検査の結果ハーフと判明し、教育を受けて秋田県探索者高等学校を卒業し、二年間ソロで活動し、明聖社のスカウトの目に止まり、半年活動して今に至ります」
色々と言われたが、彼女も彼女で苦労しているのがひしひしと伝わってくる。
まぁまだ救いとしては他の人達よりも身長以外は人間に近いことだろう。
ちなみに彼女も胸の谷間に加工された宝石みたいに滑らかかつ真珠のように白色の魔石が埋まっている。
なので銭湯とかには行けないらしく、広いお風呂でゆっくり寛ぐのが夢なのだとか。
「戦闘スタイルは鬼とかが持っている六角の金棒で叩く戦闘スタイルです。魔法のロッドとしても使える為、中遠距離でも戦えます」
とのこと、簡単な治癒の魔法も使えるので継戦能力も高い。
「なんで他のクランが手を挙げないかわからない人材だよね?」
「いや、明聖さんくらいの大企業になるとそれだけで優秀な人材が集まるので、私みたいな混血かつ母親がモンスターというリスクを抱えるのは避けると思いますよ」
「それもそうか···」
山姫との面接も終わり、次の人と交代する。
「よろしくボス!」
「よろしくドナルド」
アレックス·ドナルド···ルーツとしてはアメリカ系白人であり、日本で子供を産んだ母親の親族が赤ちゃんポストに経緯と名前を書いた紙と一緒に捨てられたと語る。
「見ての通り俺はフェニックスとの混血だ。俺の母親はついばまれながらヤられたらしく、フェニックスの生命力で無理やり生かされていたらしい。お陰で今も廃人状態だと聞く」
「親族とは連絡を?」
「ルーツを知らないと困ると言われ、明聖社が調べてくれたんだよ。お陰で俺の母親の状態を知ることはできたが、接触は母親の為に親族と話して禁止になったがな」
とドナルドは語る。
「と、暗い話はここまでだ! 俺はフェニックスとして空を飛ぶことと火属性の魔法、強力な治癒魔法を扱えるぜ」
火の魔法を多彩に操れるため近接武器は解体用ナイフ以外持たないそうだが、それだけ魔法の火力とコントロールに自身があるんだとか。
ちなみに炎の翼は意識しないと熱かったり燃えたりすることは無いらしい。
これで三人が終わり残り二人と面接となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます