第53話 塹壕戦に戦略兵器を投入するとこうなる
「よし、念入れも終わったしこれで完成だ」
「ありがとうございます! 早速張ろう、ぺた」
よくわからないけどきっと見えなくなった。よかったー。
「ほとんど異次元で作られているからもう魔電池は必要ないぞ。管理が楽になるな」
「今はコアがあまり気味ですけど、使うときは使うので、節約も出来て凄い嬉しいです」
「高位の陰陽師と知り合ったら念を入れ直してもらえ、強度が上がる」
残ったパオーンゾウの血液とフォルトの血液、そして羽根でお守りも作り準備万端!
さーて。
戦争支援に行きますか……。大規模戦闘はこりごりだよ。
「いろいろやってもらったからお返ししないといけないだろ。前線で少し暴れてやればいいんじゃないか」
「うーん、アンドロイド拒絶派の所にアンドロイドが暴れたらますます嫌いになっちゃうんじゃないかな」
「サディスンは鶴丘の子分だからいろいろ仕掛けてるんだろう。ほらほらいくぞグレネード投げ係」
「はーい」
実際の塹壕を見てみると凄い! 溝が幾重にも連なっている! その中を人が歩く! 榴弾砲が常に飛び交う! 塹壕は見えないところまで続いている!
「これが塹壕戦かあ……」
「ほとんど記録通りだな。戦術的に動いても意味ないな、大きく動いて戦略的に破壊しよう」
「まず改造だなあ。ルカさんは味方全体に支援をかけてあげてください。敵を弱めても、人間はすぐ死ぬし」
後方に一度戻り、フィーに改造を施します。そう、念願の履帯です。
「やったーやったー! ついに履帯が付くわ! 塹壕戦で勝利するのは戦車を持っている方よ! めいいっぱい最高の履帯を作るからね (´▽`*) 」
「35ミリチェーンガンもお願いします」
「なら40ミリの方が良いと思うんだけど! (´▽`*) 」
「確か連射数が落ちちゃうんだよね、それはちょっと困る。モンスターにも使うからね」
うちら基本は人相手じゃないからね。モンスターの隙って一瞬だからねえ。
「航空航宙ガトリング砲なら60ミリまで分4000発撃てるわよ! (´▽`*) 」
「早っ。その分弾頭サイズは小さいよね。フィーは大艦巨砲主義でいってもらいたいんだよね、防御が固いモンスターへの切り札だから」
「60ミリの4000発は大艦じゃないわ、巨大艦よ (΄◉◞౪◟◉`) 」
「弾丸の素材がありませんな。35ミリでお願いします。40ミリとかいくならさすがにガトリングだろうね、その時はよろしく」
「うふふ、待ってるわー!! (´▽`*) 」
元気になるとやり過ぎるんで心配だけど、改造できるのはおかーさんしか居ないからね。頑張ってもらおう!
キッチンにある、寸胴型魔力結晶作成機の横に設置されたグレネードボックスから、グレネードポーチへグレネードを移す。
バックパック連結部位の破損がないかしっかり確かめた後、バックパックに全て移した。
これは今回のグレネード投げ職人の新型兵器なのだ。今コアが余ってるしね。単1作って売りたいところだけど、中型コアが主なので単2かな。
リチャージャブル魔電池各種に充電しても良いなー。うちの設備だと使い道がいっぱいある。多分それでも余る。
改造量が多いので10日かかったかな。でも1200時間で履帯を作り35ミリチェーンガンに換装するあたりおかーさんは化け物である。電池交換すればずっと動けるとはいえねえ。
その間なにもしないわけでもなく、相手の機関銃隊を潰したり――これがあるからかなり前進しにくいらしい――、負傷者にヒールしたりしていた。
塹壕の壁に向かってサクラ・フレアを撃ってみたりしていたよ。
装甲化されていたり対SAKURAシールドが張ってあるとかなかったから簡単に崩れた。ほほう。
「それじゃあ準備できましたかね。斥候さんは合図を送ったら突撃ラッパを鳴らしてね。戦闘用アンドロイド、いきまーす!」
一つ向こうが敵の塹壕という所まで進み、撃つ。
「
これにはエーテルを多めに積んであり、照射時間が長い。なので左右に振れる。5秒くらいかな。左右に振って300メートル先まで穴が開いた。といっても直径1メートルくらい。塹壕は2から3メートルある。もうちょっとやらないとね。
「ここあ!」
「嬲ってくる」
ここあが突っ込み、塹壕内のお掃除を始める。博士用のマシンガンがかなり効いているようだ。犬博士も兵士も人だしね。
「フィー!最大高まで高くして塹壕を削れ!」
「ばうばうばうー!」
フィーの履帯の特徴なんだけど、フィーが背を伸ばすと履帯もくっついて伸びるんだよ。
元々は急勾配を登るためらしいけど、今は崩れかかった塹壕を壊すにはちょうど良い。フィー後ろ足で立つと2メートル50センチはあるし。
ガリガリガリーっと履帯が塹壕を削る。その間にリチャージが完了したようだ。
「んじゃあ300メートル先までの塹壕さん死んでね。フィーの頭にのってっと。
今度はしたから上へとなぞるように照射する。直径1メートルしかないけど、かろうじて崩れていなかった照射した上の部分の塹壕も消え去った。
「フィーは掘り進めて! フィーの横幅ならこの小さな道筋を拡大できる!」
「こんなための履帯じゃないのよう ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐ 」
「道具は何にでも使え、ですよおかーさん」
おかーさんが通信つないで訴えかけてくるが冷たく返す。すんごい量の素材使ったんだ、有効活用して何が悪い!
ここで突撃ラッパが鳴り響く。プオープオープオー。いったんフィーを下げて道を譲ると、ルカさんの支援がかかった兵士が突っ込んでいく。
なんか凄いな、人の方が支援の効果が高いのかも。猛獣みたいな勢いだ。
私はこの間に壊した塹壕の次で待機しているであろう兵士の皆さんに試作型中型魔導コアグレネードを投げ込んでいく。
新兵器です。爆発力と破片の数が大変違います。水中でも使えます。爆破までの秒数任意設定できます。
落下開始から自己誘導するので狙ったところに転がる確率が高いです。
駄目なときは駄目だけど。
地下を破壊して一気に突撃したので地上の防衛部隊とかを完全放置しているんだけど、そこにもグレネード。または右手の射出兵器。
マシンガンの弾が当たっても痛いだけで終わっちゃうなあ。
激痛だったら感覚カットするけど、注射が刺さった程度。凄い当たるようになったら感覚低減でもしておけばいいでしょう。
今日は一気に600メートルの前進に成功したよん。
破壊されて侵入されたところを防衛しようにも、横からどんどん兵士が入ってくるので難しいみたいね。
最初は抵抗したみたいだけど、後半は一気に兵士が下がっていくのが見えた。
その夜。兵士は塹壕に残るみたいだけど、私達は後方支援の所まで戻った。
「1ヶ所でも穴が開けば陥落するもんなんだねえ。ここあちゃん今日のキル数はいくつよ。私600ちょっと」
「PDAで確認すると1653かな。さすがに一般兵士相手じゃ一方的だよ。低空飛行してエネルギーマシンガンで掃射していくだけ。戦闘用アンドロイドの製造が禁止されたのもわかる」
「リーダーリーダー、ちょっといいですか?」
「はい、ルカさん、なんでしょう」
「多分経費交渉してないですよね?」
あー、あー。あー……。
「してない、ですね」
「ですよね。今回は鶴丘系譜なのでわたくしがしておきました。どんな寒村の依頼でも経費と報酬の交渉はしてくださいね」
「すいません、ありがとうございます。次からしっかりやります」
ちなみに中型コア500個と鉄1トンだそうです。鉱山でもあるんかな。
コアは動物ならどんな生物からでも捕れるんだけど、それは人間でも同じなわけで。中型コアでるのよね。
今日の戦闘だけで2000個は出現しているはずなんですよね。
そう考えると500は控えめですけど戦利品の全てをかっぱらおうというわけにはいかんめぇ。
次の日。
ブーステッド・サクラ・フレアの展開方法を扇形ではなくて半円形にして突入路を広く取れるようにしたら900メートル前進したところで相手が降伏しました。
もう後ろがないらしい。削りきってしまった。
ここあちゃんに、「ボクは戦術兵器だがお前は戦略兵器だな」といわれ、反応に困った私であった。
でもSAKURAシールドで防がれるからね!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます