第45話 飛び地へ参るぞ!
「そうですか。夢に出てきたと」
「ええ、ウルフコボルトに知恵をつけたのもその博士だと思います」
先日の博士出現をルカさんに相談。麻酔の時って意識が完全に落ちるから入り込んでくるんであって、護符お守りがそう簡単に割れるとは思わないけどね。なにせ腐ゆっきー製だからね。
「フィーに走ってもらって、飛び地へ急ぎましょうか」
「お願いします」
名残惜しいけど抜刀隊の城下町から離れ、街道をフィーが走る。
フィーは妖精に近いうえに――実際フィーってなんなんだろうね? おかーさんが作ったとかじゃなさそうなんだ――、モデルがオオカミなので本当にほんとーーに長距離を走れる。
オオカミは何キロも獲物を追跡して仕留めるからね。
なのでちょっと早い、センサーによると時速100キロのスピードで走ってもらった。全然余裕の走りでござる。
「あと何時間くらいで到着ですか?」
「街道を走ってますから、6時間くらいですね。関所があるともうちょっと時間がかかりますが」
「なるほどー」
「国際超河川があるので、そこまでの時間です。そこは船で渡りますので。本当に大きいですよ」
「なるほどー」
なんにせよ時間があるならやることをかたづけなきゃ。
フィーは余裕なので部屋の片付けをお願いし、
おかーさんに呼ばれているのだ。
「きたよーおかーさん」
「お、あずきちゃん。来てくれたのね。まずは中型魔力コアをフルスロットで装填するわね。これはルカさんに許可もらっているから (΄◉◞౪◟◉`) 」
「なにすんの?」
「手術ログ見たけどエーテル保管庫が作られたでしょ、そこにエーテルを入れるのよ。魔力コアや魔電池だと過負荷かかると壊れちゃうからね。保管庫は膨大な量のエーテルを溜められるわ (΄◉◞౪◟◉`) 」
「ほー」
エーテル気にする行動ほとんど取らないけど、使うときは使う。サクラ・フレアを撃つ際も、ボスクラスにはブーステッド単体じゃ駄目だからエーテル込めるもんなあ。
「順調に博士好みのアンドロイドになっているわね」
「え、そうなの」
「そうよ、あなたの設計はほぼ全て博士が書き起こしてるの。このままいけば彼好みのアンドロイドよ。絶対勝てないでしょうね」
「……おかーさん、なにか知ってそうな口ぶりだけど」
「まあ、私も第一アンドロイド研究所所長だからね。負ける間際、あなたに私の思想を書き加えているから。博士は天才だけど、私も負けないくらい努力家だったのよ。あなたのバージョン0.15αは私のバージョンよ」
ちょっと嫌な真実だな。博士好みに育っているのか。
でも成長を止めないってのは無理がある。
成長しているから今生きてるからね。
ここに立っているのは成長したから。
「ナノマシン利用開始みたいなログが残ってるけど、大事にしてね。おかーさんはそれに全てを託したの。今は気にしなくていいわ。さあ、もうワンフルスロット入れるわよ」
「ほーい」
エーテル残量を測れないか聞いたら、生体モニターにでも聞いたらと返されたので生体モニターをアイディスプレイに表示。
25パーセント充填済みだって。フルスロット2回を入れてもまだ25。保管庫、すごい入るね。
生体モニターに頭の明せき度を聞いたら「馬鹿」って返ってきたので生体モニターに電撃を加えることを補助脳に指示しておきました。置換で電撃出せるからね。
おかーさんに別れを告げてルカさんのところへ。グラビディを習得しに来たのだ。
ウルフコボルト戦で重量差に負けたので、自分でもある程度重量を増やせるようにしておきたくて。
「おせーてください」
「はい。そうですね、くらった感覚を外に出すのが一番早い方法なので、グラビディ2倍をかけますからグラビディ1.5倍を目指してフィーにかけてみてください」
「ボクにしろ、フィーはかわいそうだ。暇っちゃ暇だからな。ミカは銃の整備してるし」
「わーい。解除方法はどうするんですか? ああ、思った瞬間に解除されるんですか。なるほどじゃあ、まずは外に出せるまではグラビディ2倍を感じときます。ソファー120キログラムが座っても大丈夫ですよね」
ソファーが悲鳴を上げているが気にしない。2倍だったらそんなでも無いな。細胞が出すエネルギーがかなり増加してるもんね。
血液も生産量がすごいので、ウルフコボルト戦で心臓まで傷が到達しても、血液の量が減ってパワーダウンは引き起こさなかった。
骨が硬かったからあの衝撃でも心臓破裂まで引き起こさなかったのも、成長してるなあと思ったよね。
だって巨大ウルフコボルトの叩き付けだよ? こっちは肋骨が折れて心臓が傷ついたくらいだよ?
まあ人間は心臓に傷が付いちゃ駄目だけどさ。
「なかなか外に出す感覚は出ないですねえ」
「そう簡単には出ないかもしれないですね。そこそこ上級なので。ここあさんは私がかけましょう。何倍ですか?」
「3倍で」
「では、グラビディ3倍!」
「ぐわっ」という声と共にソファーが沈む。
「こ、こんなレベルでお前ウルフコボルトと戦ったのか。馬鹿か? ルカ、2倍にしてくれ、死ぬぞこれ」
「グラビディ2倍!」
「ああ、これなら空飛べそうだ。フィーと飛んでくる。この負荷ならかなり自己改造できそうだぞ」
そう言って外に行くここあちゃん。結構修行するようになったね。出会ったころは天才で完成されているからって言って修行とか一切しなかったのに。
「私馬鹿なんですかね」
「最古のアンドロイドは強靱なんですよ」
「言い換えしたけど否定しないんですね」
「はっはっは」
ちなみにグラビディはルカさんの”術”なんで、習得には相当時間がかかると思います。WAZAじゃないんだよなあ。
ルカさんは術の指南書を儀式で取り込んでものにしているんだけど、アンドロイドでも出来るんかねえ?
ミカさんが銃の整備をするとしたら私は武器のお手入れ。
槍なくなったからね。
寸胴型じゃ一気に長い槍は作れないので3つくらいにして私の置換でくっつける。
ああそうだ、ナイフや道具が出るところ右側にしてもらわないと。全部左側の改造だった。
けど、左利きってのもあるしサクラ・フレア撃つ際に左手が中折れするので一瞬左手が使えなくなるのだ。
右手の方が良いね。おかーさんに生体設計図を書き換えてもらい無事右手に。
大型工具は左手かもしれないね。チェーンソーとか。
さて、無事に川まで着いた。
「これ、本当に川なんですか?」
「ええ、川ですよ。といっても両端で200キロメートルはあるでしょうか。動く海みたいなものですね」
「水平線見たのは二度目の人生で初めてです」
これを船で渡るんだけど船もすごい巨大。本とかで見る豪華客船じゃないんだけどさ。橋渡しをする車とかが入る船。艦橋が3段。
「乗船賃とか、すごいかかりそう」
「これが事実上、飛び地の関所なんですが城主から通行手型を頂いてあるので無料ですし、しっかりと飛び地へ入れますよ」
「ほえ~」
あの抜刀隊領地が通行手型の権限持っているんだって。強領地に寄越せと言われそうだけど飛び地がバックについているから、とのこと。
飛び地も技術あげれば良いのにね。弱小だから逆に良いのかな。技術持ちすぎると日本銀河帝国としては困りそうだ。
飛び地に渡るので、フィーは大きさはデフォルトになり、亜空間に人は乗っちゃ駄目。
亜空間・異次元バッグは荷物預け入れへ、と結構厳しい検査があった。
私とここあは多目的であれ戦闘型なので眠らされた。川渡るの見たかったーー!!
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