第42話 抜刀隊の力
ウルフコボルトっちゅーんは、犬が立ったのがコボルトで、巨大オオカミが立ったのがウルフコボルトって言われ取るからウルフコボルトなんや。オオカミの血を引いているから仲間意識がもの凄く強く、オオカミの力、オオカミ以上の背丈(180センチメートルは優に超えるで)をもっとるコボルトなんや。犬がコボルトになったときのように根本的強化もされ取る、もちろんモンスターだからかなり危険や。そこに突っ込むのが抜刀隊、ってわけやな。~出征前、酒場で酔い潰れたオッサンの弁~
――――――――――――――
先頭を走っているのは部隊長の馬だ。当たり前のように先頭だな。
その部隊長が話しかけてくる。
「まず一斉射撃を行う! 馬の左側に撃つから射線には入らないでくれ! 一度通り過ぎて折り返したら突撃する!
「わかりました!」
「槍の穂先のような形で突っ込むから、一度突撃したら通り抜けろ! 後ろからさらに突っ込むからな!」
「らじゃー!」
中央にいたのに数分で花火が上がったところまで付く。馬はっや。見た感じまだ汗はかいてない。馬なのになあ。
草原なのでどこにウルフコボルトがいるかわかる。100メートル先だ。って言っている間に間近に。
抜刀隊は30人くらいいるんだけど、もう無言で射撃体勢に入りバンバン撃っていく。
狙いはほぼ頭。たまに膝。頭は完全には囲っていなかったからね。膝は何度もやったけど立ってる動物の弱点。それも致命的な。膝に矢が当たってしまってな、じゃねえんだわ。
一体は1回目の射撃で無残にも崩れ去った。
じゃあ終わりかと思ったらそうではなく。
もう一体はエネルギー速射砲による射撃で胸を打ち抜かれていたのだ。
「これは、お前要らないかもな」
「そう、かもしれない。ここあちゃんの盾になるよ」
「肉壁よろしく」
「くやしいけど了解です」
一瞬で目の前の難敵を撃破してくれた小隊の士気はもの凄くて。うおー! じゃ言い表せない歓声が上がっていた。
帰り道、抜刀隊の部隊長と顔を合わせる。
「部隊の練度がとんでもないですね」
「そちらのエネルギー砲の精密射撃ももの凄かった。胸を丸々ぶち抜いただろう。彼女とバディを組んでいる君も相当なものとみた」
そんな話をしていると、前方からもの凄い勢いで突進してくる物体を発見」
「ここあちゃん!」
「ルカだ。パワーアーマーを着ている」
「え?」
抜刀隊に仲間と伝え、ルカを迎える。
「なにしに来たんですか? というかその速さは?」
「わたくし自慢の単体スピードです。現状支援が無駄なので来ました。ストップのかかったウルフコボルトなら倒しやすいでしょう? ミカさんは左翼に回ってもらいました。6輪フィーじゃ中央にいては遅すぎる。通信はあずきさん出来ますか」
「な、なるほど。テレパシー無線も10キロメートルくらいは出るようになりましたね。でもこの平原じゃあ」
「ボクを中継しろ。何度も訓練に付き合ったから自己進化で中継できるようにはなっている。ボクの無線ならJUNAの裏側でも通信できる」
中継もテレパシー中継なので混戦なく4人同時につなげるとのことで早速つなげましたよ。ミカさん愚痴ってたね。
そんな左翼に花火。こちらも場所を知らせるために花火を打つ。伝令がわからんくなったらまずいんでストップ。すぐに伝令が来る。
「そうか、すぐいく。部隊を分けると指揮官へ伝令してくれ」
「
「了解です!」
さあいかん! というところに伝令がまた来る。
「ほう、そうか。わかったと伝えてくれ」
「左居士、先の命令は取り消す。よくわからん犬と車の融合体がよくわからん砲で消し飛ばしたそうだ」
「ああ、そりゃフィーだわ。ミカさん追いついたのか」
「1ヶ所潰したけどもう一方もいく?」
「次の箇所も向かうか通信来てます」
「時間が経ってる、乱戦になっているであろう。ふぃーの存在は周知されきっていない。我々が向かおう。いくぞ!」
ミカさんに説明をして、付いていく。
数分で右から左へ到達。でも時間が経っているのでウルフコボルトが暴れていた。人が邪魔で掃射が出来ない。
後ろからホラ貝が鳴る。その音だけでこちらにいるものがサッと身を引く。突撃の道が出来た。
さあ突撃! の前にここあちゃんが前に出る。壁になるためにちょい前に出る。ここあちゃんの精密射撃。
エネルギー速射砲は光速じゃないので軌道が見える。
それを読んで避けようとしたけど軌道を逆に読み切って胸をぶち抜く。
「あとよろしく」
「やるぜうおおお!」
バックパックから槍を取り出す。そして残りのウルフコボルトに思い切り投げつける。
時速600キロくらい出ているんじゃないかなぁ、いまの遠投って。投げる動作にはいった瞬間どっちかに飛ばないと避けられるものではないよね。
飛んだんだけど私はそれを見て投げられるんだよね。反射神経すごいし脳もかなり改良されているんだわ。
綺麗に胸をぶち抜いて突き抜けました。
抜刀隊から「すごいな……」「あれがアンドロイドか」「我が隊にも欲しいな」などの小声が聞こえてくる。
「お主ら、アンドロイドとして何年生きておるのだ?」
「えーと(一万年は差し引いて)3000年くらいっすかね」
「数えてないが三千数百年だな」
「諸君、これくらい生きないとこの力は手に入らないぞ、どうする?」
「抜刀隊の力向上なら悪くないな」
とか
「そのころ我らの領地はどうなっておるのだろうか」
とか、いろいろ意見が出ましたね。
「よし、思考休暇はこれくらいにして元に戻るぞ!」
了解! 声も揃ってるんだよなあ。
しかし、ホラ貝の音でサッと引く一般兵士も練度が高い。弱小領地といえど侮れない。だから強領地に飲み込まれないんだろうな。
なんだったんだあの奉行。
ローラー作戦はつつがなく進行し、森の方まで進行。ウルフコボルトも2体は先行するアンドロイドが処分するし、隙間があればそこに極めて正確に大量な矢が飛んでくる。4体くらいまでは余裕だった。
「コボルトはウルフコボルトを分散配置したんだろうな、それが裏目に出ている」
「抜刀隊を甘く見ていたんでしょうね。正直弓矢でここまであっさり倒せるとは思ってなかったです」
「2体はウルフコボルトを確実に処分するアンドロイドがいるからな。動揺したウルフコボルトに射撃しているだけだ」
とはいえ、森に近付くにつれウルフコボルトも体格や重装度が増している。隙間もあまりない。
ただ、胸はさすがに分厚いけど、顔の防具は重くしすぎるわけにはいかないから、ある程度のところで限界があるわけ。
ぶち抜けちゃうらしいね。弓でね。何キロの弓引いているんだろう?
大休止も挟んで戦闘すること実に40時間。それでもローラー仕切れない。本当広い星だぜ。もちろん領地も広い。
今日は終わりで明日再開とあいまった。
退却時って襲われやすいけどどうなんだろう。杞憂で普通に戻れた。
各個防衛で追いかける戦力がなかったんだろうね。
ピンクちゃん及び自動手術機で調整し、フィーをあやして眠りにつかせる。
フィー今日はずっと左翼の掃除を頑張ってたね、ゆっくり休むんだよ。
明日はさすがに8輪だからねえ。履帯はない。 「。゚(゚´ω‘゚)゚。」
夕暮れから夜間まで警戒し、十分に寒くなったあたりで全休。テントを張って眠りにつく。
寒いので寝袋が他の星より大きいんだって。おかーさんがいってた。
私はこれが標準だからねえ。違いがわからん。羽毛とそれ以外ならわかるけど。
使わないでフィー内部で寝るけど。
決戦は明日になるのかな。備えるぞ。
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